上野のアトリエ



カーテンが閉めきられた、薄暗い部屋。
この世界には、俺だけしかいない。
この世界なら、俺は何だって出来る。
そう自分に言い聞かせて、彼は筆を握った。
真っ白なキャンパス。
心から溢れるインク。
指先を伝うイメージ。
色とりどりの花が咲き、枯れ、また芽吹く。朽ちる。
イメージがインクとなり、パレットで浄化され、キャンパスへ流れ込む。そんな感覚。
心を縛る鎖を、ひとつひとつ丁寧にほどいた。感情を解き放つ。筆を走らせる。
彼は思う。

俺は、自由だ。





三月。まだ肌寒いが、暖かい春まであと少し。そんな、季節の変わり目のこと。
僕は常磐ユイ。四月から大学一年生だ。
しかも大学は第一志望。奇跡のようなものだ。まだ実感は持てずにいる。
しかし、時間は待ってくれない。入学準備は忙しく、時間は飛ぶように過ぎていく。
僕は、田舎の実家からだいぶ遠い都会の大学へ通うため、部屋を借りて引っ越した。郊外のマンション。三〇六号室。
初めての一人暮らし。不安が募る。しかし、十八歳にもなって親に頼っている訳にもいかない。
料理には自信があるが、毎日続けることが出来るだろうか。
でも、食費はなるべく削りたい。
でも、しかし、だけど。なんてあれこれと考えていると、憂鬱になってきた。
持ってきた荷物の片付けをしていた手を止める。
散らかった部屋で、一番存在感があるピアノの前に立った。
マンションにピアノを持ってくるのはどうかと思ったが、どうしてもこのアップライトピアノとは離れがたかった。
ピアノは幼少の頃からずっと続けている。小学生の時に、親にねだって買ってもらってから、このピアノは僕の宝物だった。
使い込んだ鍵盤に手を置く。
ぽーん。澄んだドの音。消えるまで余韻を楽しむ。
ドレミファソラシド。右手で、左手で、何度も繰り返す。
気持ちが落ち着いてきた。憂鬱が消えていく。
「なんとかなるよな」
自分に言い聞かせるように呟いた。
部屋の片付けが終わってからゆっくり弾こうと思い、荷物整理に戻った。
持ってきた荷物はかなり多い。自分好みの配置に片付けていくのは時間がかかった。
「部屋の掃除とかは、好きなんだけどなぁ…」
ひとりごちる。つい、ひとりごとを溢してしまう。
部屋に自分一人だけ、という状況にまだ慣れることができなかった。
早くもホームシックか、情けない。
「あ、そうだ」
そういえば、隣人に挨拶していなかったことを思い出して呟いた。
この三〇六号室は角部屋。隣部屋は三〇五号室だけだ。
挨拶は早めにしよう。そう思い、僕は部屋から出た。

 三〇五号室 上野ヒジリ
表札にはこう書いてあった。隣人は上野というらしい。
こんこん。軽くノック。
「ごめんください」
しかし返事はない。
もう一度ノック。今度はもう少し強く。
「ごめんくださーい!」
数秒待つと、足音の後、錠の外れる音がした。
ゆっくりとドアが開かれる。ドアを開けたのは男だった。
第一に浮かんだ言葉は、不健康。
骨と皮しかないような、細長い身体。猫背。
日に当たらない人間特有の、青白い肌。
無造作に伸びた髪は、顔をほぼ覆い隠している。
髪の隙間から切れ長の目。
濃い隈。眼光は鋭い。こちらの顔をじっと凝視している。
からころ、と音がする。彼は飴を舐めているようだった。
「初めまして、隣に引っ越してきた常磐です。これから、よろしくお願いします」
「…よろしく」
ぼそぼそ、口の中だけで喋り、彼はドアを閉めようとした。
「あ、ちょっと待ってください!」
まだ言っていないことがある。慌てて呼び止めた。
「…なにか」
不機嫌そうな上野。
「僕、ピアノをやっているんです。練習の音なるべく消音しますので、迷惑かと思いますが…」
頭を下げて、相手の反応を待つ。
「…甘美な音か、下賤な音か。どちらにしろ、俺の世界には関係ない…」
ぶつぶつと、念仏のように抑揚のない声。
僕には何を言っているのか理解できなかった。
意味を問おうとしたが、ドアを閉められてしまった。錠の下りる音。
なんだあの人は。呆然と立ち尽くす。
もう一度ノックしようとしたが、やめた。
ため息を吐く。
仕方ない、自室に戻ろう。
自室のドアを開けようとすると、階段を昇ってくる音。女性がこちらに向かってきた。マンションの大家である美田屋エリさん。三十代手前のはずだが、二十歳前半にしか見えない女性だ。
彼女は片手に、紙袋を提げていた。紙袋には、画材店の名前が書いてある。
軽く会釈すると、美田屋さんは親しげに話しかけてきた。
「常磐君。もしかして三〇五号室に行った?」
「はい、上野さんの部屋ですよね」
「あら、行ったのね。変なやつだったでしょ」
冗談なのか屈託のない笑顔で、美田屋さんは言った。
「ええ…まあ…」
曖昧に笑う。否定はできない。
そんな僕を見て、美田屋さんは軽く笑った。
「ところで、上野になにか言われた?」
美田屋さんに先ほどのことを全て話した。
「ピアノ、上野の隣だったら大丈夫よ。でも、時間は注意してね。深夜は駄目よ」
「あ、はい。ありがとうございます」
上野の隣だったら、ピアノを弾いても良い。何故だろうか。
「上野は変なやつだけど、悪いやつじゃないのよ。よろしくしてやってね。それじゃ、娘の迎えに行ってくるわ」
美田屋さんは上野の部屋のドアノブに紙袋をさげて、行ってしまった。
上野ヒジリ。謎だらけだ。こんな人の隣にこれから住むのだろうか。
ピアノで誤魔化した不安が、また膨れ上がってくるのを感じた。

夜になって、やっと部屋が片付いた。
少し狭いが自分の気に入る部屋にすることができた。
することもなくなったし、何か弾こう。
そう思い立ち、ピアノの前に椅子を移動させた。適当に楽譜を探す。
なんとなく目についた楽譜。
メンデルスゾーンの、『春の歌』。
楽譜を広げ、鍵盤に手を置く。
忘れず消音ペダルを踏む。
一呼吸。
ゆっくりと指を動かす。
初めの和音。
響いて連なる。
ピアノから溢れ出す優しい音色。
春の暖かい日差しのような、穏やかな旋律。
最後の一音まで、心を込める。

弾き終えてまた、一呼吸。
耳を澄ませるが、苦情の声はない。安心して息を吐いた。
音量に気をつけて弾くのは、かなり気を遣う。
しかし、追い出されるわけにはいかないので最大限の注意を払わなければいけない。
思い浮かんだ旋律を、片手で軽く弾いてみる。
新生活の不安と、響かないピアノの音色が相まって、部屋いっぱいに静寂が響いた。


 それから一ヶ月が経って、四月下旬。
僕は無事、大学一年になった。
忙しくて、てんやわんやの毎日を送っていたが、やっと落ち着いてきた。
自分なりの生活ペースもでき、少しは余裕をもって過ごせるようになった。
隣人である上野とは、あれから顔を合わせていない。夜にひっそりとピアノの練習をしているが、苦情もない。
新しい生活に、やっと慣れてきた。
そんなある日の昼、僕は美田屋さんが趣味で開いている小さな喫茶店で、大学の課題を片付けていた。
「終わりが見えない…」
肩が凝った。一向に進まないレポートを書く手をとめ、大きく伸びをした。軽く肩を回すと、ぱきぱきと小気味いい音がした。
眠気を覚ますために、コーヒーをひとくち啜る。口内に広がる深みのある薫りが心地いい。流石コーヒーをウリにしている店だ。
気分転換に僕は店内を見回した。全体的に落ち着いた雰囲気だ。
店内に流れているのは、シューマンの『トロイメライ』か。
客層はさまざまだった。僕のように課題に取り組んでいる学生もいるし、静かに談笑する若い女性たちや、読書をする老人もいる。
そんな店内でひときわ目を引いたのは、壁にかけてある一枚の大きな絵だった。
金色の髪をした、まるで天使のような少女が、たくさんの花のなかで眠っている。
淡く穏やかな色彩。
柔らかな優しい光が少女を照らしている。
一片の不安もない、悠久を感じさせる光景。
額縁には、小さく『春眠』と書いてあった。
思わず見とれた。美術に疎い僕でも、その絵の素晴らしさが直観的にわかった。
「レポートの進み具合はどう?」
後ろから、美田屋さんが声をかけてきた。
「さっぱりです…」
苦笑いして答える。レポートは半分も埋まっていない。
「ま、頑張りなさい。若いうちにいろいろ苦労しておくと、あとで得よ」
若い見かけによらず、老成したことを言う美田屋さん。
ふと思いついて訊いてみた。
「あの絵、素敵ですね。何という画家さんが描かれたんですか?」
少女の絵を指差す。すると、彼女は秘密をばらす子供のような顔で言った。
「あれはね、上野が描いたのよ」
「え、上野さんが?」
上野ヒジリ。不健康。変人。いい印象ではない。
こんな素晴らしい絵を、あの上野が描いたのか。にわかに信じがたかった。
「上野は、画家なの。あの絵もお客さんに評判が良いのよ」
本人はどうでもいいみたいだけど、と美田屋さんは続けた。
「あいつは、絵が描ければそれでいいのよ。世間一般のこととか身の回りのこととか、そんなの全部無視。まったく、困った引きこもりよ」
彼女は、上野のことをよく知っているようだった。
「でも、こんな綺麗な絵が描けるなんてすごいです」
素直に感動を述べる。
「絵がうまくなかったら、単なる引きこもりの変人よ。それじゃ、レポートがんばってね」
と、笑顔で言い残し美田屋さんは店の奥へと去っていった。
彼女はその屈託のない笑顔で、さばさばとした物言いをするので、憎めなくて接しやすい。
再びレポートに集中して、僕はなんとか期限までに提出する事ができた。


「昼食、ここに置いておきますから。ちゃんと食べてくださいよ」
返事はない。彼は熱心に筆を走らせ、こちらに見向きもしない。キャンバスには、青い血を流す紅い林檎の絵。
「…行ってきます」
挨拶の言葉も虚しく、僕は大学へ向かった。

ここのところ、僕は上野の部屋に出入りするようになった。
きっかけは、美田屋さんの手伝いで上野の部屋へ掃除をしにいったことだ。
部屋は汚く、食器も流しに山積みにされていてろくに食べていないようだったので、こうして定期的に食事を作りにくることになったのだ。
作りにくるときに、上野の絵を見ることができる。絵がだんだんと出来上がっていくのをみるのは、楽しかった。
初めて上野の部屋に入ったとき、数多くある絵のなかで一枚の絵が目を引いた。
明るい光、平和そうな街で、男が目を押さえて絶叫している。
まわりの雰囲気とそぐわない男の表情がリアルで、心からの苦痛を訴えてきているように見えた。
その絵のことは、彼と関わっていくなかで、わかっていくことなのだろうか。

 大学の講義が終わるころには、陽はすっかり暮れてしまっていた。
長い講義で疲れた身体を引きずり、家に荷物を置いて、隣の部屋へ食器をとりに行った。
ノックして、ドアを開ける。
「こんばんは、お邪魔します」
暗い。
上野は、出ていったときと寸分違わぬ姿勢で、電気も点けずに描き続けていた。
明かりは、カーテンの隙間から覗く月明かりだけだ。こんなに暗くて手元が見えるのだろうか。
ぱち。電球の紐を引っ張ると、一瞬遅れて電気が点いた。
彼は驚いたように上を見上げ、眩しそうに目を細めた。だがそれは一瞬。彼はすぐに、髪で目を覆い、視線を絵に戻した。
机に目をやる。チャーハンが手つかずで置いてあった。
「上野さん」
何度も名を呼ぶ。しかし、彼は故意であるかと思うほど、こちらに気づかない。
「上野さん!」
「…?」
「これ、昼食だったんですけど」
冷めたチャーハンを指差す。
「…ん」
いま初めて知った、という風に、上野は視線をこちらに寄越した。
彼のまわりには、飴の包み紙や使いきった絵具が散乱している。
彼を放っておくと、いつもこうだ。
「上野さん…。あなた、死にたいんですか?」
「…別に、そうでもない」
「じゃあどうして食べないんですか!」
「…どうしてだろう」
彼は、考え込む素振りを見せた。
しばらくして、彼は言った。
「…電気消して」
話の脈絡がない。
「どうしてですか」
「…世の中は眩しすぎる」
相変わらず意味がわからない。むっとして言い返す。
「もっとわかりやすく…」
「消せ」
静かな怒声。あまりに鋭い。背筋が凍りついた。
言われるがままに電気を消す。また、闇が部屋いっぱいに広がった。
「…それでいい」
彼はまた絵を描き始めた。キャンバスを滑る筆の音が、に大きく聞こえる。
「こんな暗さで、手元が見えるんですか」
「…夜じゃないと星は見えない…」
やっぱり意味が分からないが、とりあえず食事だけはちゃんと摂るようにだけ言って、その日は部屋を後にした。

 翌日。晴天の空が眩しい休日。
僕は上野の部屋で昼食をつくっていた。
メニューは野菜炒め。僕も一緒に食べるつもりなので、二人分つくっている。
部屋はカーテンを閉めきっていて、外からの光は殆ど入ってこない。そのうえ電気も点けていないので、夜のように暗かった。
そんな暗いなかで、上野はいわずもがな、キャンバスに向かって絵を描いていた。
描かれているのは、黄金の稲穂が風に波打つ情景。
本物をそのまま写したかのような明確な描写。
そういえば、上野は全く外出をしない。なのに、どうしてこんな写実的な絵が描けるのだろうか。
僕は気になって、それについて訊くと、意外にも聞き返された。
「…君は音楽をやっていると前に言っていた…。その音楽が創られた時代や場所に…実際に行ったことはあるのか…」
珍しく長い言葉。そう言われると、確かに僕は知らない時代の音楽を奏でている。
「…俺には音楽がわからない…」
「音楽はいいものですよ。すぐ身近にあって…」
「…いつも音はあいまいだ」
上野が僕の言葉を遮った。
どういうことだろう。次の言葉を待つ。
長い沈黙ののち、上野は話し始めた。
「…音は、薄い膜を通して物を見るような感覚だ。生まれた時からずっと。話し声も音楽も全て、ぼやけている」
「それってつまり、耳が聞こえないってことですか…?」
「…少しは聞こえる。大きな音は届く。でも、小さな声は届かない。唇の動きで読むしかわからない…」
唇の動き。つまり、読唇術。思えば、後ろから呼びかけてもいつも何も反応がなかった。それは後ろからの声は聞こえなかったからなのか。
「…音楽とはそんなにいいものなのか…」
上野は言う。耳が遠いなら音楽の良さが分からなくても不思議ではないけど、上野に音楽を聴かせてみたくなった。
「試しに聴いてみますか?」
断られると思いつつ訊いてみた。
「…どうせわからない…」
その返事は聴いてみたいという感情の裏返しだと、何故か理解できた。
 上野を部屋に招き、ピアノの近くに座らせた。
上野は物珍しげにピアノを眺めている。
僕は、迷わず楽譜を取り出した。
ショパンの『ノクターン9-2』。

ピアノの前に掛け、いつもと同じように一呼吸。
消音ペダルは踏まない。

大きく息を吸って。
ゆったりと鍵盤に指を滑らせる。
響く旋律。
音楽が上野の心に届くように…

弾き終えて、一呼吸。なかなかうまく弾けたと思う。
「どうでしたか?」
「…下手だな」
「聴こえたんですか?」
「…いや、聴こえない。…でも、俺にはぴったりかもしれないな…」
相変わらず言っていることは意味不明だ。
しかし、上野の髪に隠れた顔から一瞬、にやりと笑みがこぼれていたように見えた。
「…たまに聴かせてくれ」
嬉しくなって、微笑む。
「はい。喜んで!」

僕は今まで上野のことを何も知らずに変人扱いしてきたが、彼のほんの一部が見えた気がした。

 ***

2009/3/23 春部誌

これはかなりお気に入りのお話。
構想はあるので、いつか続き書きたい。

ちなみに、
常盤→ときわ
上野→かみの
美田屋→みたや
と読みます。

美田屋エリは…マイキャラである、ヘルガー擬人化のエルタヤをモデルにしています(誰に言ってる
ふと気がつくと、目の前に神が居て
僕が死んだってことを教えてくれた。


耳障りな電子音が響いている。
その音を出す機械に映っているのは、平坦な線。
二度と波打つことの無い、平行線。

ここはどこだっけ。

白くて四角い部屋には、チューブや機械が、蜘蛛の巣のように張り巡らされていた。
その中心の寝台に横たわっているのは、かつて僕だったもの。
身体の至るところに、チューブが繋がっていて、まるで異様な生物のように見えた。
そう、僕は無理矢理生かされていたんだった。
「やっと、死ねたんだ」
ぽつ、と呟く。
言葉が転がって、景色が変わった。


ここは、小さい頃遊んだ公園。
よく覚えている。黄色いブランコ、象の滑り台、麦藁帽をかぶった女の子と、砂場で一緒に遊んだ。
あれ、あの女の子は誰だっけ?
景色がまた溶けた。

ここは、よく見知った商店街。
覚えている。
お肉屋さんがくれたコロッケは、とても美味しかった。
あれ、はんぶんこにしたのは、どうしてだったっけ?
景色がまた溶けた。

ここは、小学校。ここは、中学校、ここは、高校。

あれ?

ここは、ここは、ここは、ここは…。


ここは、横断歩道。

飛び出してきた、トラック。

それを理解したのは、ぶつかった一瞬あとだった。

散らばる教科書。

暗転。

そして、白い天井。



色褪せていく。
たくさんの思い出を辿る度に、ひとつずつ何かを落としていた。
虚しかったけど、涙は出なかった。
ただ、立ち尽くす。

ここは、どこだっけ?

僕は、だれだっけ?

なにもない。
やがて、心がからっぽになった。


また、景色が変わった。
今度は、色褪せていない。
黒い喪服を来た人々が、たくさん座っていた。
木魚の音、ぶつぶつと唱えられる経。ときどき、数珠が綺麗な音を立てた。
誰も、泣いてはいない。
こうなる運命だということは、もう事故の時から決まっていたからだ。
形だけの儀式。
仏壇におかれた写真は、笑っていた。
楽しくなんか無いのに、笑っていた。

もう、いい。

自分の葬式に、黙って背を向けた。
もう、終わったんだ。
葬列から、泣き声。
驚いて振り向くと、声の主女の子だった。
彼女は、押さえきれないというふうに嗚咽していた。
涙がぽたぽたと落ちる。
その姿が、忘れたはずの少女と重なった。



夕暮れ時、鴉の声。
麦藁帽の女の子は、手を振った。
長く伸びた影も、一緒に手を振った。

「ばいばい」

夕陽の色が、泥だらけの笑顔を染める。

「またね」

走り去る少女。
その後ろ姿が曲がり角に消えた。



神は言った。

「   ?」

僕はうなずいた。

「…  」

「だって、僕のために泣いてくれた人が居たんだ」

「          」

「はい、連れていってください」




「    」

白く塗りつぶされていくような感覚。

白く、白く、白く…。



「またね」

 ***

2008/12某日 冬部誌

白状します。
締め切り当日の朝に1時間で書いたものです…。
申し訳ない…。
たんぽぽの綿毛に乗って
ずいぶん遠くへやってきました
ずいぶん長く飛び続けました
あてなくさ迷うこの旅に
果たして終わりは来るのでしょうか

旅のはじまりは 簡単なこと
たおやかな扇風機の風に飛ばされ
気がつけば空を飛んでいました
仲間は僕を見上げていました
急な別れを惜しむ間もなく
僕はただただ手を振りました
まっすぐ前を見据えました

たんぽぽの綿毛に乗って
ずいぶん遠くへやって来ました
ずいぶんたくさん世界を見ました
見たことのない景色ばっかりで
まばたきするのも惜しいくらい

海が辿り着く宇宙を見て
空が生まれた泉を見て
地を支える大樹を見ました
いろんな世界を見たけれど
僕の故郷には帰れない
気ままに吹く風たちは
行く手を告げずに吹き抜けていく
僕には抗う術もなく
綿毛に乗って飛び続けるだけ

たんぽぽの綿毛に乗って
ずいぶん遠くへやって来ました
ずいぶん遠くへやって来ました
長い時間が過ぎました
僕は全てを見尽くしました
蝋燭はもう 燃え尽きて
旅の終わりが訪れました
朝露のしずくがまだ落ちぬ頃
思い出をこぼさないように
僕はそっと 眼をつむりました


旅人の魂は 朝焼けに照らされて
ゆるやかに光りながら
故郷へ帰っていきました


 ***

2008/8/19 夏部誌

「たんぽぽ」「扇風機」「ロウソク」というお題で書いたもの。
とても暗くて、寒くて、寂しかったのを覚えている。
これは確か、雪が降りはじめた季節のことだったろうか。
城下町は夕暮れ時だった。そびえる城の影が、時が移り変わるに連れ、だんだんと町を隠していく。
それと共に、降り積もる雪が町並みを白く彩る。
町の人々は白い息を吐きながら、暮れゆく陽に背を向け、自らの家路を急いだ。
ぽつぽつと人影が消えていく。
幼い自分はそんな光景を、ただ黙って見つめていた。帰る家などなかったから。
座っている石畳は冷たくて固かった。
いつのまにか、肩に足に雪が積もっていく。
身体の全てが冷えきって震える膝を抱え、ひたすら朝の訪れを待ち続けた…。
これが、最初の記憶だ。

自分は、ずっと孤独だった。
物心ついた時には、既に親は居なかったらしい。
だから、日々の食料は自ら調達するしかなかった。
だが、子供が独りで生きていくには、この世界は厳しすぎた。
食料の調達…つまり、盗みがばれるやいなや、血相を変えて襲いかかってくる大人達。
しかし、さんざん打ちのめされ、地面に倒れている俺を人々は誰も助けてはくれなかった。
通りすぎる人々の目はいつもこう言う。
“忌むべき民”、”悪魔の子”、”気味が悪い”、”触れれば呪われる”…。
これを否定するつもりはなかった。なかば諦念に近い気持ちだった。
自分の中には、忌むべき血が流れている。かつて、人々を欺き、操り、そして殺した民の血が。
その証拠が、自らの珍しい赤い髪とケモノのような金の瞳だ。
忌むべき民の者は、みな例外無く、赤毛に金の瞳をしていたという。
人々から憎まれ疎まれたその存在は、当然のように大量に処刑された。だが、ごく少数逃げ延びた者も居る。その子孫が自分なのだろう。
ならば自分は今にも殺されそうだが…、それは絶対に無い。
何故なら、忌むべき民を殺した者は、みな例外無く報い――つまり、死を受ける…そんな話があるからだ。
虐殺が行われたのはもう二百年ほども前。今ではそんな話も真実かどうか定かではない。
だが、人々は信じて疑わなかった。
“忌むべき民は迫害すべき者であり、しかし殺せば我が身も滅ぶ”
故に、自分は孤独で惨めだった。
――あの少女に出会うまでは。

最初の記憶から十二、三年経った頃のことだ。
確か、春が終わったばかりの暖かい初夏の日だった。
町並みはずいぶんと変わっていた。
“からくり”というものが発明され、町の至るところに設置されていたからだ。
例えば、夜に火を使わず町を照らし続ける大きな棒。
例えば、ときどき町の上を飛ぶ、空を覆うほど大きな乗り物。
からくりの原理はよくわからない。ただひとつわかるのは、からくりが増えていくのにつれ、町からは緑が消えていくことだった。
植物は、からくりを作る際に燃やして燃料にするらしい。
花も森も、少しずつ消えていく。
切り倒された木々を見ると、いつも悲しみが込み上げてきた。
遠い昔も同じ感情を持った気がする。しかし、ぼんやりとしていてよくわからなかった。
相変わらず迫害は酷かったが、それにはもう慣れた。
体格が変わり、少しの痛みでは動じなくなった。
盗みも板につき、日々の食料の調達もだいぶ楽になっていた。

あの日、自分はいつものように、食料品店に盗みに入ろうとしていた。
なるべく人目につかないよう気配も足音も消して、建物の陰から辺りをうかがう。
時刻は早朝で、通りかかる人は殆ど居なかった。
「こらーっ!」
突然の叫び声。声の主は食料品店の店主だった。
バレたか、と周りを見回すが、店主の太い体は現れない。
不思議に思い耳をすませると、今度は少女の声が聞こえてきた。
「あら、こんにちは。この赤いもの、とても美味しいのですね。名前はなんというのですか?」
かなり状況を無視した能天気な声だった。
「あんた、金も払わずに売り物食われちゃ困るよ!ほれ、お代よこしな!」
「これは売り物、というものなのですね。初めて知りました。教えてくださり有り難うございます」
「どういたしまして…って違う、違う!あんたが食ってるのはリンゴ!食ったんだから早く代金だせ!」
「だいきん…?それはなんなのですか…?」
噛み合わない会話だが…どうやら少女はリンゴを買う前に食べてしまったらしい。
そして、金というものを知らない…。これは相当育ちの良いお嬢様だろうか。
…とにかく、今がチャンスだ。このトラブルで人が集まらないうちに、さっさと盗んで逃げてしまおう。
そう思い立ち、自分は店の中へ飛び込んだ。入り口付近に居た店主と少女の影が視界によぎる。
「あっ、今度はお前か!」
店主が自分に気づき、困惑していた顔を怒りで真っ赤に染めた。そして、捕まえようと巨体で襲いかかって来る。
自分は突き出された手を潜り抜け、その間に品物を選んだ。
パンにミルクにリンゴ…これだけあれば充分だろう。
手にとった品物をしっかりと抱きかかえ、また襲い来る店主を避けた。
勢い余ってうつ伏せに倒れる巨体を尻目に、自分は一目散に逃げ出した。
ドアの前にいる少女を突き飛ばし、一目散に走る。
来たときと同じく、闇に紛れるように。誰にも見つからないように。
しばらくの疾走の後、自分はやっと寝床にしている襤褸小屋に辿り着いた。
これだけ走れば、誰も追ってはこられないだろう。
自分はほくそ笑み、ドアを開けた。そして、気休めに壊れた鍵をかけておく。
乱れた息を整えながら、自分は床に寝転がった。床の軋む音が聞こえた。
仰向けで見上げる屋根板は、ほとんど穴が空いていて、そこから見える空はここのところずっと晴天だった。
空に翳した手から、光が漏れる。
光が眩しくて目を閉じた。
暗闇の中で、途端に心が迷いだす。
こんな生活がいつまで続くのか。
何故自分だけがこんなにも惨めなのか。
どうして自分は生きようとするのか。
延々と問いが頭を駆け巡る。考えまいとしても、目を閉じると浮かび上がってくる疑問達。押さえることは出来なかった。
自分は、人に虐げられるようなことは何もしていない。
しかし、”赤髪金目”というだけで自分は虐げられる。
だから、生きていくには盗みしかない。
何故自分は生まれてきたのだろう?
顔も知らない親に問いたかった。
何故自分は生まれてきたのだろう?
何故?
どうして?
…考えても仕方ないことだ。そんなことを考えていたら生きていけない。
そう思い直し、自分は目を開けた。
目を閉じれば、前に進めなくなる。
現実に目を向けなければ、疑問に喰われてしまう。
自分は虐げられても生きなければならない。理由は知らない。それでいい。
自分は起き上がって、迷いを振り払うように頭を振った。
盗んできたパンに手を伸ばし、一口かじる。少し固かった。

「ごめんください~、お邪魔してもよろしいでしょうか?」
突然の声に食事が中断された。食料品店にいた少女の声だ。
まさか、追ってきていたのだろうか。
起き上がって、入らせまいと扉を押さえようとするが、
「失礼致しますね~」
それよりもはやく、少女は勝手に入ってきてしまった。やはり鍵は無駄だったようだ。
少女は、布地をたっぷり使った質の良さそうなドレスを身に纏っていた。
髪は淡い翠色で、長いのによく手入れがされている。
あまり日に当たらないのか、肌は真っ白だ。
硝子細工のような繊細で整った顔立ちをしていて、触れたら壊れてしまいそうだった。
どこからどう見ても、品の良いお嬢様だ。
彼女の橙色の瞳が、自分を捉えた。
少女はまず、自分の髪を見て動きを止めた。
そして、ゆっくりと瞳を覗きこんでくる。
視線が耐えられなくて目を逸らした。
自分が忌むべき民だとわかれば、どんな罵声が飛んでくるのだろうか。どんな目で自分を見るだろうか。
心の何処かが麻痺していく。歪んでいく。
しかし、予想は大きく裏切られた。
「綺麗な髪と目ですね」
にっこりと微笑んで、少女は言った。
きれい。かみ。め。
驚きで声も出なかった。
誉められるのは、生まれて初めてのことだった。
心が、なにかふわふわした暖かいものに包まれていく。
初めての感情だ。名前がわからない。
戸惑いで動けずにいると、少女は遠慮がちに部屋を見回しはじめた。
動きに合わせて長い髪が揺れる。
「わあ…すごい。素晴らしいお部屋なのですね」
天井が殆ど機能していない襤褸小屋に対して、少女は憧れの眼差しを向けていた。
「いつでも外の世界が見られるのは、とても羨ましいです」
そう言うと、彼女はまた微笑んだ。心なしか、その笑顔は悲しげに見えた。

少女は突然かしこまって、自分の方を向いた。
表情も、真剣そのものだ。
「先程は助けていただいて、どうもありがとうございました」
そして、深々と頭を下げた。
…またしても、驚きで声が出ない。
自分が少女を助けた?
記憶違いではないだろうか。自分は、彼女を突き飛ばして逃げたはずだ。
なにがなんだか、さっぱりわからない。
「本当に危ないところでした。貴方様が居なければ、今頃私はどうなっていたか…」
「待って」
やっと出せた声で、止まらない言葉を遮る。
話すことは苦手だ。上手く話せるかわからないが…とにかく妙な勘違いを解くことにした。
「俺は、あんたを、助けてない」
「え?」
少女の頭の上に、大きな疑問符が見えた…気がした。
「何故そんなことを言うのですか?私はあなたに…」
「俺は、食べ物を、盗んだ。逃げた。それだけ」
彼女は頬に手を当てて考え込んでいる。考えるときの癖だろうか。
しばらくして、やはり納得いかないといった表情で、少女は言った。
「でも…確かに私はあなたに助けていただきました。あの大きな殿方が突然怒りだして、我が身がどうなるかと思ったその時…、貴方が私を外に逃がしてくれたではないですか!」
少女の熱演に、自分は心が呆れ返るのを感じた。
「それ、いろいろ、違う。俺は、あんたが邪魔、だから突き飛ばした。助けた訳じゃ、ない」
「ど、どういうことなのですか?」
少女の頭の上に、ますます大きな疑問符が浮かんだ。
本当にわからないのだろうか。実は、演技をしているだけではないのか。
そんな考えが頭をよぎる。
だが、そんなことをしても何もメリットはないだろう。それに、忌むべき民にそんなことをする人間も居ない。
気を取り直して、少女を見遣る。
「あんたは、店主の気、引き付けていた。だから俺は、それ利用して、食べ物、盗んだ。逃げるとき、あんた、扉の前にいた。邪魔、だから突き飛ばした。わかった?」
「は、はい…たぶん?」
語尾に疑問符がついている辺り、まだよくわかっていないのだろう。
この少女は、盗みという行為も知らなさそうだが。
「ところで…、盗むってなんですか?」
案の定だった。

鎖のように連なっていく疑問をひとつひとつ教えているうちに、すっかり日が暮れてしまった。
穴の開いた天井から、橙色の光が差し込んでいる。
遠くから、夜の訪れを告げる鐘が聞こえた。
少女と話していて、わかったことが沢山あった。
少女は、金というものを知らないこと。
今まで、”外の世界”に出たことがなかったこと。
からくりについて、やけに詳しいこと。
常識がかなり偏っていること。
そして…、忌むべき民について全く知らないこと。
その他にも沢山のことを話した。
生まれてこのかた、一日でこんなに沢山の言葉を発したことはなかった。一年分ほどの言葉を使ってしまった気がする。
口の疲労とは裏腹に、心はとても軽かった。
「あ…。そろそろ戻らなくては…」
思い出したように彼女は言った。
「そう。じゃ」
短く返す。すると彼女は、左手を差し出してきた。
「…なに?」
「握手です」
にっこり笑って彼女は言った。
よくわからなかったが、とりあえず右手を差し出してみる。
彼女は困ったように手を引っ込め、反対の右手で自分の手を握った。
…なにか間違えたようだ。
ともかく、これが握手というものらしい。手の温もりが伝わってきた。
「今日は楽しかったです。…あの、また来ても良いでしょうか?」
「別に、いいけど」
「ほんとうですか!」
よほど嬉しかったのか、少女は瞳を潤ませていた。
「そういえば…、名前言っていませんでしたね。私、シプリール・フォン=エルウィンザードといいます」
「…長い」
舌を噛んでしまいそうな名前だった。噛まずに言える自信がない。
少女は照れくさそうに先を続けた。
「ええ、ですからシプリと呼んでください。それで…、貴方のお名前は?」
「俺…、俺は…」
名前など、とうの昔に忘れてしまった。
目を閉じて、記憶の底を必死に探す。
思い出したくない記憶たちが蘇る。たくさんの痛み、罵声、土の味、血の臭い…。
その罵声の中に、ひとつ名前を見つけた。
「俺は、アシュタル」
目を開いて、記憶達を消し去った。
そしたら、目の前に満面の笑顔があった。
「アシュタル…アシュタル…。アシュ、ですね。とてもいい名前です」
「…そう、かな?」
「まだたくさんお話したかったのですが、戻らないと怒られてしまうので…」
「うん」
頷き、自分はドアの外までシプリを送り出した。
彼女は名残惜しそうに、何度もこちらを振り返る。
自分は、夕日に照れされ彼女の長く伸びた影が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。


 ***

2008/8/19 夏部誌

突発的に思いつき、すぐ挫折!
そんなお決まりのパターンでした。残念!

アシュタルは世界を守るために人間を排除する一族。
シプリは、それに対抗するため人間に作られた優しいからくり。

もう続きを書くことはないだろうな…。
自ら捨てた最後の青さは
少女の紅き頬を 頑なにした

眠れる春は過ぎ 低迷の季節
暗雲立ち込む空は 飽きるほどに単純な模様
見上げる 私の心はまるで虚無

頑なな頬ばかりが 老いた若さに縋り付いていた

微笑む術を忘れた心
覆い隠すよう 雨は振る


 ***

2008/6/12 梅雨部誌

青さ=幼さという解釈で。
雨が降る 雨が降る
祭りの跡に 雨が降る
宴の余韻はそのままに
あれよあれよと ひかり 降る

迷子のおみなも 眠るおのこも
さあさ さあさ
ここに おいでよ

木々は 葉 揺らし
花は 舞う
踊る火の輪は 月の影

さあ 舞え 唄え
命の雨よ
生けるものたちの 命の賛歌


 ***

2008/6/12 梅雨部誌

「流浪の民」という合唱曲の影響をもろに受けてます…。
蜘蛛が巣を作っていた。

複雑な模様の粘着質の巣を。



例えば、この巣は嘘だとする。

巧みに吐いて枝分かれした、嘘だとする。



それを作った蜘蛛は、僕だとする。

嘘を吐いたのは僕だとする。



その蜘蛛は、自分の作った巣に絡まって死んだ。



近いうちの、僕だ。



*アトガキ*

そろそろ自滅します。

 ***

アイタタター第四弾(つД`)でもこれは意外と気に入ってます。
敵だ。
敵が居る。

躊躇いなく引き金を引いた。



敵だ。
敵が居る。

躊躇いなく引き金を引いた。



敵だ。
敵が敵を震えながら庇って居る。

躊躇いなく引き金を引いた。



敵だ。
敵は降伏して居る。

躊躇いなく引き金を引いた。



敵だ。
敵だ。
敵だ。
敵だ。



味方は どこだ?




*アトガキ*

味方は居ない

全員敵だ。

自分自身も。


 ***

アイタタター第三弾(つД`)もはや、いみふめー。
雑音が聞こえる。

ざ ざ ざ ざ ざ

振り払ったら消えてった。



雑音が聞こえる

ざ ざ ざ ざ ざ

体に巻きついて離れない。



雑音が聞こえる。

ざ ざ ざ ざ ざ

耳から入って消えてった。



雑音が聞こえる。

ざ ざ ざ ざ ざ

口から入って消えてった。



雑音が聞こえる。

ざ ざ ざ ざ ざ

目から入って消えてった。



雑音が聞こえる。

ざ ざ ざ ざ ざ

首を振ったら消えてった。




それ以来

ざ ざ ざ ざ ざ

雑音は聞こえなくなった。

ざ ざ ざ ざ ざ



その代わり

ざ ざ ざ ざ ざ

私にはもう誰も近づかない

ざ ざ ざ ざ ざ





私が雑音になってしまったから。

ざ ざ ざ ざ ざ



*アトガキ*

私が喋った言葉は全て雑音となり

ざ ざ ざ ざ ざ

私が聞いた音は全て雑音となり

ざ ざ ざ ざ ざ

私が見たモノは全て雑音となる。

ざ ざ ざ ざ ざ

目から 口から 耳から 雑音が 蝕んできたから。

ざ ざ ざ ざ ざ



ざサ ざ ヨ ざナ ざ ざラ


 ***

アイタター第二弾(つД`)やべぇよ中二病…。
皆とおんなじじゃなきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじ事を言わなきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじモノを見なきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじ場所に行かなきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじモノを食べなきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじ服を着なきゃ、生きられないんです。

皆とおんなじモノを聞かなきゃ、生きられないんです。

皆の真似をしなきゃ、生きられないんです。


我侭の延長線上の、

ただの、言い訳だった。



*アトガキ*

そして 俺は今日も 誰かの真似をして 生きていく


 ***


うはー!!4~5年前の詩ですね…イタイイタイ(つД`)
とんでもないもの発掘してしまったな…。