Tue 210112 集中力が全て/東大コース/この時期の人気記事/カウントダウン9/3991回 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 210112 集中力が全て/東大コース/この時期の人気記事/カウントダウン9/3991回

 不愉快で情けない、恥ずかしくダラシないニュースが毎年毎年こんなに頻繁に続くと、「予備校講師界の重鎮」を自ら任じている今井君としても、いったいどう反応していいか分からない。

 

 コトの詳細は全く知らないし、知っていても語りたくないから、徹底して沈黙を守ることにする。ま、予備校講師界の重鎮じゃ、せいぜいお習字の文鎮程度の重さ。沈黙してもしなくても、別に大勢に影響はない。

 

 何のコトか分からないかもしれないが、分からないなら分からないままでいい。せっかく受験生諸君が明るい未来にはばたこうとしている今この時に、その素晴らしい加速度に冷水を浴びせるような話はよろしくない。諸君はまっすぐに前だけを見て、それぞれのVロードを突き進めばいい。

 

 昨日の大学ラグビー決勝戦、ワタクシは天理大学の集中力に圧倒されてしまった。半世紀近く熱烈な早稲田ファンを続けてきたが、あれほどの濃厚&濃密な集中力を見せつけられては、やっぱり受験生のことを思わずにはいられない。

 

 大切なのは、研ぎ澄まされた集中力。鍛え上げた抜群の基礎力を信じて、迷わず突進する集中力があればいい。福岡を代表する公立スーパー進学校・修猷館高校の出身者を3人もメンバーに揃えた今年の早稲田を熱烈に応援していたが、ゲームの中盤から天理の集中力に惚れてしまって、思わず「天理、もう1本行けェ♡」と絶叫していた。

(快晴の東大駒場キャンパス。学生諸君の姿も戻ってきていた)

 

 というわけで、ワタクシは不愉快な話については語らないし、知らない読者は知らないままでいる方がずっといい。今井が何か語るだろうと期待した読者もいらっしゃるようで、週末から週明けにかけて更新もしていないのにアクセス数が急に増えたりした。しかしワタクシは語りたくないので、語らずにスルーすることにする。

 

 そこで諸君、ワタクシはお正月からまた東大コースのウォーキングを始めた。イヤなことを語るのはイヤだが、何も考えずに歩くのはマコトに心地よい。18歳までを過ごした秋田の1月は、とてもウォーキングを楽しめるような環境ではなかった。18歳で東京に出てきて、快晴の日の連続に驚かされた。

 

 いやホントは、1月の秋田でもワタクシは日々ウォーキングを楽しんでいた。当時の自宅から丘の上の秋田高校まで、徒歩で1時間。目の前が見えないほどの猛吹雪の中、さすがに自転車登校は諦めて、往路も復路も歩いて通学した。

 

「たとえ雪道でも意地でも自転車」という時期もあった。高1から高2にかけては、積雪30cmの雪道を自転車で押し通した。ブレーキをかけると危険だから、両足を地面につけてそれをブレーキ代わりにした。

 

 しかし諸君、高校3年ともなればもう18歳。「そろそろ自分も一人前の紳士」という意識が芽生えて、深い雪道を自転車で押し通すようなヤンチャはそろそろ恥ずかしくなった。落ち着いた黒いウールのコートに革の手袋、いっぱしの紳士のつもりで白い息を吐きながら歩いた。

(東大駒場キャンパスにも、たまには曇りがちな日だってある)

 

 それが受験生時代、カッケーつもりの今井君である。バリバリの文系アタマなのに無理やり医系&理系クラスに在籍し、東大文科一類に早稲田政経、試験本番がぐんぐん迫ってくるのに、1月の学年末テストは物理に有機化学、数Ⅲの微分積分に四苦八苦して、英語にも日本史にも古文にも全く手付かずで過ぎていった。

 

 それでも、別に焦りはない。何しろ紳士気取りなのだ。紳士たるもの、焦りが表情や動作に出るようではいけない。休み時間にも、落ち着いて岩波文庫を読んでいなきゃいけない。受験参考書を開いてヒーヒー言っているような姿は許せない。辞書を引かないでイギリスのペーパーバックスを読むフリもしてみた。

(京王井の頭線、駒場東大前駅。見よ、諸君への門戸は広々とひらけている)

 

 学年末テストが終わって、理系の数学も物理も化学もマコトに見事に突破、2月上旬に上京した。上京の前々日から大雪が降って、秋田発の特急列車は5時間も遅れて上野に着いたが、それでも車内の今井君は何しろ「紳士」だから、岩波文庫とペーパーバックスと山川出版の日本史教科書を代わりばんこに熟読した。

 

 日本史の教科書にも、書き込みは絶対にしない。アンダーラインもつけないし、色とりどりの綺麗なマーカーで色塗りなんかも一切していない。何しろ大人の男のつもりだから、そんな子供っぽいことはしてはならないのだ。

 

 一応教科書は読むけれども、それも普通の読書の一環で、言わばエンターテインメントとして歴史をエンジョイする。いやはやマコトに馬鹿げた受験生であって、「なりふり構わず」「死に物狂いで」みたいな話は全て拒絶したつもりだった。

(東大駒場キャンパスにて。「顔で判断すんな」「新歓を対面に」の立て看板が目立っていた)

 

 あの時の列車の遅れは5時間だったが、一昨日の大阪発サンダーバードは32時間も遅れたんだそうな。昭和38年の大豪雪の時には、新潟発の急行「越後」が100時間以上遅れ、5日かけて上野にたどり着いたが、21世紀の今になっても「32時間遅れ」なんてのがありうることに一驚を喫した。

 

 というか、「よく運転打ち切りにしなかったな♡」という深い感動に震えた。最近の鉄道は、躊躇なくマコトに冷酷に運転を打ち切るのである。ついこの間も夜の新幹線が平気で「岐阜羽島で運転打ち切りといたします」をやったし、数年前にワタクシが乗った近鉄特急も、いきなり「名張で運転打ち切りといたします」ときた。

 

 そういう場合、乗客はいきなりこの寒空に放り出されるのである。岐阜羽島で放り出され、名張で客車から追い出されて、乗客はみんな途方に暮れる。風邪で38℃も熱が出ていたあの時の今井君は、2時間後に三重県松阪での公開授業が迫っていた。途方に暮れると言うより「講師生命の危機を感じた」と言った方がいい。

(駒場東大駅にて。見よ、「きっぷうりば」が諸君の到着を待っている)

 

「鉄道屋さんたちの使命感がずいぶん低下したものだ」。日本国有鉄道で30年以上も鉄道屋をやった父を見て育ったから、そんなにカンタンに運行を放棄する21世紀の鉄道屋さんたちを見て、ガッカリしていたのだ。

 

 みんなで重いスコップを振るい、徹夜の人海戦術で除雪作業を進め、100時間遅れてでも終着駅まで列車を導く。昭和の鉄道屋さんたちにはそんな心意気があった。50歳すぎた中間管理職から元官僚アマクダリの超偉いサンまで、深夜の鉄道電話で呼び出されて雪かきに駆けつけた。

 

 今回の「特急サンダーバード、32時間遅れて金沢に到着」のニュースに、ワタクシは久しぶりに快哉を叫んだ。やっぱりこうでなくちゃいかん。「どうしても最後まで走らせたい」という烈火のような熱い心意気こそ、鉄道員の基礎基本じゃないか。

(大学入試センター。警備員のオジサマも大張り切り。センター前に仁王立ちで試験の日を待っている)

 

 そういう雪国の豪雪のニュースの中でも、関東地方は連日の快晴。からっ風は確かに冷たいが、日差しはマコトに暖かい。心はどうしても緩みそうになる。しかし共通テストの迫る受験生のことを思えば、意地でも緩まないのが予備校講師の心意気。冷たいからっ風をものともせずに、ワタクシは東大コースのウォーキングを続けている。

 

 コースは、昨年4月5月頃のコースと同じ。千代田線代々木上原駅から緩い坂道を上がり、俗に「東大裏」と呼ばれるあたりから井の頭線「駒場東大前」駅へ、東大駒場キャンパスを左に見て駒場野公園に入る。ガードマンのオジサマが張り切って仁王立ちになっている大学入試センターの脇を抜け、北沢八幡・下北沢・池の上を回って代々木上原に戻る。

(東大至近、池の上駅近くの鯛焼き屋。甘すぎず、カリッとした歯ざわりもいい)

 

 昼食は、お蕎麦屋さんに寄る。緊急事態宣言が出ていても、昼食のお蕎麦ぐらいは許してもらっていいだろう。店の中をのぞいて、もしも「密」と思われる状況なら別の店にするのである。

 

 からっ風の中を歩けば、温かいものをすすりたくなる。4日前、強風の中を歩き回った時には「牡蠣の土手鍋うどん」をいただいた。3日前には風も幾らか止んでいたので「辛味大根そば」で済ませ、しかしちょっと寂しくなって蕎麦焼酎・蕎麦湯割りを1杯だけいただいた。

(世田谷区代沢のお蕎麦屋で、ランチに牡蠣の土手鍋うどんをいただく)

 

 こんな日々を過ごしているワタクシを、どうか「冷たい」などと言わないでいただきたい。連日連夜「受験生応援メッセージ」を書きまくって諸君を鼓舞することもできるが、少なくともワタクシの授業を受けた生徒諸君は、今さら白々しい応援のメッセージなんか必要としないはずだ。

 

 授業の1コマ1コマが、すべて応援メッセージだったはずだし、まさか今になって「あがるなよ」「落ち着くんだ」「緊張するなよ」「全力を出し尽くすんだ」「後悔するなよ」、その種のわかりきったコトバを必要とする諸君は存在しないはずだ。

 

「良い意味でェ、緊張感をもってェ、仲間と家族を信じィ、絆を忘れずにィ」。そんなアドバイスが諸君に必要だろうか。そんなアドバイスを聞いているより、ギュッと引き締まった顔をして、パパとママが「アイツも大人になったな」と驚いてニッコリ頷きあうような大人の顔で、普段より10分だけ早く、落ち着いてオウチを出るほうがいい。

(世田谷区代沢のお蕎麦屋で、ランチに辛味大根そばをいただく。あまりの辛さに、全身に鳥肌がたった)

 

 もちろんそのぶん、ホンの少し神頼みもすることにして、事前に決めておいた小さなホコラの前で「合格してきますよ♡」と神様に宣言することにしたまえ。その場合、宗教はカンケーなし。何教の神様だって、「合格してきますよ♡」と力強く宣言した諸君の足を、それでもわざわざ意地でも引っ張ることはしないはずだ。

 

 なお、自称「予備校界の重鎮」として、毎年この時期にアクセス数の急増する過去の記事を以下に列挙しておく。すでに30歳を過ぎた諸君の先輩たちも、以下の記事を熟読して今はなきセンター試験に立ち向かい、やがて本命の難関大に悠然と合格していったのである。

 

 Fri 081010 赤本には間違いが多いという噂で悩むな 過去問の正解で右往左往するな
 Tue 081118 入試直後に答え合わせをするな/試験後に群れて帰るな
 Fri 081226 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(1/3)
 Sat 081227 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(2/3)
 Sun 081228 医師になりたくないなら、安易に医学部を志望するな(3/3)
 Fri 090116 センター試験は大キライだ(1/3) 予備校の3学期と講師の悪夢
Tue 190115 センターあと2回/宇治興聖寺/お座敷の恐怖(京都すみずみ13)3786回

Sat 190119 里芋のセンター愛/地蔵院・浄住寺・松尾大社(京都すみずみ15)3788回

 

(1月7日、今年の初詣は東大駒場キャンパスに近い「北沢八幡宮」。神頼みも、時には素晴らしい)

 

1E(Cd) SchreierBACHMASS IN B MINOR 2/2

2E(Cd) Hilary HahnBACHPARTITAS Nos.2&3  SONATA No.3

3E(Cd) Richter & MünchenerBACHBRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2

6D(DMv) LOVE IS A MANY-SPLENDORED THING

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