2018年センター試験古文漢文現代語訳

 

受験生の皆さん、センター試験の問題にチャレンジした高校生の皆さん、お疲れ様でした。

 

こちらのサイトでは、吉田裕子が個人的に作成した2018年センター試験漢文の現代語訳(現代日本語訳)の速報版を公開しています。復習などにお役立てくださいませ。※古文はこちら ※2019年はこちら

 

【出典】
李燾『続資治通鑑長編(ぞくしじつがんちょうへん)』

【本文書き出し】
嘉祐禹偁子也。……


【書き下し文】
嘉祐は禹偁の子なり。嘉祐は平時は愚騃の若きも、寇準のみ之を知る。準開封府に知(※知事)たりて、一日、嘉祐に問ひて曰はく、「外間準を議すること云何(いかん)」と。嘉祐曰はく、「外人皆丈人旦夕入りて相たらんと云ふ」と。準曰はく、「吾子に於いては意(おも)ふこと何如(いかん)」と。嘉祐曰はく、「愚を以て之を見るに、丈人未だ相と為らざるに若かず。相と為れば即ち誉望損なはれん」と。準曰はく、「何の故ぞ」と。嘉祐曰はく、「古より賢相の能く功業を建て生民を沢(うるほ)す所以は、其の君臣相ひ得ること皆魚の水有るが如ければなり。故に言聴かれ計従はれ、而して功名倶に美なり。今丈人天下の重望を負ひ、相たれば即ち中外太平を以て責(もと)めん。丈人明主に于(お)けるや、能く魚の水有るが若きか。嘉祐の誉望の損なはれんことを恐るる所以なり」と。準喜び、起ちて其の手を執りて曰はく、「元之は文章は天下に冠たりと雖も、深謀遠慮に至りては殆ど吾子に勝る能はざるなり」と。

 

【現代語訳】
嘉祐は禹偁の子である。嘉祐は普段は愚か者のようだが、寇準だけは彼の優秀さを知っている。寇準は開封府の知事を務めていて、ある日、嘉祐に尋ねて言うには、「世間は私のことをどのように言っているか」と。嘉祐が答えるには、「世間の人は皆、あなたがすぐに朝廷に入って宰相の位に就くだろうと噂する」と。寇準は「あなたは寇準のことをどう思うのか」と問うた。嘉祐が言うには、「私の意見としてこのことを考えると、あなたはまだ宰相にならないのが一番だ。宰相となると、名誉や人望が損なわれるだろう」と。寇準が「どうしてだ」と言った。嘉祐は「昔から、賢い宰相が手柄を挙げ、人々に恩恵を施すのは、その君主と家臣(宰相)の関係が極めて良好であったからである。だから宰相の意見が皇帝に聞かれ、宰相の提案する策が皇帝に従われるのであって、それで、功名は両者ともに良いのである。今あなたは天下の重い期待を背負い、宰相となると、天下の太平を求めるだろう。(ただ)あなたと皇帝の関係は、とても親密なものになり得るか。これこそ、私があなたの名誉や人望が損なわれるだろうと恐れる理由である」と。寇準は喜んで、立ち上がって嘉祐の手を取って言ったことには、「あなたの父上は文章は天下一であったと言っても、深謀遠慮に関しては、ほぼあなたに勝てない」。
 

 

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