樋口一葉「十三夜」梗概
十三夜の宵、離縁を決意し幼子を置いて婚家を出てきたおせき。望まれて官吏の嫁になったが、夫の仕打ちに耐えかねてのことだった。 実家の父はおせきに事を分けて諭す。おせきは置いてきた子供の行く末を案じて婚家へ帰ることを決める。  
翻意しての帰り道、おせきの乗った人力車の車夫は幼馴染の高坂録之助であった。口にこそしなかったが、互いに淡い恋心を秘めていた間柄であり、おせきが嫁入りした後、放蕩して無気力となっていた録之助である。 まったく別の人生を歩みだして添い遂げられなかった二人は万感交々、胸に哀感を秘めつつ、別れ別れに、十三夜の夜道を歩き出すのであった。