Sat 231014 ヒロシの時代の宏たち/揚げ物ズラリ/疲れた胃袋と懇親会願望 4441回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 231014 ヒロシの時代の宏たち/揚げ物ズラリ/疲れた胃袋と懇親会願望 4441回

 吾輩は、猫ではないが宏ではあって、正式なフルネームは「今井宏」である。だからと言って街で出会った人が「あ、今井宏先生だ!!」と感激してくれたり、「あ、今井宏だ!!」「ホントだ、今井宏だ!!」とフルネームで囁き合って、薄ら笑いを浮かべたりすることには大きな違和感がある。

 

 富山の出張の時にもヒコーキの中で、「もしかして今井宏先生ですか」と目を丸くして声をかけてくれた30歳代と思われる女子がいらっしゃったが、「はい、今井です」とラストネームだけで頷くことにした。

 

 思えば21世紀の日本、青少年で「ひろし系」というか「ヒロシ系」というか、この名前はすでにかなりの少数派、というかむしろレアものなんじゃないだろうか。いま30歳以下の人で、「小学校のクラスにヒロシがいた」「中学時代の友人がひろしだった」と断言できる人はそんなに多くないはずだ。

 

 しかし20世紀の後半、あるいは昭和の時代とは、要するに「ひろしの時代」と言っても過言ではなかった。ひろしはクラスの男子の半分とは言わないまでも1/4、いや1/3近くを占めていて、「ヒロシにあらずんば男子にあらず」という勢いだった。

 (富山駅前で、揚げ物づくしのランチ。まずは白海老から)

 

 ひろし系の芸能人を思いつくままにあげてみても、五木ひろし・舘ひろし・布施博・馳浩・阿部寛・かまやつひろし・三山ひろし・ヒロシ・黒澤博・猫ひろし・川口浩・三上博史・生島ヒロシ・黒鉄ヒロシ・角川博・円広志ときて、まさに枚挙にいとまがない。

 

 もちろん次第次第に人々の記憶から薄れていっているオカタも少なくなくて、角川・川口・猫・円あたりに瀬戸際感がなくもないが、まあほとんどが現役、「この人、知らない」「この人、だーれ?」と、若い世代からソッポを向かれることはまずないと信じたい。「ひろしの時代」は、中高年を中心にいまだに健在なのだ。

 

 しかもこういうひろし軍団から、ワタクシはあえて今井と同類の「宏」を除外しているのだ。ひろし全体集合から、部分集合「宏」に含まれる要素を列挙すると、久米宏・関口宏・小川宏・玉置宏・玉木宏・荒俣宏、若干インテリ系ないし知性派を気取った小難しい人が多くなる。

 (富山駅前の揚げ物づくし、続いてドジョウ君たちが登場)

 

 しかし諸君、こういう人たちと街で偶然出会った場合、彼らのファーストネーム「ひろし」「ヒロシ」を除いて、「ラストネームだけでびっくりしてください」とお願いするのには、完全に無理がある。

 

 まさか「お、久米だ!!」「お、関口だ」「お、舘が歩いてる」「おや、向こうから玉木がくるじゃないか」、そういう驚嘆は信じ難い。

 

 ましてや万が一「猫ひろし」などという人物を見かけた場合、まさか「猫だ!!」という人はいないだろう。「吾輩は、猫ではなくて、猫ひろしである」、そう反論されるに違いない。

 

 万が一「荒俣宏」に出会った場合、あまりのヒロシの多さにびっくりして「あら、またヒロシ?」などというダジャレを口走って平気なのは、まさにこの今井宏先生ぐらいのものだろう。

 

 というわけで、いったい今日の今井宏先生が何を言いたかったのかといえば、別に何にも言いたいことなんかなかったのであって、「文章を書く人には必ず『イイタイコト』があるはずだ」などと、中学校の国語の先生みたいな無理なことを言わないでほしい。

 

「ただふざけたい」「ただ薄ら笑いを浮かべていたい」、そういう中年オジサマの典型的欲望と、中高年オジサマの典型的欲求におつきあいしていただきたいだけ、そういうことだって少なくないはずだ。

(牡蠣の天ぷら。ただしこちらは東京渋谷区、現在ハマっているお蕎麦屋さんのもの 1)

 

 ワタクシがこんな欲望と欲求の虜になるのは、やっぱり「懇親会なし」「祝勝会なし」「お食事会も宴会もなし」という余りに厳しい日々が続くせいである。

 

 すでに諸君、3年半、こんな苦境の中にいる。コロナ退散、インフルエンザ退散、ワタクシは日々それのみを祈って、マジメに単独祝勝会を続けている。

 

 しかし諸君、講演先やら公開授業先、つまり余り馴染みのない出張先の街で、単独で「旨い店」「おいしい店」「気持ちのいい店」を発見するのは至難のワザだ。クチコミを信じて入店すると、まもなく「いやはや」「いやはや」と冷や汗をぬぐう羽目に陥る。

 

 油断すると、今日の写真の「揚げ物オンパレード」ないし「揚げ物責め」みたいになる。昨日紹介した「海の神 山の神」は、なかなか旨いお店だったが、公開授業の翌日、富山駅至近の店で時間を潰そうと試してみた店は、うーん、やっぱりたっぷり冷や汗を流した。だから店の名前は書かないことにする。

(牡蠣の天ぷら。ただしこちらは東京渋谷区、現在ハマっているお蕎麦屋さんのもの 2)

 

 まず注文した「富山おでん」、メニューには北陸名物「かに面」があった。カニの甲羅の中にカニの身をぎゅっと詰め込んだ一品で、そりゃ旨いに決まっている。

 

 ところが諸君、このお店のカニ面には、世にも酸っぱいオボロ昆布が「これでもか?」というほど乗っかっていた。

 

「世にも酸っぱい」とはどのぐらいの酸っぱさかというに、まず今井宏君自身が鼻をつまんで悶絶し、お隣のテーブルのお客も強い違和感と不安感にさらされ、お店の外を通りかかった人たちだってきっと「おお、酸っぺえな」と頷きあったに違いない。

 

 というわけで、まず最初のおでんで今井宏は「この店はスッペーからシッペー♡」と判断。この独特の今井宏語を現代日本語に翻訳すれば、「この店は酸っぱいから失敗」と判断したわけである。

(富山駅前でおでんを注文。右が「かに面」、その上にたっぷりかかっているのが、問題の「スッペーおぼろ昆布」。おお酸っぱかった)

 

 しかしそれでもせっかく時間つぶしに入ったお店だ。カンタンにさっさと出てしまうには忍びない。ビールもお酒もたくさん残っていたし、「お通し代」だって払った。まだもう2品、運ばれてきていない料理もあった。

 

 それが諸君、問題の「揚げ物オンパレード」だった。まず、白海老の唐揚げ軍団。続いてドジョウの唐揚げ一揆。まあ今日の写真を順番に見ていってくれたまえ。最初のスッペーシッペーおでんに続いて、揚げ物、揚げ物、また揚げ物だ。

 

 すでに疲労しきっていた我が胃袋は、揚げ物の油の激烈な攻撃に締め上げられ、全く食欲が湧かない。というか「食べてみよう」「食べてあげよう」という優しい気持ちになれない。

 

 全てが敵に見え、白海老の一向一揆、ドジョウの土一揆、越中富山の揚げ物一揆に包囲されて、今井為景軍(昨日の記事参照)はあえなく潰走寸前になった。

(渋谷のお蕎麦屋で出汁巻き玉子をいただく。オイシューございました)

 

 しかも諸君、驚いたことにこのお店、今井宏は初めての経験ではなかったのである。何を隠そう富山駅前でこれが3回目の訪問。そのたびにほぼ似たような憂き目にあうのだが、いつでも大混雑の富山駅前で、この店だけはいつもガラガラ、ほぼ0秒で空いた席に案内してもらえる。

 

 というか諸君、正確には「どちらでもお好きな席にどうぞ」なのであるが、驚くなかれそれと同じ時間帯、周囲のお店はどこもみんな長蛇の列、入店まで30分も1時間も列に並んで待たなければならない。

 

 この状況を思えば、「スッペー」「シッペー」も宜なるかな。諸君、「宜」と書いて「むべ」と読む。「吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ」。六歌仙の1人が文屋康秀による有名な秋の歌。赴任地・現在の愛知県岡崎あたりの秋風の冷たさを詠んだわけだ。

 

「むべなるかな」とは「なるほどなあ」「もっともだなあ」の類いの詠嘆の意味。ただし「むべ」にはアケビ科の植物もあって、漢字で書くと「郁子」である。

 

 はて郁子、そりゃ「いくこ」じゃないんですか?「うちのクラスの男子の3割はヒロシでしたけど、女子の「郁子」も3人いましたよ」という中高年も少なくないだろう。青少年だって少なくないだろう。

(東京渋谷区、ハマているお蕎麦屋さんで、最もハマっているのがこの「アボカド醤油あえ」。いつでもよく熟れたアボカドを出してくれる)

 

 しかしどうして「郁子」で「むべ」かについては、4年半前に書いた長い長い記事があるので、是非そちらを参照してほしい(Thu 190117 センター直前/神頼み&豚汁/苔寺/コケケッコ(京都すみずみ14)3787回)。

 

 ただしこの記事、いつものことながら気が遠くなるほど長い。長くて長くて、たまらないほど長い。しかしこの程度の長さのものが「長すぎて読めねえぜ」などと弱音を吐いているようじゃ、たかが共通テストの英語にさえ立ち向かえない。

 

「どうしたら速く読めるようになるんですか」の問いに対する最もカンタンで正確で誠実な答えは、「長くて読み応えのある文章を出来るだけたくさん読みたまえ」の一言なのだ。

 

 だから諸君、ヒロシの時代の宏と郁子から、速く読めるようになるための第1歩として、上のふざけた記事を読んでみることを是非オススメしたい。まあとにかく、試しに読んでみたまえよ。

 

1E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 1/2

2E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE 2/2

3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8 

4E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.9

5E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 1/3

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