今の北京は両会真っ盛り、毎日その日に両会で話された議題がニュースになって駆け巡ります。国会というには何かが「議論される」という雰囲気はないですが、何か様々な意見が「言い放たれる」感じがするのがこの機会です。未来に向けたの意見具申か、言いっ放しの「ガス抜き」かはともかく(後者な気もしますが)、セクターを問わず全人代代表、政治協商会議代表は、その圧倒的な人数により多くの「提案」を残していきます。

 ここでは、個人的に関心を持っております「三農問題」に関する、各種メディアに載ったこの一両日の気になる発言を、ちょっと硬いメモ書きにはなりますがまとめてみました。

○張暁山・全人代代表(中国社会科学院農産発展研究所所長)

・(農村には女性・子供・老人しか残っていないのではないかという問いに)それは誤解、それなら7年連続の食糧増産をどう説明するのか。自分の理解では1)農業の機械化、2)農作業の社会化(アウトソーシング)、3)現代農業の担い手がプロ農家(=篤農家、原文「専業農個戸」)になっていることによる。

・都市農村建設用地割当バランス制度(訳注:うーん、訳が難しいですね。原文は「城乡建设用地增减挂钩」)は耕地保護のための発意だが、農地や農民の利益には目もくれず、都市の拡張、土地譲渡金の獲得に地方政府が走ってしまっている。政策の問題は政策自体にはなく、体制の中の深い矛盾である。

○銭克明・全国政治協商会議委員(農業部市場及び経済情報司・司長)

・都市と農村の労働市場が一体化した後も、これまで農家の土地への投入に労働力のコストはカウントされてこなかった。今は出稼ぎをする「機会費用」と見比べての農作業従事であり、今後の新しいチャレンジだ。

・土地の私有化には反対。土地は就業機会へのクッションとなっていて、社会的コストを減らしている。

○陳錫文・ 全国政治協商会議委員(中央農村工作領導小組弁公室主任)

・(一部地域で村の合併により建設用地を確保しようとしている動きに対して)村の形成は何百年に渡り、血縁地縁関係が重要な役割を果たしている。世界のどこを見ても建設用地の割当のために農村住宅を取り壊し、村を壊しているところはない

・農民をアパートに住まわす時には、彼らの生産方式まで変えないと、収入は増えず、支出は増えるばかり。最初の3年は管理費無料、水・電気無料だとか何とかおだてられて住んでいるが、3年経ったらどうするというのだ?

・耕地は占有できないので、農民の住宅を壊し、村を合併する。そして、実際に建設用地の割当が来たら都市近郊の一番の農地をつぶしてしまう。今は野菜が値上がりしているが、都市近郊の野菜が無くなったのが原因だ

・地方の幹部はこう嘆く;中央政府は農業を重視するというから、そうしないわけにはいかない。でもいくらやっても苦労ばかりで、GDPの成長に対してはマイナスだ、(2006年の農業税廃止後)財政収入への貢献もない。そんな農業をどう重視しろって言うんだ?
(以上、3月8日新京報より)

○韓長賦・全人代代表(農業部部長)

・昨年の農産品価格上昇は、インフレ期待、食糧の国際価格上昇、投機マネーが起こしたもので、それに農業生産コストと土地コストの増加も関係がある。

○中国民主促進会(注:中国には実は共産党以外にも結構政党がありまして、これもその一つ。両会の一つである政治協商会議は元々共産党と統一戦線を組む「民主党派」と呼ばれる、知識人などを主とした「野党」(まあ共産党が「永久与党」なので野党と呼ぶのはおかしいですが)との「協商」の場として機能しています。)

・「土地管理法」に土地請負期間を満期後自動更新とする(=請負経営期限を設けない)。長期に安定した土地請負関係という17期三中全会の精神を実施するもので、土地の規模を固定化することで、家族が増えても土地が増えるものでないと認識させ、結果計画出産政策にも資する。

○謝旭人・財政部部長

・昨年の全国国有土地譲渡金の総収入は2兆9397億元(前年比106.2%増)、土地への需要が高いことと、立ち退きのコストが高まっていることによる。これらを農村水利や低価格公共住宅(保障性住房)建設に使っていなければならない。

○劉錫榮・全人代代表・全人代法律委員会副主任委員(元中央規律委員会副書記)

・今の時代、土地で設けられないのは能力のないリーダー、土地を転がせる書記や市長はできるリーダーと言われているが、こういう言い方は批判されるべきだ。

・土地譲渡による収入は全て予算の中に入れるべき。農民が土地を出して貢献したわけだから、予算は社会保障、高齢者福祉、医療、教育、技術トレーニングなど、農民に対して使われるべき。予算の中に入ってくれば人民代表大会も監督できる。
(以上、3月8日京華時報)