Sun 140831 直通の船で平和公園から宮島へ マイケルとフィービー 満ち潮の厳島神社
こんなふうに詳しく書き綴っていると、たった2日の広島滞在がどんなに楽しかったか自分でもヒシヒシと感じられる。そのいかにもヌクヌクした楽しさを、読まされているほうはたまったものではないかもしれない。
世間は休日の連続が終わって「今日からお仕事」という人が多いだろう。「はあーっ」と深い溜め息をつきながら、こんなに楽しそうな広島滞在記を読めば、何だか暢気なクマ君が憎らしく思えてくるかもしれない。
少しは遠慮したほうがよさそうなものだが、今日の今井君はさらに追い討ちをかけようと思う。2日にわたるお仕事を大成功裡に終えた翌日、9月22日の今井君は「これから安芸の宮島に出かけて、焼き牡蠣を満喫してこよう」と思い立った。
(朝早く安芸の宮島を訪ねた)
「思い立った」という言い方にはウソがあって、実際に宮島の旅を思い立ったのは、マルセイユに滞在していた9月8日ごろ。マルセイユでもたっぷり牡蠣を貪りつつ、
「広島の生牡蠣なら、マルセイユの10倍は旨いのにな♨」
「ならば9月22日、広島のお仕事2連発の直後に、お船で宮島に出かければいいじゃないか」
「生牡蠣&焼き牡蠣、胃袋に入るだけ詰め込んでこよう」
と考えた。
南フランス・プロヴァンスからでも宮島の牡蠣料理屋が予約できるのだから、この10年で世の中は間違いなく長足の進歩を遂げた。マルセイユのホテルにいながらにして、
「意地でも禁煙席を希望」
「午前10時半が希望」
「身体が異様に固いクマなので、座敷はNG。どうしてもテーブル席を希望」
など、宮島の牡蠣料理屋にツベコベ何でも希望を伝えられる。
(満ち潮の厳島神社 1)
あの決意から数えてちょうど2週間。9月22日の今井君は朝8時15分にホテルを出て、平和公園発8時半のお船に乗り込んだ。ホントは9時の船を予約していたのだが、8時半の便に空席があったので、意気揚々と乗り込んだわけである。
まあこの辺も「この10年の長足の進歩」のうちの一つ。広島から宮島に渡るのに、ホンのひと昔前までは
① まずJRか市電で「宮島口」駅まで移動。
② 宮島口で電車を降りたら、連絡船まで徒歩で移動
③ 宮島口からお船で10分
というマコトにメンドーな経路をとらなければならなかった。それが今では、広島市街の真ん中から船で直行できるのだ。
平和公園の桟橋を出た船は、しばらく低速で太田川を下る。30分弱で河口に出ると、一気にスピードを出して波の穏やかな瀬戸内海を一気に横断。平和公園から宮島まで、45分ほどの旅である。
ただし、まだまだこの航路はマイナーのようで、この便の乗客は20人ほどしかいなかった。ほとんどの観光客は宮島口からの大型船を利用する昔のルートでやってくる。中国&韓国からのお客が圧倒的に多くて、宮島に着くとそこはもう中国語の天下。「ニーハオ&ニーハオ、アー!!」の世界であった。
(満ち潮の厳島神社 2)
もちろん、欧米人のお客も少なくない。平和公園から同じ船でやってきた家族連れは、パパ&ママ、お兄ちゃん&妹の4人。5年生ぐらいのお兄ちゃん(マイケル=仮名)は、どうもパパにこっぴどく叱られた直後らしくて、「味方はママだけ♡」な感じ。ママにもたれかかって、パパには全く話しかけもしない。
一方の8歳か9歳の妹(フィービー=仮名)は、そんなマイケル兄ちゃんやママをちっとも相手にしない。買ってもらったばかりの超高級カメラで写真を撮りまくっている。
ボクチンのカメラはレンズの中にゴミが入ってしまったらしく、景色に飛蚊症みたいな黒い影が入る。そんなカメラでずっとガマンしているから、フィービーが羨ましいこと限りなしである。
(結婚式の真っ最中だった)
「よーし、近いうちに軽くて小さくて性能抜群のカメラを買ってやる。フィービーなんかに負けるもんか」、そういう幼い対抗意識を燃やしつつ、海に浮かんだ美しい鳥居を目指した。フィービーは明らかにパパっ子。叱られてションボリのマイケル兄ちゃんを、バカにするどころか「歯牙にもかけない」というウルトラ無視ぶりが素晴らしい。
宮島に着くなり、もうフィービーはシカ君たちに夢中。厳島神社まで、ずっとこの家族連れと一緒だったが、中国語台風の巨大な渦巻きが神社を包み込む中、ひたすらシカ君の写真を撮りまくるフィービーが頼もしい。
それにひきかえマイケルはダラしない。パパに叱られたぐらいで、そんなにママにしなだれかかるなんて、マイケルの名が泣くよ。「もっとしっかりせんかい、おら!!」と、クマ君は強く叱ってあげたくなるのだった。
(昨日の竹原の「竹鶴」もあった)
今日の宮島は、満潮の時刻。こんなに豊かに海が高く迫ると、鳥居の赤が波にゆらゆら揺らめいてマコトに美しい。神社の床下にも潮が押し寄せて、潮の香りもまた爽快である。
これが引き潮だと、広い境内どころか赤い鳥居も足許が露出し、せっかくの神さびた光景も興醒めになる。不気味な薄緑色の蟹が無数に蠢いたりして、砂浜がザワザワ音をたてるほど。浜に打ち寄せられたアオサの類いの海藻が腐敗していく匂いも、やっぱり「わろし」である。
視覚的にも聴覚的にも、嗅覚的にさえ、宮島は満ち潮の時刻に訪れるべきなのである。かく言う今井君も、何しろいつもはこんなに時間の余裕がないから満ち潮の宮島は、実はこれが初体験なのであった。
ちょうど、目の前で結婚式が進行中。さすがのフィービーも写真を撮るのを忘れて、しばし花嫁さんの白無垢姿を見つめている。波に揺らめく赤い大鳥居、足許までヒタヒタ押し寄せる波の爽やかな香り。シカたちの優しい笑顔、そよ風の中に鳴り響く重々しい太鼓と、神主さんの祝詞のフシギな響き。幼いフィービーの記憶に、今朝の宮島はさぞかし印象深く残ることだろう。
1E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
2E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
153 Stay15 Marselle 140830 140913
total m311 y1606 d14536
世間は休日の連続が終わって「今日からお仕事」という人が多いだろう。「はあーっ」と深い溜め息をつきながら、こんなに楽しそうな広島滞在記を読めば、何だか暢気なクマ君が憎らしく思えてくるかもしれない。
少しは遠慮したほうがよさそうなものだが、今日の今井君はさらに追い討ちをかけようと思う。2日にわたるお仕事を大成功裡に終えた翌日、9月22日の今井君は「これから安芸の宮島に出かけて、焼き牡蠣を満喫してこよう」と思い立った。
(朝早く安芸の宮島を訪ねた)
「思い立った」という言い方にはウソがあって、実際に宮島の旅を思い立ったのは、マルセイユに滞在していた9月8日ごろ。マルセイユでもたっぷり牡蠣を貪りつつ、
「広島の生牡蠣なら、マルセイユの10倍は旨いのにな♨」
「ならば9月22日、広島のお仕事2連発の直後に、お船で宮島に出かければいいじゃないか」
「生牡蠣&焼き牡蠣、胃袋に入るだけ詰め込んでこよう」
と考えた。
南フランス・プロヴァンスからでも宮島の牡蠣料理屋が予約できるのだから、この10年で世の中は間違いなく長足の進歩を遂げた。マルセイユのホテルにいながらにして、
「意地でも禁煙席を希望」
「午前10時半が希望」
「身体が異様に固いクマなので、座敷はNG。どうしてもテーブル席を希望」
など、宮島の牡蠣料理屋にツベコベ何でも希望を伝えられる。
(満ち潮の厳島神社 1)
あの決意から数えてちょうど2週間。9月22日の今井君は朝8時15分にホテルを出て、平和公園発8時半のお船に乗り込んだ。ホントは9時の船を予約していたのだが、8時半の便に空席があったので、意気揚々と乗り込んだわけである。
まあこの辺も「この10年の長足の進歩」のうちの一つ。広島から宮島に渡るのに、ホンのひと昔前までは
① まずJRか市電で「宮島口」駅まで移動。
② 宮島口で電車を降りたら、連絡船まで徒歩で移動
③ 宮島口からお船で10分
というマコトにメンドーな経路をとらなければならなかった。それが今では、広島市街の真ん中から船で直行できるのだ。
平和公園の桟橋を出た船は、しばらく低速で太田川を下る。30分弱で河口に出ると、一気にスピードを出して波の穏やかな瀬戸内海を一気に横断。平和公園から宮島まで、45分ほどの旅である。
ただし、まだまだこの航路はマイナーのようで、この便の乗客は20人ほどしかいなかった。ほとんどの観光客は宮島口からの大型船を利用する昔のルートでやってくる。中国&韓国からのお客が圧倒的に多くて、宮島に着くとそこはもう中国語の天下。「ニーハオ&ニーハオ、アー!!」の世界であった。
(満ち潮の厳島神社 2)
もちろん、欧米人のお客も少なくない。平和公園から同じ船でやってきた家族連れは、パパ&ママ、お兄ちゃん&妹の4人。5年生ぐらいのお兄ちゃん(マイケル=仮名)は、どうもパパにこっぴどく叱られた直後らしくて、「味方はママだけ♡」な感じ。ママにもたれかかって、パパには全く話しかけもしない。
一方の8歳か9歳の妹(フィービー=仮名)は、そんなマイケル兄ちゃんやママをちっとも相手にしない。買ってもらったばかりの超高級カメラで写真を撮りまくっている。
ボクチンのカメラはレンズの中にゴミが入ってしまったらしく、景色に飛蚊症みたいな黒い影が入る。そんなカメラでずっとガマンしているから、フィービーが羨ましいこと限りなしである。
(結婚式の真っ最中だった)
「よーし、近いうちに軽くて小さくて性能抜群のカメラを買ってやる。フィービーなんかに負けるもんか」、そういう幼い対抗意識を燃やしつつ、海に浮かんだ美しい鳥居を目指した。フィービーは明らかにパパっ子。叱られてションボリのマイケル兄ちゃんを、バカにするどころか「歯牙にもかけない」というウルトラ無視ぶりが素晴らしい。
宮島に着くなり、もうフィービーはシカ君たちに夢中。厳島神社まで、ずっとこの家族連れと一緒だったが、中国語台風の巨大な渦巻きが神社を包み込む中、ひたすらシカ君の写真を撮りまくるフィービーが頼もしい。
それにひきかえマイケルはダラしない。パパに叱られたぐらいで、そんなにママにしなだれかかるなんて、マイケルの名が泣くよ。「もっとしっかりせんかい、おら!!」と、クマ君は強く叱ってあげたくなるのだった。
(昨日の竹原の「竹鶴」もあった)
今日の宮島は、満潮の時刻。こんなに豊かに海が高く迫ると、鳥居の赤が波にゆらゆら揺らめいてマコトに美しい。神社の床下にも潮が押し寄せて、潮の香りもまた爽快である。
これが引き潮だと、広い境内どころか赤い鳥居も足許が露出し、せっかくの神さびた光景も興醒めになる。不気味な薄緑色の蟹が無数に蠢いたりして、砂浜がザワザワ音をたてるほど。浜に打ち寄せられたアオサの類いの海藻が腐敗していく匂いも、やっぱり「わろし」である。
視覚的にも聴覚的にも、嗅覚的にさえ、宮島は満ち潮の時刻に訪れるべきなのである。かく言う今井君も、何しろいつもはこんなに時間の余裕がないから満ち潮の宮島は、実はこれが初体験なのであった。
ちょうど、目の前で結婚式が進行中。さすがのフィービーも写真を撮るのを忘れて、しばし花嫁さんの白無垢姿を見つめている。波に揺らめく赤い大鳥居、足許までヒタヒタ押し寄せる波の爽やかな香り。シカたちの優しい笑顔、そよ風の中に鳴り響く重々しい太鼓と、神主さんの祝詞のフシギな響き。幼いフィービーの記憶に、今朝の宮島はさぞかし印象深く残ることだろう。
1E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
2E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
3E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 1/2
153 Stay15 Marselle 140830 140913
total m311 y1606 d14536