「女帝 小池百合子」⑤ | のんびり・ゆったり

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 さらに『女帝 小池百合子』を読み進めた。

 

 私はもともとテレビを見ない人間だったが、家族で食卓を囲む時はテレビ好きの家族に合わせて、よくニュースは見ていた。

 

 2019年末から始まったコロナ騒動。テレビの中ではフリップを持って『三密』を唱え、『ステイホーム』『ロックダウン』などのカタカナ用語を口にする小池百合子氏が映っていた。

 

 私はコロナワクチンから政治に興味を持つようになったため、全くの政治音痴で、この時初めて都知事の小池百合子氏をまじまじと見た。『三密』も流行語対象に選ばれたり、オリンピックを華々しくしてくれたり、私は完全にメディアに乗せられて、『よくやっている都知事』と勘違いしていた。

 

 そんなコロナ騒動の最中、都知事選が行われた。何も知らない私は、こんなに一生懸命コロナ対策をしたのだから、もちろん小池氏の再選は間違いないだろうと思っていた。ところが新聞の週刊誌欄に「『先生、助けて』と小池百合子が飛び込んだ雨の夜」と言う文字があり、不思議に思った。盤石な選挙だと思うのに、何か小池都知事には不安要素があるのだろうか? と。私もメディアの小池百合子像に騙された一人だった。

 

 石井妙子さんの著作に戻ると、2020年の都知事選に当たって、小池氏の学歴詐称疑惑が大きく騒がれ、都議会でも厳しく追求されている。

 

 これまで小池氏は三回、卒業証書を提示してきたが、どれもこれも不備があって、万人を納得させるものではなかった。小池氏は女性であるのに、英語であるミスではなくミスターが使われていたり、大学のロゴが違っていたり、不鮮明な部分があったり、見る人が見ればすぐに違うと思われるものだった。

 

 また国際ジャーナリストの山田氏は小池氏の話すアラビア語に違和感を抱き、小池氏の立場や地位などを隠した上でエジプト人に語学力の検証を頼んだところ、「あまりにもお粗末でカイロ大学を卒業して通訳をやっていたという話は疑ってしまう。話す文章は完結しておらず、普段私たちが使うことのない単語を使っている」と述べている。

 

 しかしカイロ大学では小池氏の卒業が認められていた。カイロ大学は国立大学であり、小池氏はエジプトの大統領とも面識があった。エジプトには日本から多額のODAが投入され、それを原資にカイロではオペラハウス、道路、橋が作られ、カイロ大学にも一部お金が渡っている。

 

 2020年の都議選の前にも、駐日エジプト大使館のフェイスブック上に突如、「カイロ大学は正式に小池百合子氏の卒業を認める」という文書が発表され、それが新聞に載った。こうして小池氏は都知事選を切りぬけ、更に3期も都知事を務めることになった。

 

 そうした中、石井妙子さんが「女帝 小池百合子」を綴ったのは、嘘を知ってそれを隠し続けることの北原百代さんの罪悪感を軽くする思いや、ご自分自身の「ノンフィクション作家は常に二つの罪を背負う。ひとつは書くことの罪、もうひとつは書かぬことの罪。私は後者の罪をより重く考え、執筆した」という考えからだった。

 

 またメディアに対しても、「真贋を見極めることを放棄すれば、虚が実を凌駕するようになる」と警告している。

 

 私はこの本に出会うまでは、小池都知事をいいイメージで捉えていた。それはテレビで知る彼女のイメージからだった。これからは、いろいろなところから情報を得て、私も真贋を見極める目を持ちたいと思う。

 

 そう感じながらも、「小池百合子」という幻がこれからどこへいくのか目が離せない気持ちがする。(完)