Wed 100616 ブダペスト最終日 再びカルパーティアへ あすはいよいよプラハである | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 100616 ブダペスト最終日 再びカルパーティアへ あすはいよいよプラハである

 長かったブダペスト滞在も、いよいよ12月22日の夜で終わりである。「長かった」とは言うものの、長かったのはあくまでブログ上の滞在であって、ブログの上で振り返ってみると、ウィーンからブダペストに向かったのは、Sat 100508の記事「ウィーン紳士との攻防戦」にまで2ヶ月溯る。延々1ヶ月半もブダペストに滞在していたようにも見えるが、現実にはわずか5日の滞在にすぎない。
 計画を立てる時、ウィーン5日/ブダペスト5日/プラハ5日というふうに、15日の中欧東欧旅行を平等に3つに分けてしまったので、3都市の全てが短期滞在になってしまった。いつもの旅行なら、2週間全てを1都市に集中して「みっちりタイプ」にするから、2週間の最後のほうはもう出かけるところがなくなって困るほどであるが、今回は「出かけたいところはまだまだ残っているのに、涙を飲んで次に移動する」という、いささか寂しい旅になってしまった。
野菜
(ブダペスト市民市場にて。野菜売り場でホッとする)

 旅行の妙味は「出かけるところがなくなって困った」という状況になってから後にある。ガイドブックを2冊も3冊も持参したのに、「あそこも行ったし、ここも行っちゃった、もうどこも残ってないよ」と、ちょっとムクれながらページをめくる。そんなふうにムクれる日は、だいたい旅行の10日目あたりに訪れる。
 クマどんの場合は、朝のお風呂でムクれるか、尾籠にわたるが朝のトイレでムクれるか、どちらかである。ガイドブックの少なからずおせっかいな「ナイトライフ」のページまで含めて、「あれま、全部行っちゃった。もう行くところはどこも残ってないけど、今日はどうするかねえ」と、小学5年生の男子になったつもりでムクれてみるのである。
市場風景
(市民市場風景)

 そうやってムクれて、30分も1時間もムクれて、「あーあ、仕方ないからここに行ってみるかな」と考えて、ホントに仕方なしに決めた場所こそ、多くの場合その旅行のクライマックスになるものである。ガイドブック的には「あまりおススメしませんが」という場所にこそ、記憶に残る出来事が待っているのだ。マコトに残念なことに2009年12月の中欧東欧旅行では、5日ずつ3都市に整然と分けてしまったせいで、トイレでもお風呂でも「もうどこも行くところが残ってないよお」とムクれるまでに至らなかった。
パプリカ
(市民市場、パプリカ売り場)

 もちろん、だからといって盛り上がりに欠けたというのではない。たった5日だったから、ブダペスト郊外のハンガリーの田舎町を訪ねることが出来なかったのは残念だが、その楽しみはまた次回のハンガリー旅行に残しておけばいい。あまりにも悲しい映画「だれのものでもないチェレ」をもう1回見て、いつかチェレの悲しげな表情を思い出しながら、ハンガリーの田園地帯をじっくり歩き回ればいいだけのことである。
再びカルパーチア1
(再びカルパーティア 1)

 しかし、とにかく明日はハンガリーを離れて、スロバキア経由でチェコのプラハに向かう。ブダペストとはしばしの別れになる。「そんなに好きなら、またすぐに来ればいいじゃないか」ではあるが、今井君は世界で一番気まぐれな人種であって、ハンガリー以外にも行きたいところがいくらでもある。
 まずはポルトガル。リスボン、コインブラ、エヴォラ、ポルト(これは2010年5月に実現)。次にスペインのバレンシアなど地中海地方(これは2010年9月を予定)。その次はポーランド。ワルシャワ、クラクフ、グダニスク(予定では2010年12月)。久しぶりにドレスデンやライプツィヒも訪問したい。ベルリンともパリとも5年ほどご無沙汰している。そう言えば、最後にイタリアに入ったのはもう2年も前のことだ。
再びカルパーチア2
(再びカルパーチティア 2)

 うにゃにゃ。うにゃにゃ。うにゃにゃ。もちろん、のんきな遊び人や極楽トンボではないのだから、目の前に仕事は山積している。日本に帰れば、ブダペストのことなんかチャンと忘れて、誠実に仕事に励まなければならない。講演会は年に60回から70回。2010年の授業収録は「名古屋大学対策講座」20回分を中心に、入試解説授業も、広島大/熊本大/三重大/岡山大各3年分。名古屋大1年分と、早稲田大政経/法/文/国際教養各1年分。おお、こりゃたいへんだ。
 うにゃにゃ。うにゃにゃ。やっぱり、ブダペストとの別れは2年か3年はありそうである。 英語教師の基本的な仕事として、「何だかわからないが世界中をガムシャラに駆け回る」「その経験について詳細に語る」という要素は欠かせない。生徒たちが最も目を輝かせて聞き入るのも、その体験の部分である。
パーリンカ
(ピルスナービールとパーリンカ)

 しかし、まさかハンガリーの専門家になるわけにもいかないし、いくら気に入ったとしても、ゲッレールトのレッジーナみたいに「ケッセネム、ケッセネム、ケッセネムセーペン」を笑顔で繰り返して生きる根性はない。ならば、やっぱりこれでしばらくブダペストとはお別れなのである。
 12月22日の夜の食事は、ブダペストの最初の夜と同じ「カルパーティア」に決めた。店に入ったのは20時だったのに、やはりヒョーロクダマであることに変わりはなくて、状況は前回以上、最初から最後まで他の客は誰も来なかった。
パプリカソース
(グヤーシュスープ用、パプリカソース)

 店の裏側からかすかに民族音楽とおぼしきものが響いてきて、どうやら団体観光客相手のステージはどこか別に存在するらしい。中国人/韓国人/日本人の団体は、おそらく団体専用のそういう場所に詰め込まれて、決められた食事と決められた酒を礼儀正しく口に運びながら、昨日も今日も明日もトコロテンのように押し出されて、それでも陽気に笑うのだ。
肉料理
(重たい肉料理)

 そのかすかな気配を感じながら、キューカニちゃんはまたまたワインをボトル1杯あっという間にカラッポにし、油だらけの重たい肉料理に音をあげながら、滞在5日の最後のパーリンカをあおった。21時、退散。また凍てついてきたブダペストのクリスマス市を覗いて、明日はいよいよプラハに向かうことになる。

1E(Cd) Dutoit & Montréal:RESPIGHI/LA BOUTIQUE FANTASQUE
2E(Cd) Rubinstein:CHOPIN/MAZURKAS 1/2
3E(Cd) Rubinstein:CHOPIN/MAZURKAS 2/2
4E(Cd) Lima:CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
5E(Cd) Muti & Berlin:VERDI/FOUR SACRED PIECES
total m61 y983 d5082