Sat 150725 秋田商、準々決勝で敗退 鶴見俊輔・加藤武・阿川弘之・上田昭夫(敬称略) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 150725 秋田商、準々決勝で敗退 鶴見俊輔・加藤武・阿川弘之・上田昭夫(敬称略)

 8月18日朝、今井君はまだ深い悲しみの真っただ中である。この夏ずっと追いかけてきた夢が、昨日マコトに脆くついえ去ってしまった。

 もちろん何のことはない、甲子園の高校野球の話であって、我が故郷を代表して登場した「秋田商」のベスト4進出に、クマ蔵どんはほとんど命をかけるほど、中年の夢を託していたのである。

 ま、ベスト8進出だけで十分に満足すべきなのかもしれない。甲子園大会も「残り3日」という段階まで秋田県代表が残っていたのは、1995年の金足農が最後。県としては20年ぶりのベスト8であった。

 その後「13年連続初戦敗退」などという屈辱の歴史が続いたことを考えれば、21世紀の秋田県チームとして、準々決勝進出はまさに快挙と言っていい。初戦は佐賀の龍谷高校に勝利。一昨日は群馬県の健大高崎に勝利。その2勝だけで、十分に満足 ☞「ヱビス顔」ということにしちゃってよかったはずなのだ。
心配そう1
(秋田商の苦戦に、ニャゴロワも心配そうだ)

 しかしせっかくここまで来たならば、1984年の金足農・89年の秋田経法大付以来、26年ぶりのベスト4だって狙いたいじゃないか。イケメンぶりが話題の成田投手だけが頼りのチームだが、まかり間違って「準決勝進出」と言うことになれば、クマ蔵は成田大明神を拝みに甲子園詣でさえ辞さない覚悟でいた。

 だから17日のクマ蔵どんは、昼過ぎからテレビの前に陣取って、今や遅しと試合開始を待ち受けた。いや、実際にはテレビなんかよりずっと集中して観戦できる「バーチャル高校野球」を選択。一時間前からPCをポチポチやって、キチンと観戦できるかどうか、何度も確認しておいた。

 ベスト8に残った面々を見ると、東海大相模・早稲田実・興南・関東一・九国大付・仙台育英など、21世紀の野球のエリート校や超話題の私立校がズラリと並んで、「秋田商」の存在はマコトに肩身が狭い。「場違い」の感じさえ否めない。今や、パーフェクトに地元民だけで構成した公立校の出る幕はないようなのだ。

 相手は仙台育英。超意外なほど意外だったのは、このウルトラ常連校のベスト8進出も「21年ぶり」「もし勝ってベスト4に進出すれば26年ぶり」という情報である。なんだ、ベスト8ぐらい常連なんだと思っていたら、そうでもない。成田大明神の好投次第では、大番狂わせもありうるじゃないか。
なでしこ
(これまた心配そうに秋田商の戦いを見守るナデシコ)

 ところが諸君、始まってみると、正直言って「中学生 vs 高校生のオニーチャン」というか、「高校生 vs 大学生のオニーチャン」というか、3学年は違うムード。とても番狂わせなんか起こる状況ではない。

 成田大明神は、さすがに落ち着いた強気なイケメンぶりを発揮。4回途中まで一人のランナーも出さないパーフェクト投球を披露したが、前日の3回戦・健大高崎の「機動破壊」に対抗し、161球もの熱投を展開した疲労はさすがに隠せない。4回にホームラン一発で先制を許すと、一気に失点を重ねた。

 だって諸君、守備でも攻撃でもこれほどボーンヘッドが続いたんじゃ、「機動破壊」に疲れきった高校生が精神的に耐えられるはずがない。満員の観衆がみんな味方についてくれたって、やっぱり気落ちは隠しようがなかった。

 ファウルフライは、落球。内野の送球は、ワンバウンド。外野フライなのに何故か走者は一気にホームに向かい、あるいは途中で蹴つまずいて転倒。ひたむきさは美しいが、何だか相手に申し訳ないほどである。いったんライトに退いた成田の超美技・イチローも真っ青な驚異のスーパービーム ☞ バックホームにスタンドは沸いたが、結局6-3。公立の星は力尽きた。

 しかもマスコミ各社は、ビックリするほど一貫してこの「公立の星」の存在を軽視。超疲労状態で気落ちしながらも最速144km、三振7個を奪った快投についてほとんど伝えてくれない。「いやはや&冷たいね」であったが、しかしメンバーの多くが2年生。また来年の活躍を祈っている。
アタマを抱える
(ニャゴ、相次ぐボーンヘッドにアタマをかかえる)

 さて、こんなことをしているうちにも、時代はどんどん先に進んでいく。7月から8月にかけて、全国行脚 ☞ 河口湖合宿 ☞ また全国行脚 ☞ 授業収録とキツいスケジュールをこなしつつ、気づいてみれば昭和の偉人たちが次々と天国に旅立った。

 ジャイアンツのV9戦士・高橋一三についてはすでに書いたけれども、他に鶴見俊輔・加藤武・阿川弘之・上田昭夫の各氏が相次いで天国へ。甲子園の話の後で申し訳ないが、やっぱりこの場で一言ずつは触れておきたいヒトビトである(ここからは「敬称略」とさせてください)。

 鶴見俊輔は、「ベ平連」=「ベトナムに平和を! 市民連合」の人である。小田実・大江健三郎・丸山真男・高畠通敏など、戦後から21世紀に至る論壇の主人公たちとの熱い交遊で知られる。

 高校生時代の今井君は、若いくせに保守派というか守旧派というか、クラスの多くがやたらと進歩派なのとは対照的。「朝日ジャーナル」や「世界」をバイブルのように読みまくっている友人たちが、どうも気に入らなかった。

 要するにクマ蔵は、昭和の革新勢力があんまりスキじゃないタイプ。鶴見俊輔の活躍なんかも、あの頃は何となく突き放し加減の視線で、斜に構えて眺めていた。しかしさすがに岩波新書「北米体験再考」だけは、いつの間にか手に入れた。

 あの時代の中高生が初めてマトモな読書体験をするのは、多くの場合「岩波新書」だったんじゃないか。今井君も同じように、中3だったか高1だったかのある日曜日、鶴見俊輔はじめ数冊の岩波新書を買い求め、何となくオトナの仲間入りをしたホクホク気分に浸ったものである。
北米体験
(鶴見俊輔「北米体験再考」岩波新書)

 加藤武は、麻布高校 ☞ 早稲田大学出身、文学座代表を務めた演劇界の顔であって、交友関係を見るに、北村和夫・今村昌平・小沢昭一・山口崇・仲谷昇・フランキー堺・永六輔など、要するに昭和そのものを形成するヒトビトの集団のど真ん中にいた。

 しかし今井君にとっての加藤武は、ドラマ「警部マクロード」の名脇役、「クリフォード部長」の吹き替えの思い出が一番だ。ニューメキシコからNYにやってきたカウボーイスタイルの警部マクロードを演じるのが、名優デニス・ウィーバー。クリフォードはNY市警刑事部長という設定であった。

 マクロードの破天荒ぶりに悩まされるクリフォード部長の、苦りきった表情が秀逸。葉巻をガシッと噛みつぶしながらクリフォードがつぶやく皮肉タップリの一言一言に、加藤武のシブい吹き替えがあまりにピッタリとフィットしていた。

 刑事コロンボ ☞ 警部マクロード ☞ 署長マクミランと、NHKが土曜日夜に放送し続けたアメリカドラマはどれも秀逸。幼い今井君はコロンボよりマクロードを好んだが、その原因になったのはクリフォードというか、むしろ加藤武の吹き替えの素晴しさであった。
南蛮
(阿川弘之「南蛮阿房列車」新潮文庫)

 阿川弘之は、他に評価の高い名作もあるけれども、今井君にとっては「南蛮阿房列車」の人である。彼の憧れの対象は、あくまで内田百閒。内田百閒の「阿房列車」は「第二阿房列車」「第三阿房列車」まで続いたが、阿川はこれを世界の旅に拡大したわけである。

 中でも、北杜夫&遠藤周作との珍妙な旅を描いた「欧州畸人特急」が秀逸。「元祖スコットランド阿房列車」も、同じ路線をエジンバラからロンドンまで旅した身としては、また捨てがたい味わいがある。

 上田昭夫については、早稲田ラグビーがどうも不調であるらしい2015年夏、あんまり触れたくない人物である。彼が顔を出すたびに、慶応のタイガージャージが躍動して大学ラグビー日本一にノシ上がった。

 今年の早稲田は、いったい何をやってるんだかよく分からない。CTBを専門にしていた選手が突然No.8だかフランカーだかのポジションに回ったり、SHとして一年生の頃から活躍していたキャプテンが突如CTBになったり、キャプテンのはずがAチームじゃなくでBチームに名前が上がっていたりする。

 そういう混乱を目にすると、ライバルの総帥・上田昭夫に厳しく叱られているような気がする。彼ほどのリーダーシップがあったら、帝京にも明治にもコドモ扱いされている今年の早稲田を立ち直らせてもらえるんじゃないか。ホントに惜しい人が、急逝してしまったものである。

1E(Cd) Patti Austin:JUKEBOX DREAMS
2E(Cd) Richard Tee:THE BOTTOM LINE
3E(Cd) Brian Mcknight:BACK AT ONE
4E(Cd) Isao Tomita:Shin Nihon Kikou
5E(Cd) Ralph Towner:ANA
total m125 y1246 d16567