ライクオールドタイム

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♯1からの続き・・・・

ケイのブログ-///



7「こんなときは」・・・・ベース加藤さんが詞、曲ともライティングしたいわば、ほのぼのナンバー。四枚目のアルバム「CHRONICLE」の「ないものねだり」を思わせるような牧歌的なこの曲は、いじらしい恋幕を歌いながらも、最後は「寝るに限る」と、投げ出しのようで、かつ的確な解決法に望むという、マイペーススローペースな加藤さんらしい展開を見せてくれます。

この曲はもちろんこれだけで完結するけど、アルバム全体として、この曲のキーの音色を用いたニクい展開を見せてくれる演出が施されています。是非、通しでアルバムを流しながら聴いてください。

キーボードのダイちゃんが言っていた「映画のような一枚」というこのアルバム評の一因ともいえる、技工的で面白い展開に心が踊るハズ!!

9「fire」・・・・フジファブリックを知った頃に聴いていた「陽炎」や「赤黄色の金木犀」といった叙情詩ナンバーがこのバンドの特色だと思って、ファーストアルバム「フジファブリック」の「追ってけ追ってけ」を聞いた時の衝撃は大変なものでした。

なんだこのヘンテコな曲は!?という衝撃と、こんな変わった曲も作るんだ、という、これまでのフジファブリック像を壊したサウンドは味わったことのない新鮮なものでした。

そして今回、その衝撃はこの曲にもって再来しました。

ドラムのこもったような打ち込みと、まさしく熱の揺らめきを感じるキーボードの音色。それに続く溶けるようなソウ君の歌声。

ここでいう「fire」とは、たぎる熱さではなく、巻き上がるような、フレアの舞いのようなゆらゆらした熱の噴出を思わせます。

サイケ100パーセント。これまでのどのフジファブリックの曲でもない異色のナンバー。聴き込むほどにはまっていきます。

11「春の雪」・・・・うーん、ソウ君作詞作曲による、当アルバムミディアムナンバーの二作目はとてつもなく壮大で、切なくて、荘厳。

溢れ出すセンチメンタルにふさわしい詞世界は、小説の一シークェンスとしても通用しそうなほど文学性が高いものとなっております。

チェロの旋律と、繊細なアルペジオ、それをまとうキーボードとベース、ドラムの重なり合い。間奏の重録音を用いたコーラスは、タイトルにある雪をイメージしたというけど、その説明がなくとも、雪と思わせる、職人の域に達した表現方法。

切なくて優しい、やわらかいひだまりのようなぬくもりに溢れたこの一曲には、まだ見ぬたくさんのドラマを想起させるような希望にも溢れています。必聴です。

12「Light Flight(アルバムバージョン)」・・・・昨年秋にリリースされた「Light Flight」の冒頭にソウ君のピアノプレイノイズが加えられました。といって、ほんの少しの変化なのですが、この変化は「春の雪」との連なりの中で大きな化学反応を起こしています。

「春の雪」の厳かな雰囲気をそのまま持続されるという意味でも、アルバム全体の構成を引き立たせるためのテクニックとしても、この変化は「春の雪」と一体であって成り立つ変化なのです。そのため、まさにフィナーレを飾るにふさわしい役回りを担っているこの曲は、その役割を充分に果たし、究極の余韻を持ってリスナーに、イヤホンを外させるのです。

かつてを思う感傷と過ぎ去った日々を追憶する心を、流星のきらめきの如く、儚くしたたかに歌いあげるバラードソング。名曲「若者のすべて」を思わせる切なさに在りし日の「あのフジファブリック」を思うことが出来ます。



前作から月日は流れ、テクニックも、フジファブリックの味わいも、ぐっと深みを増した様子がこのアルバムから感じられます。

前作はどこか正統的で、想像の至る範囲のナンバー揃い(それでも面白みは満載。高クオリティ)だった印象でしたが、今回はかつてのフジがそうであったような、面白さや遊び、独特の挑戦が全面に押し出されたユニークかつオリジナリティに溢れた作品に仕上がった印象を感じます。

彼らなりの新しいカラーが染み付いた傑作。ぜひ、お聴きを。