2015年08月30日(日)

Thu 150806 危機3パツ バスは来るか ナポリ沖浪裏 無事に帰着(ナポリ滞在記41)

テーマ:ブログ
 ナポリ湾に浮かぶプローチダ島を訪れたクマ助どんは、次の3つの危機に直面したのである。
① 雨を避ける場所がない
② 時間を潰す店がない
③ ナポリに帰る船が欠航なら、宿泊する場所がない
以上、まさに「危機3発」の状況であった。

 危機はあくまで「一髪」であって、答案用紙に「危機一発」などと書けば、意地悪な国語教師のイヤミの種になりがちであるが、この日のクマ助はまさに危機3発。今考えれば、あの危機3発を切り抜けられたのは、ホントに神様のお導きであって、イースター前日の神様が優しくクマ助を導いてくれたのを実感する。

 まず、昨日掲載した写真の1枚目を見てくれたまえ。離島の港を高台から撮影した絶景であって、こんな美しい風景とは、滅多なことでお目にかかれるものではない。

 しかし諸君、問題はその後だ。こんな場所で風雨の真っただ中、「次のバスは40分後」という事態に気づく。民家はみんな固く扉を閉ざし、どういうわけか1棟の集合住宅があったが、ここも「猛犬がいます」みたいな威嚇の台詞で、アジアからやってきた怪しい異邦人の接近を拒絶している。

 致し方なくクマ助が選んだのが、とある民家の軒先。選ばれた方も迷惑だっただろうが、選んだクマ蔵としては「もしここで『あっち行け』と言われたら、吹きつける冷たい雨の中、凍えながら徒歩で下山も覚悟しなきゃ」という気持ちであったのだった。
港風景
(プローチダ、鄙びた港の風景)

 「バスがホントにやってくるのか」も、十分に問題だったと言える。何しろここはイタリアだ。特急電車の指定席を買っても、その車両自体が連結されていないことさえある。バスの時刻表なんか、そうカンタンに信じ込むことは出来ない。

 ミラノやローマならまだしも、ここはナポリ、しかもその離島である。
「時刻表には掲載したが、メンドーだから運休します」
「イースターのお祭りの前日に、まさかそんな風雨の高台から乗る客はいねえだろう」
というような、そういう困った臨時運休も、ありえないことではない。

 予定の時刻を10分ほど過ぎて、一瞬「諦めよう、2時間かけて歩いて下山しよう」と思いはじめた頃、嬉しいじゃないか、向こうにミニバスの姿が。すがりつくように乗り込んで、一路プローチダの港を目指した。バスは30分もかけて島を一周、午後3時半ごろに港に着いた。
豪雨
(南イタリア、豪雨の風景)

 しかし諸君、船の時間まで2時間もある。空はますます荒れ模様になるが、港の店はみんなもう店じまい。ランチの時間は3時までで、「イースターの準備で忙しいから、お客なんか来られても迷惑至極」というスタンスである。

 足をケガした野良犬が右往左往しているだけの船着き場を、あっちの端からこっちの端へ、いったい何度往復したことだろう。4回目か5回目、とうとう諦めて、内輪臭の立ち込めたウルトラ地元店に難を逃れた。ビールを2杯チビチビ飲んで何とか30分経過したが、まだ1時間も残っている。

 しかもこの頃から「ナポリ便は来るのか」「欠航になるんじゃないか」「島に宿泊施設は1つたりとも見つからない」という第3の危機が訪れた。船の出発地は目の前に高く聳えるイスキア島であるが、風雨にさえぎられて島の姿も時おり見えなくなるほどだ。波もますます高まってくる。

 そこでクマ助は何とケーキ屋に入るしかなくなった。中でケーキも食べられる店であるが、クマとケーキが似合うのは、公開授業の控え室ぐらいなもの。イースター前日の忙しいケーキ屋に、アジアのクマが闖入したんじゃ、さぞお店の人も迷惑だったことだろう。
助け舟
(イスキア島からの最終船。「救いの船」の風情であった)

 そして5時過ぎ、おお、ついに船は来た。まさに救いの船であって、この船がもしも来なかったら、クマ助は「風雨のプローチダ島で野宿」という憂き目をみたに違いない。

 島の観光案内所もとっくにシャッターを閉じていたし、お店だってもう完全に閉店。「明日はイースターですから」とニコッとされれば、それでも意地でも闖入することは出来ないし、万が一そういう挙に出れば、明らかに犯罪者の仲間入りである。

 今までどこに隠れていたのか、プローチダ港周辺から十数名の人々が、お船を目がけてワラワラと集まってきた。みんな一様に
「助かった」「何とかなった」
「あきらめちゃいけないんだね」
「神様は、やっぱり存在するんだね」
という安堵の表情なのであった。

 諸君、帰りの船は言語道断に揺れまくった。今井君のこれまでの長い人生で、船でも飛行機でも、これほど激しく揺れたのは初めてである。乗客の中には涙を浮かべながら嘔吐を繰り返す人も少なくなかったが、1時間半あまりのあの大揺れの中では、嘔吐もまたムベなるかなである。

 船はまず大きく波に持ち上げられては、一気に10メートルも波の底に降下して、そこで激しく船底が水を撃つ。その衝撃で再び船は上昇を始め、波のテッペンで一瞬の無重力の中に静止し、やがてまた目くるめく勢いで波の底を目指す。
ベヴェレッロ埠頭
(夕暮れのナポリ・ベヴェレッロ港に到着)

 あの状況をもし葛飾北斎どんが目撃したら、余りの衝撃にふと激烈な霊感をおぼえ、「ナポリ沖浪裏」を描いて後世に残したに違いない。背景にはヴェスヴィオ山。高くうねる波の上を高速船が1隻、天に向かって一気に上昇していく。

 恐怖に嘔吐する乗客の真っただ中に、トボケたお顔の東洋のクマが一頭。それが今井君である。23世紀の人々は感激してそれを国立博物館に収蔵し、展示を見た24世紀の人々は、「このトボケたクマのような生き物は何なんだ?」「300年前の異星人か?」と語り合うだろう。

 その時、21世紀古文書を専門とする学者が、「風吹かば倒るの記」という300年前のフザケた日記文学を発見。誰も紐解く者がいないうちにすっかり古びてしまったこの文献の中で、北斎どんが霊感を得たちょうど同じ日に、「ナポリ滞在記」と称して、大波に揺られた経験を書き記しているのを発見するかもしれない。

 こうして諸君、24世紀の新聞紙上を「世紀の大発見」の文字が踊り、『北斎どんの名作「ナポリ沖浪裏」の中に描かれた怪しいクマのような生物は、実は東洋の果てからの旅行者であった』の記事に、世界中が狂喜乱舞することになる。
雨のタマゴ城
(ホテル・ヴェスヴィオから、雨のタマゴ城を望む)

 いやはや、少なくともそんなバカバカしいことを考えてニタニタしていれば、どんなに船が大きく揺れても、決して船酔いなんかすることはない。

 ナポリ港に接近したあたりで揺れはますます激しさを増したが、1時間半の航海を経て、我がナポリ沖浪裏号は、無事にナポリ・ベヴェレッロ港に到着したのであった。

 明日はせっかくのイースターなのに、少なくともナポリは激しい嵐の中で迎えることになりそうだ。危機連発の中、たどり着いたホテル・ヴェスヴィオもまた冷たい雨の真っただ中。目と鼻の先で濡れそぼっているタマゴ城を眺めつつ、今日の夕食はあったかいお部屋で、焼酎の烏龍茶割りを楽しむことにした。

1E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 1/2
2E(Cd) Krause:BACH/DIE LAUTENWERKE・PRELUDES&FUGEN 2/2
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3
5E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
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