早いもので、今年もそろそろインフルエンザワクチンの予約がはじまる季節になりました。

(→当院でも予約を開始致しました。)

 

 

不妊治療中またはご妊娠された患者さんに、しばしばご質問いただくのが、インフルエンザワクチンを接種してよいのかどうか?またそのタイミングは?という点に関してです。

 

 

 

まず最初に押さえておかないといけないのは

① 「妊娠中はインフルエンザにかかり易く、症状が悪化しやすい

 

という点です。例えば妊婦の方がインフルエンザにかかり、心肺機能が悪化し(肺炎など)入院するリスクは産後に比べて、妊娠14~20週で1.4倍、27~31週で2.6倍、37~42週で4.7倍と(Keuzil TM et al : Impact of influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in pregnant women. Am J Epidemiol : 1998 Dec 1;148(11):1094-102. )、妊娠中はインフルエンザ感染が重症化し易いことがわかります。

 

 

その次に重要な点は

② 「妊娠中は全期間を通じてインフルエンザワクチン接種可能である

という点です。.米国疾病予防局(CDC)ガイドラインでは2004年接種対象の改定を行い,
妊娠初期を含むすべての妊婦さんが接種の対象となっています。(Harper SA et al:Prevention and control of influenza:recornmendations of the Advisory 

Committee oll Immunization Practices(ACIP).MMWR Recomm Rep,53(RR-6)11-40,2004.)(ちなみにCDCのガイドラインは世界共通のルールとなる程の強い影響力があるとされています。) また日本産科婦人科学会のガイドラインでも「インフルエンザワクチン接種の母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種する。」(診療ガイドライン産科編 2014、日本産科婦人科学会編)とされていて、安全性も高くかつ、①の点も考慮すると、妊娠中はインフルエンザワクチンを投与することがお勧めになります。

 

 

③ 「適切なタイミングでの投与が重要

よく知られていることですが、ワクチン接種後効果出現までに約2~3週間が必要で、効果が継続する期間はその後約3~4ヵ月であるとされるので、ワクチン接種時期はインフルエンザの流行シーズンが始まる10~11月頃が理想的とされています。

 

不妊治療中の患者さんについては、原則的に②のようにどのタイミングであっても接種可能ですが、インフルエンザワクチン投与後の発熱といった副反応が妊娠成立にどのように影響するのか不明な点もあるので、可能であれば着床期前(排卵から1週間程度の期間前)に投与できれば理想であると考えています。(この点に関してはあくまで自分の個人的意見ですので、エビデンスに基づいて記載している訳ではありません。ご了承下さい。)

したがいまして、当院で不妊治療中の患者さんに関しては一旦インフルエンザワクチンの予約を当院でおこなっていただき、治療中の適切なタイミングで接種をお勧めするという方法がお勧めできるかと思います。

 

 

 

インフルエンザワクチンについてまとめますと、、、

・ 妊娠中または妊娠をお考えの方は接種がお勧め。

・ 投与時期は原則的に妊娠全期間で接種が可能。

・ 不妊治療中は可能であれば着床期前の接種が理想(私見)

 

となります。

 

 

妊娠をお考えの方を中心に、投与スケジュールについて悩まれている方(職場などで接種のタイミングが当初より指定されている方など。)もいらっしゃるかと存じますが、当院での投与をご予定されている方に限らず、こういったご相談に関してもお気軽にお問い合わせいただければと思います。