今回から、各スートの2について解説します。

 

 まず、今回もポイントを整理しておきましょう。

 

  • 小アルカナのスートには四元素、火、風、水、地のエレメントが割り当てられている
  • エースと2~10までのカードは各数字ごとに地位が決まっている

 

そして、各エレメントの表す意味は、

 

  • ワンド=火……エネルギー、生命力、意思の使用
  • ソード=風……心の状態と心の使い方
  • カップ=水……人の情動と気持ちの状態
  • ペンタクル=地……世の中・人生における肉体的・物質的な側面
    (ディスク)
 次に、2の地位ということになりますが、2という数字は、陰陽、男女、善悪、形而上と形而下、顕在意識と潜在意識、二元論、二項対立、二律背反等、様々な組み合わせや、熟語・用語がありますよね。
 タロットでも、2つの対立する何かがあるという視点で2という数字を捉えます。
 
 タロットにおける2の地位は、調整、バランス、または選択ということになります。
 
 すなわち、2の地位は、
  • 二元論における調整、バランス、または選択を表している
二元論
二つの異なった原理を立て、それによって(考察範囲の一切を)説明する態度・議論。
 
 ここで、誤ってはいけないのは、必ずしも二律背反ではなく、2つの何かは共存が可能な場合もあるということを覚えておきましょう。
 
 では演繹してみましょう。
 
 今回は、ワンドの2 Two of Wands を取り上げます。
 
ワンドの2は、
ワンド=火……エネルギー、生命力、意思の使用

二元論における調整、バランス、または選択を表している

 

ということですから、

 

  • エネルギー、生命力、意思の使用の二元論における調整、バランス、または選択を表している
これで、カードの核心的な意味がわかるので、それを踏まえて、絵の解釈をするというのが第二段階でしたね。
 
 基本的にはワンドは、内面から出る活力という捉え方でいいでしょう。
 
 次に絵を見てみましょう。
 
まずは、ウェイト版ワンドの2は、
 
2本のワンドが、片方は固定され、片方は手に持っています。
どちらのワンドも火の象徴である赤色で、これは、火のエネルギーが満たされているということを示しています。
 
人物は、静かに手に持った地球を眺めているようです。
 
2の地位は、『エネルギー、生命力、意思の使用の二元論における調整、バランス、または選択を表している』ですから、
 
この人物は、手に持ったワンドか固定したワンドの間で、調整、バランス、または選択をしようとしているわけです。
 
固定されたワンドは、おそらくこの人物の居所=現在の生活で、手にしたワンドは彼の視線の先にある、もう1つの地球=新しい世界という解釈でいいでしょう。
 
この人物の服装は、みすぼらしいものではないですよね。
ですから、固定されたワンドがある現在の生活でも、彼は成功者なのでしょう。
 
その成功に飽き足らず、手にしたワンドとともの新しい世界へ踏み出す決断をするところなのでしょう。
 
リーディング上は、新しい方向性・挑戦を後押しするという形で読んでいけばいいでしょう。もう1つのワンドもしっかりと固定され、同じように赤色をしているのですから、両立させることも可能かもしれません。
 
この建物の飾りに白い百合と赤い薔薇が描かれています。
これは、認識、明快さ、真実、知恵といったものを表現しています。
 
この人物は、この2つのワンドに関して、十分に賢明な調整、バランス、選択ができることを表しています。
 
ネガティブな意味では、固定されたワンドは、もう成長がないということも読み取れるでしょう。バランスを欠いて、固定された側に軸足を置いてしまうと、せっかくの新しいチャンスを逃すかもしれません。
 
この人物が新しい世界に飛び立つには、この建物を出ないといけないかもしれません。踏み出す勇気がなかったり、固定されたワンドに対する執着心が強いと、この人物が持っている地球のように、新しい世界は単なるミニュチュア=絵に描いた餅ということにもなりかねません。
 
次にトートのタロットです。
 
2本のワンドが、ど真ん中に描かれることによってバランス、存在感、安定感を感じることができます。
 
トートのタロットの小アルカナの数札にはエースを除いて核心的意味が記載されています(コートカードやAceは、名称自体が核心と言えるので)。
 
Dominion - 支配
 
この2つの存在感あるバランスの取れたワンドを支配しているということです。
現在の状況を支配し、さらに、この力強いワンドを使って、火の象徴である生命力、活力、確固たる意思というものを支配していけるということも示唆しています。
 
これだけ力強いワンドは、現状だけでは使い切れません。
新しい方向性、新しい挑戦へのエネルギーが漲っている図案です。
 
リーディング上は、ウェイト版よりもさらに強く新しい方向性への示唆となっています。ウェイト版の人物が静かに立っているのに対して、トートのワンドは太く赤々として、バランスが整い、中央に安定感を持って描かれているので、このワンドを支配した者は、生命力、活力、確固たる意思というものに揺り動かされるはずです。
 
ネガティブな意味としては、非常に強いエネルギーなので、周りの環境や人間関係の中では反作用を受けやすいでしょう(天秤を想像してください)。
このカードの中ではバランスが整っていますが、他のカードとの関係で、このカードが強過ぎると判断できる場合があるということです。
 
もう1つは、このカードのエネルギーを意識しながら、古い状況に固執させる要素がある場合に、やはり宝の持ち腐れとなる可能性も否定できません。
 
 それでは、次回はソードの2を取り上げます。