今年も試験終了からひと月半。
だいぶ遅いけど
受験者の皆様、お疲れ様でした
来年の方向性も決まってきているでしょう

この試験、閉鎖的な国家試験であることは
長く受験している人はよくご承知と思います。
‥が、平成の終わりに入ってから
ちょっとずつ変わり始めてますね。
「変わったところ」「変わらないところ」
それぞれ挙げてみました。
変わったところ
●不合格者に得点が開示されるようになった
以前は惜しかった順にA~Dランクのみ通知だったが
平成30(2018)年からズバリ得点を通知
これで透明性は高まったかもしれないが
59点(1点足りず)心が折れて再起不能な人も現れたので
良かったとはいえない気がする
●修正テープが使えるようになった
ボールペンで解答する税理士試験
以前は間違えたら二重線訂正で書き直すしかなかったが
令和元(2019)年から修正テープが使用可能に
修正液もOKだけどすぐ乾かないから無理!
●試験問題と解答用紙を公開するようになった
長らく受験者しか問題を持ち帰れなかったが
令和元(2019)年から国税庁のページに問題と解答用紙を公開
毎年何かの科目で問題不備・解答不能が生じ
何ら訂正・コメントもない酷い状況だったが
これで第三者検証がしやすくなったはず
令和4(2022)年は「固定資産税」の出題ミスを認め
ようやく改善の兆しが
●受験するのに資格が要らなくなった
以前は日商簿記1級合格などないと受験できなかったが
令和5(2023)年から会計科目(簿記・財表)誰でも受験可能に
ただし、税法科目は依然として学歴や職歴など制約あり
●合格発表が2週間ほど短縮された
8月の本試験後、合格発表は12月中旬まで待たされたが
令和5(2023)年から11月末に早まった
変わらないところ
●採点・配点基準を公表しない
・公認会計士試験:偏差値による合格点を公表
・司法試験:標準偏差を求め得点調整を行っていると公表(論文式のみ)
・税理士試験:公表なし
受験者が情報開示請求を行った例はあるが「不開示」
国家試験なのにブラックボックスはおかしい
●模範解答を公表しない
同じくブラックボックス
受験者が開示請求したところ「不存在」。
じゃ採点者はどうやって○×付けてるの??
ちょっと前進したが、根本は変わらずってのが
総合評価でしょうか。
以前なら絶対になかった変化も!
そんな中、今年(2024)年の「出題のポイント」を読んだら
今までにない解説がありました。
「出題のポイント」は
・そのテーマを扱った意図
・解答してほしかった要点
について国税庁から発表される唯一のコメントです。
解説の分量・熱量・分りやすさは
科目ごとにバラつきがあるのだが
今年の「所得税法」の解説を読んで驚いた



令和6年度(第74回)税理士試験出題のポイント|所得税法より抜粋
どれも「受験者に期待する事」ですね。
税理士試験の勉強のやり方について
試験委員からここまで踏み込んだコメントは
今まで見たことがありません。
司法試験では
・全体的に出来ていた所、出来ていなかった所
・良い(優秀な)答案、悪い(不十分な)答案の例
・今後、法科大学院の教育に求めるもの
毎年「採点実感」として発表されていますね。
税理士試験もここまでやってほしいけれど
なかなか画期的なコメントでした。
計算問題は数字という絶対解があるのだし
採点・配点基準を公表してほしいと引き続き願います。