2015年12月09日(水)

Sun 151115 小津映画の実年齢にビックリ 旅行記に戻ろう(また夏マルセイユ33)

テーマ:ブログ
 昭和の名優・原節子の他界が公表されたせいなのだろうが、NHK-BSを中心に小津安二郎の映画が「デジタル修復版」でたくさん放送されている。今日も午後から「秋日和」が放送され、公開授業もお休みのクマ助は、熱い涙を流しつつ原節子の名演に見入ったのであった。

 21世紀生まれの人々にとって、「原節子」はおそらく伝説というよりむしろ遥かな歴史であって、モノクロ画面の中で美しい笑顔を浮かべる彼女は、グレタ・ガルボというか、マリーネ・ディートリッヒというか、おそらく自らの祖母よりもっと年上の女性なのである。

 しかし諸君、ズラリと並んだ小津映画を次々と見ていくうちに、今井クマ蔵は「ここに出てくる初老のオジサマたちって、いったい何歳ぐらいの設定なの?」と、何だかヤタラに気になりはじめた。

 功なり名とげた大学教授。退職間近の大企業の重役。旧制中学の漢文教師に、いろいろ後ろ暗い影もあるお役人。オジーチャン役の笠智衆はともかくとして、佐分利信・中村伸郎・北竜二など、小津映画にお馴染みの俳優の当時の実年齢を見てみるに、なんと彼らは50歳から55歳といったところなのだ。
地下鉄
(パリ大規模テロ2ヶ月前、マルセイユ地下鉄の風景。穏やかな雰囲気が懐かしい)

 21世紀の常識からして、50歳代前半のオジサマがたがこれほど貫禄タップリなのは信じがたいが、諸君、ホントだ、間違いでも何でもなくて、俳優の実年齢と映画の設定年齢は、どうやら無理なく一致しているらしい。

 確かに昭和中期、官僚でも一流企業でも、定年退職の年齢は55歳。その頃には息子も娘もおよそ25歳の結婚適齢期であって、50歳代前半のオジサマに立派なマゴまでいたりする。

 まあ諸君、ヒマがあったら小津映画を1本でいいから試してみたまえ。そこに登場する佐田啓二・岡田茉莉子・岩下志麻・司葉子、いやはやずいぶん老けた青年たちであるが、彼らは実年齢も設定上も、まだ20歳代半ばに達したばかりなのだ。

 諸君、こういうのを見てしまうと、ワタクシも若い諸君も「いつまでもバカなことをやってる場合じゃないぜよ」と実感するのである。もっと大きな責任感をもって、世間サマのお世話になったぶんは、早く世間サマにお返ししないとダメじゃないか。
地下鉄駅
(マルセイユ地下鉄「ビューポール」の光景)

 友人たちとの会合だって、もうちょっとオトナっぽくしなきゃ。相手の欠点を並べ立てて罵倒しあうとか、場末のスナックでカラオケを2時間も3時間も歌いまくるとか、そういうバカげた行動はそろそろ慎まなきゃいかん。

 佐分利信と中村伸郎のシブいやりとりを見てみたまえ、互いに欠点や弱点を分かりあい、自らの醜さも苦笑しながら認めあって、シミジミと日本酒を酌み交わす。酌み交わすどころか、何の不思議もなく最後まで手酌で通す。

 おお、おお、いいね&いいね。ボクらはどうしてこんなにダメなんだろう。いまだに飲み過ぎて怒鳴りあっているようじゃ、昭和世代の先輩たちに申し訳ないじゃないか。

 クマ助があえて自慢できるとすれば、5時間も文楽を見た後で、クマやシカを鍋に放り込みながら、ゆっくり昔話にふけった11月の飲み会ぐらいである。いやはや、昭和世代からみたら、ボクらはまだまだ幼すぎるようであるね。

 そこで諸君、暴飲暴食のことばかり書き連ねているこのブログも、ここから4~5日はちょっとシブく&オトナっぽく、久しぶりに2015年9月のマルセイユ紀行に戻ろうと思う。

 ちょうどマルセイユ旅行記の半分まで来たところで、秋冬の公開授業ラッシュに突入してしまった。2週間の旅の終盤5日を残して、ピタリと旅行記が途絶えてしまっていたのである。
エクス
(エクス・アン・プロバンス、初秋の風景 1)

 途絶えているうちに、公私にわたって大きな変化がクマ助を襲った。10月20日、13年いっしょに暮らしてきたねこ・なでしこが永眠した。10月20日は「なでしこ忌」となり、余りのことに1ヶ月ほど泣き暮らして、とても旅行記どころではなかった。

 そうしているうちに、パリで大規模な同時多発テロ事件があった。11月13日のことである。悲劇の現場の1つ「バタクラン劇場」は、ついこの間今井君もブラついていた「シルク・ディベール」と目と鼻の先。暢気な旅行記を書き続ける気分はまたまた失せてしまった。

 しかし諸君、しおれてばかりもいられない。なでしこが天国に旅立って50日。大規模テロからもまもなく1ヶ月。クマ助は秋冬シリーズが終わるやいなやベルリ・ドレスデンの旅に出るし、公開授業だって、すでに1月から3月の春シリーズのスケジュールが確定しつつある。

 ならば、そろそろ9月マルセイユの旅についてはキチンと書き終えておかなければならない。あれから3ヶ月。10月上旬には1週間ほど、サンフランシスコ速攻の旅だって敢行してきたのだ。その旅行記も書かなければならない。いつまでもグズグズしてはいられない。
エクス2
(エクス・アン・プロバンス、初秋の風景 2)

 というわけで、9月6日、まだ初秋のマルセイユに滞在中のクマ助は、在来線の電車で40分ほど、セザンヌの故郷エクス・アン・プロバンスの町に向かった。8月28日から始まった南フランスの旅は、まだ10日目。帰国までまだ4日を残していた。

 エクスにはもともと路線バスで行こうと思っていたのだ。しかし諸君、バスのチケット売り場には、何だかよく分からない長い列が出来ていた。誰が誰の後ろなんだかよく分からないし、いつの間にか誰かが誰かの前に割り込んだり割り込まれたり、それなりにメンドーなことになっていた。

 気短なクマ助は、こういうユルい世界がニガテなのである。割り込みする人もイヤだし、割り込みを許すユルい人々もキライ。エクスゆきのバスは15分おきに走っているのだから、ちょっとぐらい割り込みしたってよさそうなものだが、クマという生物にそういうユルさは似合わない。

 そこで「いいや、それなら電車で行こう」と決断。マルセイユ ⇔ エクス・アン・プロバンスの往復に電車は圧倒的に不便であって、バスなら15分おきなのに、国鉄の電車だと1時間に1本しか走っていない。それでも電車を選んだのは、ユルさがイヤだっただけではない。何を隠そう、ビールが飲みたかったのである。

 2年連続の夏マルセイユだから、駅のカフェなんかももうすっかりお馴染みだ。旅の前、電車までの時間がポッカリ空けば、意地でもカフェでビアを飲む。駅のカフェは驚くほど愛想が悪いが、どんなに愛想が悪くたって、冷たいビールの爽快感でそんなのはカンタンに帳消しだ。
エクス3
(あちこちの苔むした岩から、冷水や温水が噴き出している)

 こうして諸君、初秋のエクスにクマ助が到着したのは、もう午後2時に近かった。プロバンスは南の国ではあるが、9月初旬、もうどうやらハッキリと秋が訪れている。茶色いプラタナスの落ち葉が舗道に積み重なり、オジサマやオバサマが大きなホーキで落ち葉を掃いている。

 プロバンスの秋は、東京よりずっと早いのである。小津映画の「秋日和」より、1ヶ月も早く秋の盛りがやってきている。路上では様々な石鹸を並べて売っているが、茶色く染まったプラタナスの葉を貫いてくる明るい秋の陽光の中で、マルセイユ石鹸はますます格調高く香るのであった。

 エクスは泉の町であって、街中いたる所から清らかな泉が湧き出ている。メインストリート・ミラボー通りには苔むした大きな岩がいくつも並び、緑の苔から滲み出す泉は、冷たい泉、熱を帯びた泉、まさに様々であって、泉にカメラを向けるだけでも「飽きる」ということがない。

 そういう泉を眺めながらセザンヌの愛した風景を1つ1つ訪ねて歩こうと思っていたのだが、ミラボー通りの坂道を登っていくと、何だかお祭りでもあるらしく、盛んな音楽とともにたくさんの人々が激しいダンスに興じる様子である。

 このお祭りのおかげで、この日の午後は予想を遥かに超える楽しいエクスを満喫することになるのであるが、その詳細はまた明日の記事に書くことにしたい。

1E(Cd) Tomomi Nishimoto:TCHAIKOVSKY/THE NUTCRACKER(1)
2E(Cd) Tomomi Nishimoto:TCHAIKOVSKY/THE NUTCRACKER(2)
3E(Cd) Pešek & Czech:SCRIABIN/LE POÈME DE L’EXTASE + PIANO CONCERTO
4E(Cd) Ashkenazy(p) Maazel & London:SCRIABIN/PROMETHEUS + PIANO CONCERTO
5E(Cd) Ashkenazy(p) Müller & Berlin:SCRIABIN SYMPHONIES 1/3
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