6.政治家を信用してはいけないのか?

 

「政治家にとっての不都合な点を改正するのでも、問題ないのでは?」と思うかもしれません。

ですが、その考えは、捨てるべきでしょう。

 

 

本来、憲法は、全ての法律の基となるものです。

この機能があるので、立法府や行政府の暴走を抑える機能も果たします。

憲法には、為政者の暴走を抑える機能があるのです。

だから、憲法を為政者寄りに改正することは、危険なのです。

 

仮に、今の政治家を信用できたとしても、将来的に、厄介な政治家の出現を許すことになりかねません。

信用するか、しないかの対象となる政治家は、未来の政治家です。

未来にどんな政治家が現れるのか、予測できないので、大原則として、政治家を信頼しない前提で、憲法の改正内容をチェックしなければならないのです。

 

 

 

因みに、現政府・与党を信頼できるかと言うと、改正草案からは、少々怪しい印象です。

 

と言うのは、改正草案では、現行の「国会議員の三分の二」が「半分」に下がり、かつ国民投票も、「有効投票の半分」に変えるとしています。

これは、与党が発議すれば、ほぼ確実に国会は通過し、国民投票も、高い確率で通過します。

憲法の改正が現状より格段に容易になるので、憲法が持つ為政者の暴走を防ぐ機能が、大きく低下します。

これは、「憲法を蔑ろにする考えだ」と、取ることができます。

 

まあ、今の政治家が信じられるか、信じられないかは、憲法改正では、どうでも良いことですけどね。

考えなければならないのは、狂気の政治家(独裁者)が現れても、改正後の憲法は、その狂気を抑えられるものなのか、それとも増長してしまうのかです。

 

「今の政治家を信用できるから、改正案に賛成する」というのは、発想として幼稚だと言われてしまうでしょう。

 

 

 

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