Mon 211025 東京は寒い日が続く/4mmの丸刈りに/萩焼の徳利で燗酒 4109回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 211025 東京は寒い日が続く/4mmの丸刈りに/萩焼の徳利で燗酒 4109回

 いやはや、東京は寒い。さっきまで暖かい福岡にいたから、なおさら寒さがギュッとこたえる。もちろん福岡だって、博多駅前にはもう巨大クリスマスツリーが立ち、ヒトビトは分厚い真冬のコートまで持ち出していたから、きっとある程度は寒いんだろうが、東京は今日も床暖房が必要な寒さである。

 

 一番寒さがこたえたのは、先週の金曜日22日だった。午前11時から床屋さんを予約していて、降り出した冷たい雨の中を、ホントに久しぶりに傘をさして、徒歩10分の床屋さんまで歩いて出かけた。

(福岡のANAクラウンプラザホテルにて。渋谷区の床屋さんで「ヒゲもアタマも4mm」にしてもらった翌々日、赤ワイン3杯を飲んだ後のワタクシ。最近ちょっと元気がない)

 

 その10分で、「手がかじかむ」という体験をした。そりゃ12月や1月に手がかじかんでも、別に何とも思わない。何しろコチトラ秋田の出身だ。高校時代は吹雪の中を手袋もせずに、片道40分の道のりを毎日自転車通学した。

 

 雪道の自転車はマコトに厳しいものがあるが、それでも16歳から18歳の今井君は、積雪20cmでも30cmでもちっともひるまない。ブレーキの掛け方にスキルが必要で、スキルなしにギュッとブレーキを握ると、思い切りスリップしてスッ転ぶ悲劇につながるが、今井君にはそのスキルも備わっていた。

 

「せめて雪の季節だけでも、バスで通学したら?」とおっしゃるお節介なヒトビトもいたが、「バス停まで歩くのがイヤ」「顔面に雪を浴びながら雪道を飛ばすのが爽快」と、たいへんな頑固ぶりをイカンなく発揮した。

 

 医学部志望から文転した直後、高3の2学期末テストだって、チャンとラクラク乗り越えた。受験勉強は日本史と世界史と古文と漢文に変わっちゃったが、期末テストは物理と有機化学と数学Ⅲの微分積分。いやはやあの日々の厳しさは今も忘れがたい。その証拠に、今でも1年に1回は「明日は数Ⅲと物理の期末試験」という悪夢にうなされる。

(コキアを見にいった帰り、茨城県勝田の駅で「ひたちなか海浜鉄道」の1両列車に遭遇 1)

 

 もう1つ、1年に1回のペースでうなされる悪夢に、「授業がうまくいかない」というヤツがある。夢の中ではもうとっくにチャイムが鳴ったのに、使うべきテキストが分からない。とりあえず教室に行こうと焦るのに、講師室のカウンターにチョークケースが見当たらない。

 

 エレベーターも動いていない。階段を駆け上がるのだが、そもそも教室が何階にあるのか分からない。たどり着いた教室では他のセンセが授業を始めている。慌てて何回かエレベーターを昇ったり降りたりすると、給湯室に出たり、給食を準備中のオバサマたちと押し問答になったり、「どうやら校舎を間違えたようだ」という情報が入ったりする。

 

 それでも何とか教室にたどり着くと、さすがに悪夢の真っただ中だ、出席者は定員の20%ほど。何と言ってもビックリするのは、教壇がユラユラ揺れている。高さは1メートル以上なのに、幅が30cmぐらいしかない。

 

 そのユラユラの教壇に何とか両足を踏ん張って立ってみるのだが、テキストのどのページを講義すればいいのか分からない。どこのページを説明し始めても、「せんせー、そこじゃありませんよ」という声がかかる。もうチャイムから30分も経過しているのに、どうしたらいいのか分からない。今井ほどの大ベテランになっても、まだこんな悪夢にうなされる。

(コキアを見にいった帰り、茨城県勝田の駅で「ひたちなか海浜鉄道」の1両列車に遭遇 2)

 

 ところで諸君、何の話をしていたかといえば、書いている本人さえ忘れかけたが、「1022日の東京で手がかじかむほど寒かった」というテーマだった。コチトラ秋田の出身で、吹雪の道を40分、手袋なしで自転車を颯爽と走らせた。だから、10月下旬の東京で手がかじかむなんて、ニワカには信じがたい話だった。

 

 床屋さんは、9月中旬に初めて行ってみた渋谷区の店で、30歳になるかならないかの若者がそれこそ颯爽とお客を捌いている。すでに2人も3人も従業員を雇いいれ、昭和レトロ調にまとめたオシャレな店は、客層もそれなりにハイレベルな様子である。

(コキアを見にいった帰り、茨城県勝田の駅で「ひたちなか海浜鉄道」の1両列車に遭遇 3)

 

 そんな格調高い店で「丸刈りをお願いします」と言うのは少なからず気がひけるが、アタマ6mm、ヒゲ4mm、バリカンでスカッと一気に短くしてもらうのはマコトに気持ちがいい。

 

 今回は訳あって、普段は6mmのアタマの毛も、今回は思い切って4mmまで短くしてもらった。こりゃもう出家した高級オジサマ、いやそれどころか功徳あふれる古寺の高僧の趣であって、あんまりありがたくて鏡の前でナムアミダ、このままホントにお坊さまになっちゃってもいいぐらいだ。

 

 しかし諸君、今井君にはまだまだたくさんの仕事が押し寄せてくるので、いきなり出家だのお坊さまだの南無阿弥陀だの、そういう無茶は決して許されない。というか、今もなお煩悩やらユラユラ教壇の悪夢やらにうなされている分際で、出家なんてのは思いもよらないのである。

(ひたち海浜公園にて。コキアより、ススキのほうが元気に風に揺れていた)

 

 ではいったいどういうわけで「アタマも4mm」という思い切った高僧スタイルにしたかというに、そのあたりの事情は、もう少し後になってから告白した方がよさそうだ。

 

 実はこれから11月中旬にかけて、どうしてもスーパー清潔を心がけなければならない事情があって、アタマの毛っけもこのぐらい短くしておいた方がいいと判断した。

 

 そして諸君、写真の今井君がどう見てもあまり元気がない理由は、要するに元気がないからであって、あんまり元気がないからずっとオウチにいて能と狂言と文楽ばかり見ていたら、ますます元気がなくなった。福岡のホテルで自撮りをしてみても、なかなかブログに掲載できるような元気な1枚が見つからない。

 

 ならば掲載しなくていいようなものだし、こんなオジサマの写真をどうしても見てみたいと望むヘソ曲がりもなかなか存在しないだろうが、ブログの世界の衰退ぶりにションボリし続けているワタクシとしては、こんなションボリ顔でも1枚ぐらいここに示して、自らをギュッと励ましたい一心なのである。

(東京駅KITTE内「とみ田」にてラーメンをすする。通の皆さまは、みんな自信たっぷりにつけ麺を注文していた)

 

 憎っくきコロナどんは、いよいよ土俵際に追い詰められたようである。みんなであんなに酷評したスガさんコーノさんニシムラさんタムラさんのワクチン一本槍、せめて誰か1人でいい、「これは評価していいんじゃないか」と言ってあげていい。一方的な罵倒や罵詈雑言は、青少年の教育にマコトによろしくないと信じる。

 

 おかげで諸君、東京も博多も広島も、すっかり息を吹き返した。電車の中もヒコーキの中も、お互い一定以上の配慮をキチンと続けながら、ヒトビトは次第に元の元気を取り戻しつつある。

 

 こういう局面で、今井君ばかりがいつまでもションボリしているわけにはいかないから、寒くて寒くて手がかじかんで耐えられなくなった22日夜、ワタクシはついに「日本酒をお燗して飲む」という行動に出た。

(夏に萩で購入した萩焼の酒器。10月22日、ついに出番が回ってきた)

 

 この夏に山口の萩を訪ね、閑散と静まり返った萩の街で、萩焼の徳利と盃とコーヒーカップと湯のみ茶碗を購入。しかし臆病なワタクシは、あまりに気に入った徳利をなかなか実際に使用する気になれなかった。

 

 しかし22日、あまりの寒さにとうとう我慢ができなくなった。美しい萩焼にまず日本酒を1合。1合はカンタンになくなって、もう1合。燗酒には寒さこそ最高の伴侶であって、萩焼の徳利から萩焼の盃へ、注げば注ぐほど旨くなる。

 

 3合目もたちまち消え、「獺祭」の4合瓶を逆さにして瓶の尻をポンポンたたき、最後の一滴まで残さず徳利に移し、またまた古い人形浄瑠璃を3時間、1人静かに堪能しながら、金曜日の夜は静かに更けていった。

 

 というか、気がつけば午前4時。ワタクシは今もなお、午前2時3時4時、こういう時間帯を愛してやまない。これがもし能ならば、小野小町や深草少将の亡霊が、はるか過去の悩みと苦しみを語り尽くし舞い尽くして、静かに舞台を去っていくのとまさに同じ時間帯なのである。

 

1E(Cd) JandóMOZARTCOMPLETE PIANO CONCERTOS vol.9

2E(Cd) JandóMOZARTCOMPLETE PIANO CONCERTOS vol.10

3E(Cd) Brian McknightBACK AT ONE

4E(Cd) Isao TomitaShin Nihon Kikou

7D(DPl) 能:観世流 俊寛(観世寿夫 宝生弥一)/ 観世流 猩猩 乱(観世寿夫 宝生弥一)

10D(DPl) 文楽:国性爺合戦「楼門の段」豊竹咲大夫  「甘輝館の段」「紅流しより獅子が城の段」竹本住大夫

total m80 y932  dd26772