巨大ガス会社への投資

エネルギー分野全体で合併と買収の動きが続いています。

最近の取引で、Chesapeake Energy (CHK)は、全株式取引でライバルのSouthwestern Energy (SWN)を約74億ドルで買収することに合意し、これにより米国最大の天然ガス生産会社が誕生することになります。この新たに統合される会社の企業価値は、約240億ドルになります。

この取引は、昨年末に米国のエネルギー部門で熱狂的な取引が行われるようになって以来、天然ガスに焦点を当てた初めての大規模な買収となります。また、天然ガスに焦点を当てた米国の上流取引としては過去10年以上で最大規模の取引で、米国の液化天然ガス(LNG)輸出の長期見通しに対する自信を反映しています。

ChesapeakeはSouthwestern株主にChesapeake株1株当たり6.69ドルを支払い、Southwestern株主は保有するSouthwestern株1株当たりChesapeake株0.867株を受け取ります。合併後の会社は、希薄化ベース(すべての潜在株式が普通株式に転換し、オプションが行使されたと仮定するベースで算出される株式数の合計)でChesapeakeの既存株主が60%を所有し、残りの40%を現在のSouthwestern株主が保有することになります。

この取引は規制当局の承認を条件として、第2四半期に完了する予定です。統合後の両社は合併後に新たな社名を名乗ることになります。

巨大天然ガス会社

この取引は驚くべきものではありません。

天然ガスの価格はロシアによるウクライナ侵攻の翌年に急騰しましたが、2023年には大幅に下落したため、探査事業者らは支出についてより慎重になりました。

一方、ウクライナ戦争が始まって以来、欧州がロシアからパイプライン経由で輸送されるガスの代替を求める中、米国のLNG輸出の重要性が高まっています。そして、最良の掘削場所の多くはすでに所有またはリースされているため、企業が成長を続けるためには、厳選したガス生産地域を保有するライバルを買収することがますます重要になっています。このように、Chesapeakeにとってこの取引の背後にある論理は非常に単純であり、急増する米国湾岸沿いの液化天然ガス輸出の需要に応えようとしています。

この買収により、Chesapeakeは国内最大のライバルであるEQT Corporation (EQT)を追い抜き、アパラチアのマーセラス盆地とルイジアナ州とテキサス州東部にまたがるヘインズビル盆地の2つの重要な掘削地域で所有地を120万エーカーに拡大することができます。S&P Capital IQによると、新たに合併する両社は日量約74億立方フィートの天然ガスを生産し、日量約54億立方フィートを生産する現在第1位の生産会社EQTを追い抜きます。

ヘインズビルの追加資源は、Chesapeakeが前述のメキシコ湾からの液化天然ガスの米国輸出の増加をさらに活用できるようになるため、特に重要です。

Chesapeakeへの投資

ChesapeakeのSouthwestern買収への動きは、天然ガスのみに注力する同社の取り組みを強化します。この合併はChesapeakeの進化の次の段階を示すもので、Chesapeakeは生産量、確認埋蔵量、時価総額、企業価値の点で米国最大の天然ガス探査・生産会社となります。昨年、同社がテキサス州南部から撤退し、残りのイーグル・フォード石油資産をSilverBow Resourcesに7億ドルで売却したことで、より純粋なガス会社になるという同社の決断はさらに鮮明になりました。

合併後の会社は取引完了後すぐにS&P 500に追加されると思いますが、たとえそうでなくても、新会社の今後数年にわたる米国からアジアや欧州へのLNG輸出の増加を考慮すると「投資を検討すべき」銘柄となるでしょう。新会社は、将来の生産量の最大20%がガスの国際価格と連動すると見込んでいます。

これが1+1が2よりもはるかに大きくなるであろう数少ない取引の1つになると私が考えるもう1つの理由です。

そして、配当投資家にとっての朗報もあります。Chesapeakeの既存の株主還元枠組みに基づいて、合併後の5年間で1株当たり配当金が約20%改善するはずだと両社は述べました。Chesapeakeの配当利回りは執筆時点で4.7%です。Southwesternは配当を支払っていません。

堅調な配当とLNG輸出産業の活況によってCHKに強い追い風が吹いています。