東日本大震災から、15年になりました。

震災後に生まれた赤ちゃんも、中学を卒業する年齢になりました。

震災時に小学1年生だった子供たちも、成人し、大学を卒業して社会に出ていきます。

震災を引き摺るのではなく、それぞれの幸福と未来のために前を向くべきだと思いますし、ほとんどの方は、前を向いていると思います。

それが、亡くなられた被災者への供養にもなると思います。

 

もちろん、震災の経験は活かされるべきです。

大地震が起きると、どんな災害に襲われるのか、どうすれば生き延びられるのか、どう備えれば良いのか、人と人の繋がりがどれほど大切なのか、語り継いでいくことは、本当に大切なことだと思います。

そのためには、正しい情報と理解が必須になります。

 

 

 

 

 

 

以前(去年だったかな?)、TVで、気象予報士が地震雲を否定しました。

それが、ネットニュースになっていました。

私が見た時点で80件ほどのコメントが入っていましたが、その内の2割弱が、地震雲を否定的に捉えていました。

 

正直、愕然としました。

 

 

コメントの多くは、自身の経験や巷の話題をベースにしていました。

経験談は、信憑性があり、無視はできません。

 

ただ、否定意見の中には、「科学は、仮説と実証の繰り返しで積み上げられる」との趣旨のものがありました。「雲が出現した場所、高度、形状等と、震源、規模、時期等と対応させて検証することが重要だ」とするものです。

これは、真っ当な意見であり、地震雲の否定意見とは言え、無視すべきではありません。

 

 

 

 

さて、地震雲は、どんな雲でしょうか。

 

日本の大半は温帯湿潤気候なので、四六時中、どこかに雲は見えるものです。

子供の頃、雲を見ながら、「あの雲、ゾウさんみたい」とか、「クジラに似てる」とか、想像力を巡らせた経験はあるでしょう。

色々なものに喩えられるくらい、雲には様々な形状があります。

 

科学的に考えるなら、「見たことない雲だった」では済ますべきではありません。

また、「科学者は、地震雲の研究をすべきだ」と、地震雲研究を他者に押し付けるのも、ちょっと違うと思います。

専門家である気象予報士が「地震雲はない」と言っているのに、「地震雲はある」と主張する以上、自分自身で科学的な証拠をまとめるべきです。

「地震の直前に、見たこともない雲が現れた」くらいでは、科学的とは言えません。

と言っても、過去に見たことがある雲を全て覚えていられるはずもありません。

 

であれば、雲を分類し、雲の成因を分析することが重要になりそうです。

成因まで分析すれば、その時の大気状態では発生し得ない雲が現れた時、「地震雲かも?」となるのです。それは、「見たこともない雲」なんかより、遥かに科学的な証拠になります。

 

 

では、どんな雲が、大気状態で説明できない、即ち地震雲の候補になるのでしょうか。

 

地震雲は、地下の震源域から放射されるエネルギーの影響で発生する雲です。

エネルギーの放射点は、地下の震源域にあります。

距離の2乗に反比例してエネルギーは減衰するので、地表に近いほど影響が出やすいはずです。

 

大きな災害を引き起こす地震の多くは、地下10〜20kmくらいで発生します。

震源からエネルギーが放射されるなら、飛行機雲が現れやすい高度10kmより、地表付近は2〜4倍も強い影響があるはずです。

であれば、下層雲が地震雲の候補になります。

また、震源域の真上に止まり続けるはずです。

 

下層雲には、層雲、層積雲、積雲があります。

層雲は、地形の影響を受けて、同じ場所に止まることがあります。ですが、地形の影響が強いので、地震との関係を区別するのは、中々面倒です。

層積雲は、視野全体に広がることが多いので、動いているか、地上での確認は困難です。『ひまわり』の画像を確認した方が良いでしょう。

でも、広域に広がっていたら、震源を特定するのは難しいでしょう。

積雲は、動きを確認しやすい雲です。一点に止まっていれば、簡単に見付けられます。

当然、動かない積雲があれば、その直下が震源のはずです。

 

積雲は、晴れた夏の日中に出やすいので、冬の夜間に積雲が現れ、しかも空の一点に止まることがあれば、気象現象で説明しにくく、地震雲の候補になります。

大地震は、夏には少ないとの説もあります。(怪しい説ではあるが・・・)

冬の層積雲は、初期の地震雲研究には適していると言えるでしょう。

ただ、雲の動きは遅いので、長い時間の観測が必要です。

震源からのエネルギーの放射が始まれば、エネルギー放射は地震発生まで続くはずなので、地震発生まで雲が消えるとは思えません。

なので、一点に止まる雲は、確認が容易だと思われます。

 

 

 

地震との関係を調べなければ、価値が半減します。

 

 

まず、震源です。

動かず高度も低い積雲なので、1kmも移動して観測すれば、雲の位置は、1km単位くらいで特定できるでしょう。

雲の位置を1km単位で特定できれば、震源域との比較は容易です。

 

地震が発生すると、震源の緯度経度が1分(角)単位で発表されます。これは、距離に変換すると、ざっと1.3〜1.8kmです。

M7の地震でも、震源域の広がりは、精々、震源から40kmくらいです。

地震雲は、震源域の真上に出るはずです。

なので、M7の地震なら、地震雲と震源の距離は、40km以内になるはずです。

M6なら、地震雲から震源の距離は、最大でも4km以内になるはずです。

 

 

次に、時期との関係です。

 

前述のように、地震発生まで動かない雲が、地震雲です。

地震雲を作るエネルギーは、震源から供給されます。

エネルギーの候補の一つは、ピエゾ効果による電磁気力です。

ピエゾ効果は、特定の物質に圧力を掛けた際に生じる電圧です、

地下で岩盤に圧力が掛かることで電圧が生じ、その電荷によって地震雲を生じさせるとするものです。

 

岩盤に掛かる圧力が地震前に消え去るとは考えられない(消えたなら、地震は起きない!)ので、地震雲は、地震の瞬間まで動くことはないはずなのです。

地震発生時まで消えない雲が、地震雲の候補です。

 

仮に、地震のエネルギと地震雲が発生する期間が比例すると仮定します。

兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の規模なら1日前から地震雲が現れるなら、1400倍の規模の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)なら、4年前から現れていたはずです。

兵庫県南部地震では、前日の夕方には地震雲が出ていたとされているので、東北地方太平洋沖地震なら、東北地方の太平洋沖には、2年前から地震雲が滞留していたはずです。

衛星画像でも、確認は容易なはずです。

 

 

最後は規模です。

 

地震雲は、ある時期に現れ、地震発生の瞬間まで、その場に止まり続けるはずです。

であれば、地震雲の出現から地震発生までの時間は、地震の規模に関係するのではないでしょうか。

 

地震雲の発生メカニズムは、ピエゾ効果に起因すると推定しました。

ある限界点を超えた時に地震雲が発生するのなら、それが地震の最小規模になるかもしれません。

また、地震雲が出現してから地震発生まで、岩盤への圧力は増していくはずです。

ならば、地震雲が出現してから地震発生までの経過時間と、地震の規模について、相関を調べて示すことが大切です。

 

また、地震雲の大きさも、地震の規模と関係する可能性があります。

地震の規模は、震源域の広さに比例します。

なので、震源域から放射されるエネルギーで作られる地震雲は、震源域全体に広がるはずなので、地震雲の広がりは、地震の規模に比例するはずです。

衛星画像を基に、雲の面積を計測し、地震の規模との相関を示すべきでしょう。

 

 

 

 

さぁ、地震雲を探しましょう。

 

探すべき雲は、下層雲です。

動かない雲を見つければ良いのです。

その雲は、地震が発生するまで居座り、地震発生後は、消えるか、流れ去ります。

 

注意すべきは、高層雲です。

高層雲は高い所にある、即ち、地上の私達から遠い所にあるので、動きが鈍くなります。

低層雲と比較すると、角速度(見た目の動きに相当)は、1/5から1/20と非常に遅く、一見すると止まっているように感じてしまいます。

これを「動いていない。地震雲だ」とする素人が多いので、キチンと区別しなければなりません。

それ以前に、高層雲は、震源から遠いので、地震雲の可能性はほぼないでしょう。

 

そのあたりに注意しながら、地震雲を探すところから始まります。

 

 

 

 

残念ながら、私は、地震雲を見たことがありません。

また、地震発生まで、震源の真上に滞留した雲の話も、聞いたことがありません。

「地震雲を見た」との話は耳にしますが、飛行機雲を始めとする高層雲が多く、地震雲が持つはずの特徴が見られません。

前述の兵庫県南部地震の雲も、飛行機雲の特徴が見られるので、地震雲ではないでしょう。

科学的な基準に照らして『地震雲』と言えるものが、全くないのです。

 

 

「地震の前に見たから、地震雲以外には考えられない」と言う人もいるようです。

地震雲の研究者の中に、『地震雲教』の信者が紛れ込んでいるのでしょうか。

御神体の『雲』を「地震雲さまぁ!」と拝んでいるような、そんな感じなのです。

 

前述の気象予報士は、「地震を正しく恐れる」「誤った情報で周りの人の不安を煽らない」と注意を促しているのに、「気象しかわからない」とか、「勉強不足だ」といった、人物自体を否定するかのようなコメントまであるのです。

『地震雲教』の教義なのでしょうか。

地震雲を信じない人には、攻撃的な一面も見せます。

 

『地震雲教』の狂信者には、「気象予報士に地震の何がわかるか!」などと喚く者もいます。

気象予報士は、13000人ほどいるので、中には、地震の研究者もいるでしょう。なぜなら、気象学も、地震も、地球物理学の一分野だからです。

そんな人なら、地震も気象も専門家なので、地震雲が存在するなら、既に解明されているでしょう。

「気象予報士に地震の何がわかるか」って言われたら、「おととい来やがれ」と言い返したいところでしょうが、相手は地震雲教の狂信者なので、「触らぬ神に祟りなし」です。

まぁ、これくらいした方が良いのでしょう。

 

『地震雲教』の信者か、真っ当な地震雲研究者かは、割と簡単に見分けられます。

地震雲以外の雲を分類できないのに「地震雲を見た」と言う人は、信心の深さは別にしても、『地震雲教』の信者です。

地震雲とそれ以外を見分けられないなら、地震雲の研究をできるはずもありません。

普通の雲を正確に見分けられる人は、真っ当な地震雲研究者の可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

ごちゃごちゃ書いてきましたが、『地震雲』なんか存在しないことが、見えてきたのではないでしょうか。

 

文中では、地震雲に可能性があるような書き方で始めましたが、実際には、地震雲があるとは思えません。

 

地震の規模は、概ね震源域の面積に比例しますが、震源域が最終的に決まるのは、地震の岩盤破壊が止まる時です。

つまり、地震の規模は、地震が起きるまで決まらないのです。

地震の規模を予想するには、岩盤破壊が止まる場所を推定する必要があるのです。

岩盤破壊が止まる場所を推定して、それを地震雲に変換してくれるとは思えません。

人類は、過去の経験から「大地震が起こり得る」とは言えますが、地震雲が過去の経験に基づいた判断を雲の形成に反映できるとは思えません。

 

また、文中では、数時間か数日で一気に歪が溜まると取れる表現をしていますが、実際の地震は、短くても数十年、長ければ数千年も掛けて歪を溜めていきます。

例えば、限界点の99%に達した時に地震雲が出現するとしても、数十年間も地震雲が出続けることになり、極めて不自然です。

 

 

 

地震雲が存在すると考えると、色々と不自然なことが出てきます。

「地震雲は存在しない」と考えるのが、自然な考え方でしょう。

 

冒頭で、「80件のコメントの2割弱が、地震雲を否定的。正直、愕然とした」と書きましたが、8割が地震雲を肯定的に捉えていることに愕然としたのです。

日本人の科学的なセンスやリテラシーの低さが、気になりました。

 

 

地震雲?

 

日本、終わった!

 

 

 

震災の経験を後世のために活かすためには、正しい情報と理解が必要です。

くれぐれも、地震雲のような非科学的な言説に惑わされないようにしたいものです。

 

非科学的な地震雲を吹聴することは、震災の経験を活かすどころか、デマで埋没させてしまうことになります。

それは、生死に関わらず、全ての被災者に対しての冒涜とも言えます。

 

 

 

現地では、語り部たちが、何が起きたのかを一生懸命に伝えようとしています。

彼らは、真実を伝えようとしています。

私達は、語り部が伝えてくれる正しい情報から、何が起きたのかを理解し、何に注意すれば良いのか、どう備えなければならないのかを考えるのです。

 

 

語り部が行っていることは、ある意味、報道機関の本来の役割なのです。

 

真実のみを伝える

 

それを理解し、次に活かすのは、聞いた者の責務とも言えます。

薄っぺらな思い付きで地震雲を吹聴する者がいても、無視していかなければなりません。

 

 

 

 

【追伸】

報道機関は、「本来の真実のみを伝える」を忘れ、主観を真実のように報じます。

報道機関の原点は『語り部』にあると思います。

個人的な想いには蓋をし、真実のみを伝えてもらいたいと思っています。

 

当ブログは、地震関連の記事を多く書いています。

なので、地震が発生すると、デマにならないように、地震関連の話題を封印し、「地元自治体や報道機関の情報に耳を傾けてください」とだけ書いています。

報道機関は、視聴率のためにデマの片棒を担ぐようなことはやめ、真実のみを伝えて頂きたいと願っています。