Wed 151028 文楽について 新宿アカシア・極辛カレー 新百合ケ丘の大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 151028 文楽について 新宿アカシア・極辛カレー 新百合ケ丘の大盛況

 さて一昨日の大阪の文楽であるが、いやはや前代未聞に面白かった。1978年に初めて文楽を見てからすでに36年、東京での主要な文楽公演はほぼ全て見てきたつもりであるが、今回の大阪公演ほど面白い文楽は記憶にない。

 11月19日、桐竹勘十郎が八面六臂の大活躍で魅せる「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」。何しろ1人9役だ。桐竹勘十郎のワンマンショーと言ってもいい。

 まあそのぶん少しは繊細さに欠けることにもなるが、それもまた笑いの好きな大阪の観客の喝采の対象になった。次々と早変わりを繰り返し、果敢に宙を飛び、人間の男女ばかりかカミナリさまやキツネどんまで巧みに扱う勘十郎にさかんな喝采を浴びせた。

 欧米人の観客もたくさん詰めかけていた。微妙な人情が十重二十重にからみあう近松作品だと、欧米の人にはちょっとキツいかもしれないが、目まぐるしい早変わりで楽しませる今日の演目なら、アメリカのコドモでもヨーロッパのジーチャンバーチャンでも十分に楽しめたに違いない。

 勘十郎の熱演に触発されたのか、竹本千歳大夫の語りも見事。その豪快で激烈な語りに2度も大きな拍手が起こった。久しぶりにクマ助も、文楽で涙ぐむという熱い体験を味わったのである。
新百合ケ丘1
(新百合ケ丘の大盛況 1)

 しかし諸君、文楽はやっぱり危機の真っただ中にある。人形浄瑠璃を担う人材が少なすぎるのだ。1970年代なら、竹本越路大夫と竹本津大夫という東西の大横綱にガッチリと支えられ、後の住大夫はまだ文字大夫を名乗り、「有望な若手の大関」の位置づけであった。

 後に綱大夫から ☞ 源大夫を襲名するまでにまで出世した竹本織大夫も、当時はまだ有望な若手の1人。伊達大夫・十九大夫・咲大夫・呂大夫・嶋大夫など、大関・関脇クラスが充実。まさに絢爛豪華な世界であって、まだコドモだったクマ助君でさえ、躊躇なく文楽ファンになったのである。

 しかし2015年、文楽を支える大夫の数はマコトに心細い限りである。今の2トップは豊竹咲大夫と豊竹嶋大夫だが、越路大夫・津大夫・住大夫みたいな大横綱にはなりきれていない。その嶋大夫も、来春の講演後に引退しちゃうんだという。

 例えが悪すぎるかもしれないが、もしも大相撲の世界だとするなら、横綱がみんなヤメちゃって、残る2トップが大関2人 ☞ 豪栄道と琴奨菊な感じ。確かに呂勢大夫や咲甫大夫みたいな伸び盛りの若手は存在するが、トップがどんどん引退していく状況は、心細いこと限りなしである。
文楽
(大阪・国立文楽劇場)

 どうだろう、今こそ早稲田大学の出番ではないだろうか。あの演劇博物館を擁し、人形浄瑠璃の専門家である教授連も少なくはない。昔から「演劇と言えば早稲田」なのであって、文学部には「演劇専攻」だってあるはずだ。

 ならば、その演劇専攻の中に、人形浄瑠璃コースぐらい設置できるだろう。浄瑠璃専攻・人形つかい専攻・文楽三味線専攻、そういうのを作ってもいい。そうやって大学の世界から伝統芸能を支えるぐらい考えないと、大学も芸能も共倒れになってしまう時代なんじゃないか。

 ま、そういうバカなことも語り合いつつ、一昨日の大阪クマ鍋同窓会は深夜まで続いた。23時、クマ鍋が最後の一滴までなくなったのを確認してから、恐竜時代の友人2名はタクシーに飛び乗り、心斎橋の立ち飲み日本酒屋に向かった。

 クマ屋で5合、心斎橋の日本酒屋で5合。どう足し算をゴマかしても、1人で1升、2人で2升、なかなかの飲みっぷりであった。心斎橋のほうは日本酒の種類もマコトに豊富。立ち飲みでなければ夜明かしぐらいしてもおかしくない勢いになった。

「日本のラグビーと文楽の行く末を語り合わせたら、我々の右に出る者はいないだろう」と自負するオジサマ2名の同窓会である。話がこれだけ熱く盛り上がれば、ちっとばかし酒量が増えるのは致し方ない。
大阪
(ウェスティンホテルから雨の大阪梅田を望む。正面のツインタワーがグランフロント。まだまだ建設ラッシュがの続く)

 というわけで諸君、さすがに翌19日朝のクマ助は、軽い2日酔いの症状である。英語ならハングオーバーであるが、こういう時はとにかくたくさん水分をとり、食欲はあんまりなくとも、ポンポンに食べ物を流し込むに限る。

 伊丹空港発14時、15時羽田着。伊丹でとっくにブログをアップした安心感の中、「羽田空港に旨いカレーの店がある」という情報をつかんでいたクマ助は、「まさに今こそカレーの出番だ」と勇ましく決断。ロールキャベツで有名な「新宿アカシア・羽田空港店」に闖入した。

 注文したのは「極辛カレー・ロールキャベツセット」。注文すると、店の人が厨房に向かって「ゴクロール!!」と叫ぶ。「極辛カレー」の「極」と、ロールキャベツの「ロール」をつなげて「極ロール」なのであるが、ちょいと乱暴すぎませんかね。

 しかし早速出てきたカレーは、おお、こりゃ旨いや。カレーもロールキャベツも最高の出来であって、「近いうちテレビに出ます」と店の人も自慢げである。テレビ東京系だというが、日付も番組名も忘れてしまった。興味のある方は、ネットを駆使して調べてくれたまえ。
アカシア
(新宿アカシア・羽田空港店の極辛カレー&ロールキャベツ)

 極辛インドカレーの効き目か、大量の汗でまもなく全身がズブヌレになった。「カレーでズブヌレ」という恐るべきクマ助は、羽田からの直通バスで今夜の仕事場・新百合ケ丘を目指した。

 普通ならいったん新宿に出て、新宿から小田急線で新百合ケ丘まで40分というルートであるが、さすが今井君は旅のベテランだ。乗り換えなしで一気に新百合ケ丘まで直行するバスのほうが圧倒的に便利だ。

 羽田を出たバスは、東京湾の工業地帯を突っ切り、横浜・あざみ野を経由する。このルートはまさに「工場萌えのヒト、全員集合!!」な風景。夕暮れの京浜工業地帯は、別に工場萌えな人物でもなくとも、その哀愁にウットリさせられる。
新百合ケ丘2
(新百合ケ丘の大盛況 2)

 新百合ケ丘では、校舎長が満面の笑みで待っていた。何しろおよそ200名もの参加者が集まった。「初めて来てみました」という外部生も80名を超えている。「郊外の1校舎だけで200名」「しかも新規の外部生80名」は、校舎長としての勲章であって、これは大いに褒めてあげていい。

 200名も来たんじゃ、そりゃ校舎では開催できないから、もちろん外部に会場を借りた。小田急線の電車の音がたえずカミナリのようにゴロゴロ鳴り響く地下の会場だったが、参加した保護者や高校の先生方も計算に入れれば、およそ210名の参加でパンパンになった。

 感謝、感謝、また感謝であるが、終了後の帰り道でも何人もの人に挨拶された。① 立川で担任助手をしているという女子。② 向ケ丘遊園校に通っているという男子。③ 下北沢で受講中、上智大文学部を目指しているという女子もいた。

 周囲の人々の好奇の目が気恥ずかしいけれども、声をかけてもらえば嬉しさも倍増であって、こりゃまだまだ「グロッキー状態」とか言って怠けてはいられない。秋冬シリーズは峠を超えたが、最後までバリバリ行こうじゃないかと、再び決意を固めるクマ助であった。

1E(Rc) Solti & Chicago:DEBUSSY/LA MER・PRÉLUDE A L’APRE MIDI D’UN FAUNE & RAVEL/BOLERO
2E(Rc) Bernstein & New York:/SHOSTAKOVITCH SYMPHONY No.5
3E(Rc) Rozhdestvensky & Moscow Radio:BARTOK/DER WUNDERBARE MANDARIN & TWO RHAPSODIES FOR VIOLIN & ORCHESTRA
4E(Rc) Darati & Detroit:STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING
5E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲
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