「石原慎太郎」と「安藤組」 | なんでも書いちゃってます

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『安藤組と私(石原慎太郎)』

 

私は別段の興味を持っていた訳ではないが、

戦後一世を風靡し渋谷を席巻していた安藤組と

不思議な縁での関わりを持ったことがある。

その関わりというのはそれほど深刻なものではなしに

組幹部の数名と偶然に近い縁で知り合っただけで

周りから心配されたり咎められたりするような

深い関わりではありはしなかった。

しかし彼等との出会いはその後の世の中の変動の中で

彼等が示した存在感からすれば、一人一人の男としては

極めて強い像で記憶に刻まれている。

組のトップの「安藤昇」とは当人に知己を得る前に

彼の配下の「花形敬」「花田瑛一」そして「西原健吾」といった

精鋭たちとまさに奇縁で知り合い、

その背後にいた「安藤昇」とはさらに彼が組を解散した後に

思いがけぬ形で出会ったものだった。

彼等のグループは戦争中、

兵隊として命懸けで戦って生き残り、

敗戦によって増長した朝鮮人たちが

盛り場で好き勝手なことをし、

一般の市民たちをいじめるのを見兼ねて発奮し

彼等を排するために立ち上がった

血気盛んな若者たちが原型だった。

最初に知り合ったのは、

若頭ともいうべき「西原健吾」で

私の弟(石原裕次郎)が逗子の海岸で知り合い、

気安く彼を私たちの持つ小さなヨットに乗せてやった縁で、

当時は国学院大学の空手部の主将をしているという

快活な青年とすぐに仲よくなった。

その彼が葉山の森戸に合宿所を構えていた

慶応の水泳部の学生たちと悶着を起こし、

その夜森戸で果たし合いをする、相手は八人、

「西原健吾」一人というので私たち兄弟が助っ人として

手を貸そうかと名乗り出たら一笑され、

「あんたらは黙って横で見ていてくれ」と言われて出かけたが、

「西原健吾」の強さは圧倒的で彼の空手の技は冴えに冴えて

ほとんど一瞬にして慶応の学生たちは全員薙ぎ倒されてしまったものだった。

以来私たちは不思議な顔見知りとあいなった。

もう一人の幹部、「花田暎一」とは

私の初主演映画『日蝕の夏』のロケ地の

葉山のヨットハーバーの入口で出会った。

同伴していた共演者の「高峰三枝子」さんがしていた

サングラスをうっかり海に落としてしまったら、

横にいた見知らぬタフな男が

水深十メートルに近い水底まで潜って拾い上げてくれた。

その男のことをその道に詳しい撮影班の男に聞いたら

安藤組の幹部の花田だった。

その時はただ礼を言っただけで別れたが、

互いに水着姿のこととて高いものにつきはしなかった。

三人目の最高幹部、

プロレスの力道山も恐れて避けたと言われていた

「花形敬」はチンピラを片手だけで

四人殴り殺した(夕貴注釈・・・殴り倒した・じゃなかろうか)

という伝説の男だったが、

渋谷に限らず当時のどこの盛り場でも

彼の後姿を見ただけで

その筋の者たちは避けて通ったというような存在だった。

ある時、芝居仲間の浅利慶太と彼の行きつけの

渋谷の『どん底』というバーで飲んでいたら、

話題が渋谷を完全に取り仕切っている安藤組になり、

組のエースの「花形敬」の凄まじさが話題となり、

少しおっちょこちょいのバーのオーナーが粋がって、

「なんだあいつなんて、この店に来たら追い返してやらあね。

来るなら来てみろってんだ」。

胸をそらしてわめいたら、

それまでバーの隅で黙って飲んでいた

ソフト帽を目深に被っていた男が帽子を少し上げて、

「俺に何か用事かね。俺が花形だけどな」。



静かに名乗ったのには全員度肝を抜かれ凍りついたものだった。

その「花形敬」「西原健吾」も共にいざこざの話し合いに際して

互いに丸腰でという約束で出かけていったのに、

彼等を恐れた相手は拳銃を携行していて撃たれて

敢え無く死んでしまった。

(夕貴注釈・・・「花形」と「西原」ではない・

「花形」はいなかった・

空手4段「西原健吾」・

元、立大ボクシング部「矢島」の二人です)

ついでに詳細を私(夕貴)が書かせて頂きます

「石原慎太郎」様、

割って入り込み失礼いたします

K組といざこざの話し合いの場、

レストラン<外苑>に「西原」と「矢島」は着いた

午後六時相手の二人も現れた、

相手の男のレインコート(この日は雨だった)の

胸あたりが出っ張っていた、

明らかに日本刀を呑んでいるのを「矢島」は見逃さなかった

<しまった>と思ったがもう遅い<それなら、それで来やがれ>

「西原健吾」も「矢島」も後え引くような軟な男ではない、

話し合いといっても相手は「西原健吾」」を殺すべく用意を整えていた、

「西原健吾」も「矢島」も話し合いが目的なので、馬鹿正直に素手である!

(ピストル一丁ぐらいどちらかが持つべきである・甘いといわれても仕方なかろう)

しかし空手4段の「西原健吾」立大ボクシン部出身の「矢島武信」

素手での喧嘩には負けたことはない、おまけにクソ度胸もすわっている、

相手はからむべくして、からみ話がつくはずはなかった、

「てめえら話に来たのか喧嘩にきたのか、どっちなんだ」

業を煮やして「矢島」が立ち上がった、

「話をつけたけりゃお前たちは渋谷から出ていくんだ」

喧嘩支度を整えた二人(日本刀とピストル)をそれぞれ隠し持っていた、

なので高飛車に出てきたのだ

「それはてめえらの会の腹か、おめえ一人の腹なのか、

会の腹ならおめえらみたいなチンピラ相手に話しちゃいられねえ」

その時 周囲にいた男たちが静かに会談を降りて行った・・・

「安藤組は渋谷から出てってくれ」

そのやりとりを黙って横で聞いていた

「西原健吾」の怒りが爆発した!

「小僧よくもなめやがったな!」

 

相手はフトコロに握りしめていた拳銃を

立ち上がった「西原健吾」目掛けて連射した

至近距離だから外れることはない、

4発連射し3発が命中した

一弾は「西原健吾」の腹を食いちぎり

一弾は喉から肩に抜け、

一弾は心臓をかすめた

「このヤロー」立ち上がりかけた「矢島」の頭めがけて

レインコートの下に隠し持っていた日本刀がキラめいた、

更にもう いっせん後頭部から目じりにかけて切り裂かれた

「汚ねえ」

三弾をまともに受けた「西原健吾」は血みどろのまま、

それでも立ち上がるとテーブルを頭の上に振り上げた、

「くそー」

だが・・・テーブルを持ち上げたまま力尽きて

その場に倒れこんだ

ベージュの絨毯に鮮血が一気に吸い込まれていった

「チキショー」血の海に沈みこんだ「西原健吾」は

それでも相手を睨みすえたまま・・・・・絶命した・・・

 

「社長」(安藤組長)が帰るまで(出所)いざこざを起こすな・・・

が合言葉になっていたのに、下っ端のつまらない喧嘩で

「西原健吾」という「安藤昇」が「花形敬」とともに

最も信頼し頼りにもしていた男を亡くしてしまった!

まさに「安藤組長」が出所したばかりだった!

「花形敬」は「安藤組長」が収監されてるときに刺殺され、

すでに居なかった・・・

出所して、思い出すともなく「花形敬」の笑顔を思い浮かべていた矢先・・・

電話のベルがけたたましく鳴った

激しい雷雨と共に「安藤」の思いは叩き壊された・・・

時計は午前一時を回っていた、

「安藤昇」」は不吉な予感に一瞬包まれた・・・

「もしもし、社長いますか」

緊迫した「三崎」の声が痛いほど「安藤」の耳に飛び込んできた、

「俺だ」

「あぁ、三崎です、西原がやられました」

「なにーケガの具合は?」

「いや殺されました」

「・・・・・」

激しい衝撃が「安藤昇」」の全身を貫いた、

<夢であればいい、先刻の花形敬の笑顔の続きであればいい>

(夕貴注釈・・・「西原健吾」は「花形敬」の舎弟である)

「矢島は助かる見込みですが「西原」は即死同然です」

まさに青天の霹靂「安藤」は愕然と耳を疑った!

・・・・・あくる日先方の親分に当たる人の使いが来て

丁寧に謝罪されたがそれで収まる問題ではなかった、

みんな激高し涙を流し悔しがった!

二日後・・・・・

「西原健吾」の葬儀が雨の中でしめやかに行われた、

式場には組の若い者と

國學院大學空手部「西原健吾」の後輩たち、の列が続いた、

「西原健吾」の郷里、

九州から急を聞いて駆け付けた母親は

言葉もなく祭壇に合掌し祈り続けていた、

参加者の悲しみに反して、にこやかにほほ笑んだ

「西原健吾」の顔が更に悲しみを倍増させる・・・

静かな読経と共に長い虚ろな焼香の列が続き

冷雨が音もなく降りしきっている、

そして・・・出棺・・・

「みなさん最後のお別れを」

「西原健吾」の顔が現れたが弾痕にガーゼが当てられた

首筋が痛々しかった参加者の一人一人が生花をちぎって

棺の中に手向け蝋人魚のような顔と体がみるみる花でうずまった、

・・・その時 耐えに耐えていた老母の肩が大きく揺れ

「西原健吾」にしがみついた、

胃の腑から絞り出される悲痛な慟哭が・・・

周囲の人々の悲しみをかき立てた

「健ちゃんー!」

老母は花にうずまった我が子の顔見たさに・・・

懸命に花をかき分ける・・・

やっと現れた我が子の顔を優しく優しく撫でながら顔をすりつけた、

「健ちゃん!お前どうしてどうしてこんな姿になってしまったの、

健ちゃんお母さんですよ、わかるわね、痛かったろうね」

身をよじり、悲しみに耐える老母の姿が「安藤」には耐えられなかった

「健ちゃん静かにお休み・・・」

そこここで、嗚咽が起こった、

早くに夫を失った老母が女手一つで苦労して育て上げた

可愛い我が子の変わり果てた姿をかき抱き、

生きてる我が子に言い聞かせるような心の叫び、

「安藤」は針の筵に座らされたような苦痛と悲しみに全身が震えた、

血で血を洗う果てしない抗争、

それを数年間も体を張って生き抜いた結果は果たしてなんであったのか、

言い知れぬ孤独感が「安藤」の胸をしめつけた

「安藤」は組の解散を決意した。

昭和39年12月東京千駄ヶ谷講堂で

<安藤組解散式>が行われた

それから数日して暮れも迫ったある日

「安藤」は九州の「西原健吾」の実家に老母を訪ねた、

老母は「安藤」の顔を見ると、悲しみの涙を新たにしたが、

喜んで迎え入れてくれた、

「健吾が喜びますよ、さあさあよく来てくれました、

健吾は貴方が好きでここへ帰ってくるたびに

貴方のお話を聞かせてくれました、

ほんとに あの子は優しい子でご近所の子供が健吾がかえると

喜んで大勢集まってきたものでした、

「安藤」は耐えきれず縁先にたたずんだ、

「安藤さん貴方が立派な人になってくれれば、

健吾も喜びます、健吾はきっといつまでも、貴方を守っていますよ、

前庭に近所の子供たちの手で植えられた苗木があり

その根元の小さな立て札に書かれた

【健ちゃんの木】という文字が目いっぱいに潤んで見えた。

 

「石原慎太郎」様、割り入ってすいませんでした。

以下「石原慎太郎」様の記事に戻します・・・どうぞ

 

それがきっかけで安藤は組を解散し堅気になってしまった

その後、男前の彼は東映に見込まれ何本かのヤクザ映画に出演していたが、

彼の演じる役は他の誰よりも黙っていても迫力があり

歴然とした存在感があった。

私が彼と知り合ったのは彼が引退した後、

八丈島で釣り人相手の宿を始め、

衆議院に移った私が選挙区を伊豆諸島を含む

東京二区にしたことで、

ある人から彼が私の言い分を良しとしていると聞いて

島での支援を頼みに面会してのことだった。

その時私たち兄弟がヨットの縁で

西原の健坊と仲がよかったことを打ち明けたら

彼も驚き、いかにも懐かしそうに彼のことを話し出したのが印象的だった。

それで図に乗って、「あんたはなんであの

横井(英樹)を拳銃で撃ったりしたんですか。

あんなことをすればたちまち警察沙汰になり

監獄行きになるのはわかりきったことでしょうに」。言ったら彼が薄く笑って、

「いやね、それはわかりきったことだったけれど、

あいつが拳銃を向けて脅した私たちを鼻で笑い飛ばして、

『ここはお前たちチンピラの来るところじゃないぞ』と手で追い払い、

こちらも気おされて引っ込んでしまったが、

建物の玄関で頭にきて立ち止まり、

これじゃ男が立たぬと思い直してやってしまったんですよ」

と打ち明けてくれたものだった。

これは他の誰も知らぬ安藤秘話に違いない。

しかしいずれにせよ、ああした無頼の男たちとの出会いは

私の人生を妙な味わいに彩ってくれたような気がしてならないが。

それも互いに男ならではのことだろうか。

無頼は無頼でまかり通るというのも、

男としてのある種の勇気に違いなかろうに。

 

「石原慎太郎」氏の回顧録でした!

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「東興業」通称→(安藤組)の二大スター

「花形敬」・・・

ステゴロ(素手での喧嘩)では

「花形」に立ち向かう相手など皆無だった!

素手ゴロの王/伝説の喧嘩師の花形敬

顔には数十か所の刀傷・・・・・体にもしかり・・・

エピソードを一発・・ 

現(?)住吉連合常任相談役の「石井福造」氏

(元、安藤組)の回想・・・


 渋谷の盛り場で、「石井」が若い衆に命じて、なんか

金品巻きあげのようなことをやっていたらしいんですよ。
 で、ひとりになって靴磨きに靴を磨かせていると、

いつのまにか10人をこえる土方の一団に

まわりをすっかり囲まれていたことに気づくんです。

めいめいがツルハシとかハンマーをもってて---

要するにお礼まいりにやってきたというわけなんです---

石井さんも普通のおひとじゃない、腕には自信がある、

しかし、いくらなんでも相手が多すぎるし、

皆、武装までしてるんだからこれは分がわるい。

「靴磨いてんだ、終るまで待ってろ」

 とはいったものの、さて、どうしたものかと困っていたら、

そこに「花形敬」が現れたというんですよ。
 以下、本田靖春氏の著書より引用します。

「兄貴、どうしたんですか」


 花形は石井を立てるように、丁寧な物言いをした。


「いや、この連中が話したいというもんだから」
 

「ああ、そうですか。じゃあ、ここはまかせておいて下さい」


 土方たちをうながして先に立った花形は、

渋谷大映裏の空地に入っていった。
 

ここでも片がつくのに「何秒」しかかからない。

リーダー格と目される男の顔面に、いきなり花形の右ストレートが伸びた。

その一発で、男は横倒しになり、完全に失神した。


 パンチの勢いに驚いて、他の連中は四方へ逃げた。

その中の一人を追い掛けた花形は、追いつきざま、

相手の腰に飛びついた。千歳の生タックルである


 三メートルは飛んだと石井はいう。

地べたに叩きつけられた男の顔を三つ、四つ踏みつけておいて

花形は石井に声を掛けた。


「さあ、行こうか」


 息も乱れていない。


「そういうとき、花形は格好つけないんですね。

何事もなかったような顔してる。強いのも強かったけど、

度胸が凄い。十人くらいいたって、平気なんだから。

負けるなんて、全然、考えたことないんじゃないですか」
 

 これは、いまになっての石井の感想である…。

(「疵-花形敬とその時代-」文春文庫より)・

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「安部譲二」特異なキャラクター

(詳しく知りたい方は私のブログで)

5ページぐらい、さいて詳しく書いてますので

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「森田雅」・・・(安藤組、第四番隊、隊長・

剣術(鹿島神流の達人)

 

安藤組の「森田雅」さんの著書「修羅場の人間学」によると
力道山と対峙した時に現場にいたのは
安藤組 第四番隊隊長 森田雅さんと
第三番組隊長「花田暎一 さんでした。
花形敬さんは出所間もなかったので
組長の警護と事後の交渉にあたっていたそうです。

森田雅さんは作家で元安藤組の「安部譲二」さんが
「花形敬よりも強かった、渋谷で一番強かった男」
と言っています。
喧嘩の腕に加えて剣術の鹿島神流の達人でした。
剣道の大会に出場して勝ち上がっていた時には
大物政治家から「ヤクザが警官に恥をかかせるな。」
と言われて辞退したそうです。

刑務所に入っていた時には刑務官の剣道の師範として
「先生」と呼ばれていました。
達人・森田さんに教わると格段に腕が上がり
警官・刑務官の剣道の大会で勝ち上がれたのです。

特別扱いを受けて、特別室で生活して
刑務官と同じ食事を刑務官の給仕で食べていました。
毎朝刑務官が
「先生おはようございます。今日もお願いします。」
「おう。」
稽古が終わると
「先生ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」
「おう。」
だったそうです。
この辺りの話は安部譲二さんの著書
「極道渡世の素敵な面々」に詳しく載っています。

 

ここから、前頁の続き↓

「安藤昇」」は噴き出す血を押さえながら「蔡」を懸命に追った

「蔡」も懸命に逃げる銀座の路地から路地を死に物狂いで逃げてゆく

 

顔が鉛をぶら下げているように重い、頬を押さえた手首から腕を伝い

生暖かい鮮血がほとばしる・・・

どうしても「蔡」に追いつけない、

7丁目まで来たとき「蔡」も息が切れたのか

いきなり「山小屋」という酒場に飛び込んだ、

一足違いの「安藤」の目前で厚い木の扉が閉められ

内側から鍵をかけられてしまった、

「ちくしょう、出てこい 蔡」

「安藤」は背丈ほどのある 小窓によじ登り怒鳴った、

頬からは心臓の激しい鼓動とともに、どくどくと血が噴き出している、

道行く人から通報されたんだろう、

アメリカのMP二人が駆け付け「安藤」を確保した、

「離しやがれ てめえらの出る幕じゃねえ」

MPと日本の警察官に確保され「安藤」は白いジープに乗せられ・・・

新橋の<十仁病院>に運び込まれた、

病院の鏡を見ると片手のこぶし、が入るぐらいの傷が口を開け、

ザクロのような肉の塊がぶら下がり、

そこから、どくどくと血が噴出している、

<これが俺なのか、これが俺なんだ>

醜く変貌した顔は悪鬼のようで、身震いする ぐらい恐ろしいものだった!

首から胸にかけてどろどろの血のりで染まっていた、

「チキショー・一張羅が台無しだぜ」

警官もあきれ顔で「安藤」をみている、

今朝方<壱番館>製だとみんなに自慢していた背広も

アローのYシャツもネクタイもチョコレートの靴も、

血のりがへばりついて無残に汚れている、

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話が前後しているが・

MPと日本の警官により病院に運び込まれた「安藤昇」の手術は終った、

繰り返しになるが、

ずいぶん長い時間に思えたが実際は一時間半、

23針、中縫いを入れると30針縫った、

じっとりと浮かび上がった脂汗を看護婦がガーゼで丁寧に拭ってくれた、

<安藤社長>切られるの報告を受けて・・・

早々と舎弟連中が7~8人詰めかけて来た

「入院したほうがいいんだよ君」医者が言った、

周囲の者もすすめたが

「安藤」は振り切って表に出た、

脈打つたびに激痛が体中を殴りつけるように走った、

頬は相変わらず100kgもありそうな鉛をぶら下げている感じだ!

 

【身体髪膚之を父母に受く】か~

とうとう俺はヤクザのレッテルを派手に顔につけちまったな~

両親が見たらどんなに嘆き悲しむだろう・・・

 

「安藤」の急を聞いて駆け付けた8人の舎弟を引き連れて

新宿の「紅葉館」という旅館に行き二部屋借りて横になった、

横になると悔しさが倍加されじっと天井のシミを睨みながら

一晩中、まんじりともしなかった・・・・

明け方 やっと 短時間ウトウトと、まどろんだ・・・

目覚めて「安藤」はすぐに鏡を見た顔は異様に膨れ上がり・・・

包帯をとり、ガーゼを引きはがして傷口を見ると血が黒く固まり、

左の耳の上から口元にかけて大きなムカデが一匹

へばりついているようだった!

 

口惜しさが腹の底からこみ上げてくる

<チキショー今日こそ「蔡」をふん捕まえて叩っ切ってやる>

 
 

「勝!」・・・

「安藤」は舎弟を呼ぶと<築地署>へ電話をかけさせた、

憎っくき「蔡」は傷害罪で留置されてるらしい

 

<そうだ!留置場で面会し その場で叩っ切ってやろう>

 

「安藤」は考えるより早く立ち上がり

舎弟の「三崎」の持ってきた洋服に着替え

一尺八寸の白鞘をフトコロにすると

「勝」一人に目配せし<築地署>へ向かった

 
 
 
 


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