今回は、カップの2 Two of Cupsです。

 

 まず、いつものようにポイントを整理しておきましょう。

 

  • 小アルカナのスートには四元素、火、風、水、地のエレメントが割り当てられている
  • エースと2~10までのカードは各数字ごとに地位が決まっている

 

そして、各エレメントの表す意味は、

 

  • ワンド=火……エネルギー、生命力、意思の使用
  • ソード=風……心の状態と心の使い方
  • カップ=水……人の情動と気持ちの状態
  • ペンタクル=地……世の中・人生における肉体的・物質的な側面
    (ディスク)
 2の地位は、
  • 二元論における調整、バランス、または選択を表している
二元論
二つの異なった原理を立て、それによって(考察範囲の一切を)説明する態度・議論。
 では演繹してみましょう。
 
 カップの2 Two of Cupsですから、
 
カップ=水……人の情動と気持ちの状態

二元論における調整、バランス、または選択を表している

 

ということですから、

 

  • 人の情動と気持ちの状態における調整、バランス、または選択を表している
これで、カードの核心的な意味がわかるので、それを踏まえて、絵の解釈をするというのが第二段階でしたね。
 
 基本的にはカップは、感情でいいでしょう。
 
 次に絵を見てみましょう。
 
まずは、ウェイト版カップの2は、
 
男女がカップを持ち寄り、男性の方が、何か女性に働きかけているようです。
カップの間にあるのはカドゥケウス(ヘルメスの杖)です。
その上には翼を持ったライオン。
背景に、赤い屋根の家。
また、翼を持ったライオン、男性の冠、女性の靴も赤です。
 
2のカードは、調整、バランス、または選択ということですから、それを踏まえて解釈していくことになります。
まず、カドゥケウスは、互恵関係を象徴しています。
その働きかけを男性がしているのでしょう。
互恵ですから、お互いに利益を与え合おうということですが、これはカップのカードのなので、この場合の利益とは、心ということになるでしょう。
 
また、翼の持ったライオンは魂と創造性を表現しています。
この魂と創造性で互恵関係を築いていく、そして赤は、そこことに対するバイタリティーを象徴しています。
 
この二人は今まさに、恋愛関係になろうとしているのでしょう。
 
男性の冠が赤いのは、生命の樹の王冠=ケテル ——思考や創造を司る—— のバイタリティを、
女性の靴が赤いのは、生命の樹の王国=マルクト ——物質的世界—— ですが、この場合、肉体の生命力を表しているのでしょう。
 
これは、旧約聖書のアダムとイブ(エバ)の失楽園に関連しているのでしょう。
 
神の怒りを買ったアダムとイブは、それぞれ宿命的な十字架を背負わされます。
 
神はイブに対しては「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。」
アダムに対しては「お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。」
 
2というカードを使って、男女の対等性と異質性を表現しており、また、どちらかが欠けてもバランスを欠いてしまい、遠くに見える家に住むことはできません。
 
すなわち、このカードは、恋愛関係のスタートを強く示唆しながら、条件として、異質な者に対する互恵関係の維持、そしてどちらかが欠いても、魂と創造性→精神性が高く=愛がある、クリエイティブな暮らしはできないということを表現しています。
 
リーディング上は、質問に応じて「恋愛関係」というものに関する様々な気づきを示すものになるでしょう。
陰陽は、まったく異質なものであるのに、対等であり、相手が存在しなければ成立しません。
恋愛関係・人間関係において質問者が、
 
  • お互いが異質であることに気づいているのか
  • お互いが対等であることに気づいているのか
  • お互いが存在しなければならないことに気づいているのか
  • 互恵関係の維持=お互いの利益→信義則
信義則
信義誠実の原則とは、当該具体的事情のもとで、相互に相手方の信頼を裏切らないよう行動すべきであるという法原則をいう。 信義則(しんぎそく)と略されることが多い。
 
この点を読み込み、これらの条件がクリアされているならば、魂と創造性に活力が加えられ、遠くにある家にもやがて辿り着くというようなリーディングになるでしょう。
 
ネガティブな意味では、先ほどの条件が揃わなければ、魂と創造性の活力も、辿り着くべき家もないわけですから、恋愛関係はスタートしないということになるでしょう。
 
次にトートのタロットです。
 
このカードの核心的意味は、Love - 愛 です。
 
愛の象徴である蓮の花から、愛のエネルギーを象徴する水が2つのカップに勢いよく注がれています。
蓮の花には、二匹の魚が絡み合っています。
 
愛を感じるには、2つのカップが揃っていなければ成立しません。
このカップは同等のものです。
また、愛は束縛であり、絆でもあるということを絡み合った魚で表現されています。
この魚は、お互いに自由には泳げないのです。
しかし、水のエネルギーで満たされて幸福でもあるわけです。
 
愛のスタート、また、愛すること。
お互いを求めあうような愛、
そして、情動の欲求と愛の状態の進行を思い描いていくことを表現しています。
 
 リーディング上は、2つのカップのバランス、調整、選択ということを念頭に置き、質問者の現状と照らし合わせることで読んでいきます。
 
 条件が揃っていればポジティブに、条件が揃っていなければネガティブな愛についてのリーディングになります。
 
 それでは、次回はペンタクルの2、ディスクの2を取り上げます。