草花が芽吹き小鳥たちがさえずる光景なんて私には存在しない。

 

あるのは雪と氷の世界。

 

コントロールすることも出来ず人を傷つけてしまう。

 

仮にそれが私にとって唯一の肉親である妹であったとしても

 

それを見た人びとは私のことを怪物と言ったわ。

 

私は慌てて人びとから

 

魔法の力が周囲に露見することを恐れその場から逃げた。

 

それからというもの私は誰とも会わず

 

扉を閉ざしたまま暮らしてきた。

 

笑うことを忘れた。

 

すべてはこの魔法のせい。

 

この魔法が憎い。

 

なぜ私はそれを背負って生まれてきたの?

 

そして何のためにこの世にいるの?

 

人を傷つけるため?

 

人から嫌われるため?

 

こんなにも辛い思いまでして?

 

どうすることもできない怒りの矛先が

 

自然とこんな私を産んだ両親に向けた事もある。

 

生まれる前から決められた使命だったとするなら

 

今すぐにでも悪魔になってやる。

 

いっそのことこの世界なんて

 

全てが凍って氷河期になってしまえばいいのよ。

 

そうすれば私1人だけが苦しむことなく

 

みんなにも苦しみを与えることが出来る。

 

こんな愉快なことはないわ。

 

その方が随分楽になる。

 

私を侮辱した者達に復讐してやるの。

 

真心?愛情?そんなものどうでもいいわ。

 

それがあるからといってこの魔力は私から抜け出てくれるの?

 

私の体と心は、どうせ氷みたいに冷たくできているのよ。

 

ちょうどそんな時だった。

 

妹のアナが来たのは。

 

私が傷つけてしまったのに。

 

まるでそれがどうかしたのと言ってるみたいに。

 

謙虚になれるアナが不思議だった。

 

時を同じくして

 

私が殺されそうになる瞬間が気が緩んだ隙に突然やってくる。

 

なのにアナがあいだに入り捨て身になって私を守ってくれた。

 

身を挺して私の身代わりになった。

 

あの時、アナが居なかったら私は今ごろ死んでいた。

 

私は驚いた。そして涙が枯れ果てるまで泣いた。

 

こんなにも自分以外の人間のために犠牲にできるなんて。

 

私が間違っていたと。

 

そこで私は気づいた。

 

今までの私は

 

自分さえよければいいと考え

 

あやゆるものを巻き添えにしようとしていた。

 

何かことが生じると、すぐ魔法のせいにして。

 

さも周りが悪いから私はこうなったんだというように。

 

哀れな被害者演じて。

 

人々が避けていくだけの虚像を全て自分が作り上げていたのね

 

素直に向き合わず、

 

私はどんな時も逃げてばかり。

 

罪を他になすりつけるズルい人間だったと思う。

 

自分で地に足を踏みしめ

 

しっかり立つことさえ忘れていた。

 

アナがどんな困難にも負けない勇気と情熱を持って

 

私に教えてくれたことで私は思い改め立ち直ることができた。

 

真実の愛を知った。

 

そして

 

今こうして私は陽の光を浴びて

 

ここに立っている。

 

ありのままの姿で。