忘れもしない野積海水浴場

台風のフェーン現象で新潟県長岡市が観測史上最高の40.6度を記録!というニュースを見ました。

芸能記者を長くやっているととんでもない“怪情報”に振り回されることがあります。
その体験のひとつがこの新潟県長岡市だったことを思い出しました。

今から3年程前の2016年9月上旬のこと。

当時私はこの年の4月までオンエアされていたNHKの朝ドラ『あさが来た』の五代友厚役、ディーン・フジオカを徹底マークしていました。

そんな私に突如として飛び込んできたのがー
「今、JR長岡駅前でディーン・フジオカがドラマのロケ中!」
「私もディーンを駅前のタクシー乗り場で目撃しました!」
という一般人のツイッターでした。

当時ディーンは翌月から始まるドラマ『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)の撮りに入っていました。
織田裕二主演、土屋太鳳共演で話題になった例のドラマです。

数時間経過した頃、またツイッターで「今日の14時くらいから野積海水浴場でこのドラマの撮影が行われるそうです。みんなでディーンを見に行こう!」という追加情報がリークされました。

そこで私は現地の警察関係者に確認の電話を入れ、ロケの事実を確認しました。

その答えはー「確かにこの時間に取材申請は提出されています。会社はTBSさんですね。ただ出演者の確認は出来ていません。手続き的には先方の出演者の名前を事前に報告する義務はありません」ということでした。

そしてこの関係者は「『アミューズ』という会社の俳優さんと聞きました…」と余計な事!を私に言ったわけです。

御存知の通りディーンのマネージメント・オフィスは『アミューズ』です。

事件はこの関係者のやり取りからしばらくして起きました。

ディーンがドラマの撮りをする予定の現場から“全身白骨化した遺体”が発見されたのです。

ディーン見たさに海水浴場に集まった数百人の見物客が騒然となったのは言うまでもありません。

そして日を置かず、私は現場に向かいました。

予期せぬ遺体発見時のディーンの混乱ぶりを取材するためです。

タイトルも既に頭の中に浮かんでいました…“ディーン・フジオカ、白骨遺体発見!で驚愕!!”と。

長岡駅に到着してからすぐにタクシーに乗り込みました。

駅から車で40分、野積海水浴場は前日夜からの大雨で閑散としていました。

映画『砂の器』のワンシーンのようです。

雨の中、海水浴場を端から端まで歩きましたが、ひとりとして海水浴客とはすれ違いません。

当たり前です、数10㍍先も霞む程の大雨なんですから…。

改めて警察関係者にコンタクトを取ると、遺体は既に司法解剖に回され、家出捜索人の身体的特徴と照合中とのことでした。
発見時の状況から、遺体は男性で、身長は180㌢、茶色の靴下を履いていたと教えてくれました。

海水浴場を端から端まで歩いたあとは、浴場近辺の民家への聞き込みです。

雨の中、傘も差さずずぶ濡れの薄汚れたオヤジに、住民たちは協力してくれるのでしょうか…心が折れそうでした。

この聞き込みで解ったことは、このロケは同じTBS系列の『信濃のコロンボ事件ファイル』というドラマの収録で、主演はディーンと同じ『アミューズ』所属の寺脇康文だったということ。

TBSと『アミューズ』という2つのキーワードが私の判断をミスリードに導いたのでしょう。

ある民家の玄関で、寺脇とのツーショット写真を見せられたときには思わず玄関に倒れそうになってしまいました。

あのツイッターは一体、なんだったのでしょうか…。

白骨化した遺体の、この世への惜別の思いに呼ばれてしまったのでしょうか…?