今回で、『巨大地震注意の反省会』も終わりにします。
最大の問題は、巨大地震注意を発表しても、できることは基本的に存在しないということです。
その一方で、大地震が起きる時には、『巨大地震注意』が発表されていない可能性が高いのです。
でも、今までと同じペースでしか『巨大地震注意』が発表されず、かつ『巨大地震注意』が発表されていない時には南海トラフ地震が発生しないと仮定すると、今後30年間の南海トラフ地震の発生確率は、2.4%弱にしかなりません。
『巨大地震注意』が発表されている時に南海トラフ地震が起きるのなら、生涯(100年間)で南海トラフ地震に遭うリスクは、1/13しかありません。
逆に、『巨大地震注意』の期間内に70%の確率で南海トラフ地震が起きるのなら、今後は、38日毎に『巨大地震注意』が発表されなければなりません。
8月8日以降、今日までに3回か4回は『巨大地震注意』が発表されていなければ、『巨大地震注意』の期間内に南海トラフ地震が発生する確率は、どんどん下がっていくことになります。
元々、『巨大地震注意』の検討に入る条件が、南海トラフ地震の予想震源域内かつプレート境界でM6.8以上の地震が発生した場合となっているので、そんな地震が平均38日毎に起きるはずもありません。
だから、『巨大地震注意』の発表中に南海トラフ地震が起きることは、奇跡に近いのです。
『巨大地震注意』は、『大本営発表』に近いものです。
ほとんど命中することのなかった対空砲で、日向灘の地震を「至近弾となった。損害を与えた可能性がある」と言っているような感覚です。
「損害」とは、南海トラフ地震のことです。
続く言葉は、「被弾機は、1週間以内に墜落(巨大地震が発生)するかもしれない」ですか。
笑えます!
『巨大地震注意』には、この程度の価値しかありません。
元々、『巨大地震注意』の精度に関係なく、地震予知には、価値はほとんどないのです。
むしろ、デメリットの方が大きく、社会への影響が残ります。
米騒動は、その最たるものでしょう。
急激な米不足が発生し、新米で不足が改善した後も、価格高騰が続きました。
社会不安を引き起こしたのに、今回の『巨大地震注意』による経済的な損失について、日本政府は集計する気がないようです。
民間の試算では、2000億円前後の損失があったとされています。
巨大地震注意が発表されている時に、実際に巨大地震が起きる確率は1.6%程度ですから、地震が発生するまでに12兆円くらいの経済的損失が出る計算です。
今回の対策で、12兆円相当の減災にならないなら、『巨大地震注意』は意味がありません。
政府は、こういった試算を行っていないようです。
どうやら、『巨大地震注意』について、本気で反省する気はないようです。
おそらく、『巨大地震注意』に意味がないことは、気付いていると思われます。
ですが、終わらせるとなると、責任問題が出かねず、自身のキャリアを棒に振りかねない決断は、避けたいのだろうと思います。
私が担当なら、『巨大地震注意』は、終わらせます。
昇進が遠ざかる程度なら、甘んじて受け入れます。
ただ、降格や辞職となるなら、『巨大地震注意』の制度が決まる過程を暴露し、本やTV出演で収入を得ることを考えざるを得なくなるでしょう。
『巨大地震注意』は、ほとんどメリットがなく、デメリットが多い制度です。
デメリットを拡大させ、今更やめられなくしているのも、マスコミの理科離れが強く強く影響しています。
なので、マスコミに、『巨大地震注意』を批判する権利はありません!
『巨大地震注意』は、静かに退場願いたいことろです。
これくらいで、反省会は終わることにします。