
フォーラムの詳細→こちら
参加者人数は延べ80名ほど!
いわゆる子育て世代が中心でしたが、キュートな幼稚園児から人生の先輩世代まで様々、男女も半々、お仕事も学生さんや主婦・主夫、出版、メディア関係、子育て支援、働くママ支援、行政、etc..様々な立場の方、ダイバーシティな顔ぶれでした。あ、安藤さんと私の所属するブラコンバンドのメディア系バンマスも♪
平日にもかかわらず、会場はおかげさまで大盛況。このテーマに対する関心の高さを実感しました。
師走のお忙しい中ご参加くださったみなさま、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
残念ながらお越しいただけなかった方、私のレポートでgroove感じていただけると嬉しいです。

私のレポートもクリムゾンかフロイドかって感じになりますが、お付き合いのほどお願いします

まずは、主催のFJファウンダー安藤さんとDC代表の私の前説、今日のフォーラム開催に至った趣旨説明など。
なかでも、まだまだ認知度の低いダイバーシティという言葉の説明についての話では、さすが安藤さん、とあらためてリスペクト。それは、、
<ダイバーシティとは>
1 多様性。相違点。
2 企業で、人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用すること。こうすることで、ビジネス環境の変化に柔軟、迅速に対応できると考えられている。
3 携帯電話などで、複数のアンテナで電波を受信し、受信状況の良い方を使う技術。
(大辞泉より)
実はこの3番目が本質で、多くの人々の様々なアンテナでいろんな価値観を取り入れて、より良い方向に進む、ということだよね、というお話。
うん、アンテナがいっぱいあったほうが絶対いい!それぞれが足りないところは補完し合ったり、思いもよらないいろんな電波をキャッチできるかも。
今日のフォーラムでも、みなさんがそれぞれのアンテナで、いろんなことを受信してくださるといいな、と思いました。

今日の井上先生は紫色の素敵なお召し物&アクセサリで、「パープルリボンにちなんで。。」って、こそっと教えてくださり、、そんなイキザマ素敵です!
講演は、マスメディアにおけるジェンダー表現について、『なぜフェミニズムがメディアに注目してきたのか』という切り口からのお話でした。
メディアに登場する人物の性別による固定的なイメージでの役割分担、例えば、男性アナウンサーは政治経済などのニュースを読み、女性アナウンサーは生活情報などを担当、や、若く美しいことに価値があるような「女らしさ」の描き方、本筋とは関係なく水着の女性を登場させたり、暴力の対象にしたりというように、女性を侮辱する描き方がされているという問題の提起。
また、メディアに対するフェミニズム運動と国連・政府の施策の歴史についてのお話では、国連女性の10年と女性差別撤廃条約、北京会議での行動綱領、また国の第三次男女共同参画基本計画の中に謳われている「メディアにおける男女共同参画」などの紹介もありました。
いずれも、「メディア側の積極的な取り組み」「メディア業界への女性の参画の拡大」が課題です。
そして、一番大事なことは私たちがメディアリテラシーを身につけること。
表現の自由の問題もあり、行政や業界などに変革を求めてもなかなか難しいのが現実なので、やはり、市民の力でメディアを変えることが大切。
そのためには、私たち市民が社会的文脈でクリティカルにメディアと向き合い付き合っていくことが大事。
また、メディアは、社会に与える影響が大きいものなので、その中で描かれる女性像は多様であれかし。
以上のようなお話でした。
メディアリテラシーはブログやSNSや動画サイトなど、オルタナティブメディアの発達した現在の社会では、発信者としても必要なスキルです。ソーシャルでもドメスティックでも。

ちなみに、メディアにおける女性の参画状況調査によると、1030社中、296社の回答で、管理職の割合など 総務などの管理系に多いが、制作には少ないとのこと。
内閣府男女共同参画局HP

「コラージュによる育児雑誌の男女像分析」のグループワーク。
8種の育児雑誌をテーブルごとに一冊用意。雑誌内の人物写真を切り取り、男女、大人子どもなど属性分けして模造紙に貼っていきます。
気持よく破っておられます
これを元にして各グループで分析、発表というとても興味深いワークショップでした。
雑誌の立ち位置や読者層によって誌面の作られ方は全く違いますが、全体を通して雑誌を斬った結果は。。
・とにかくママが中心である
・男性がほとんど登場しない、あってもドクターなどのスペシャリストとして。。
・パパは雑誌によってはイクメンとして描かれているようだが、どちらかと言うとイケメン、ファッションアイコン的描かれ方が多く、現実感がない。子どもとのおでかけスナップでもパパバッグをもってなかったり、、抱っこがぎこちなかったり。。。
・パパ育児中の投稿写真で圧倒的に多いのが「入浴」これはプレパパ講座などでのお世話カリキュラムに入浴が多いせいか。
・特にAGEHA系のギャルママ雑誌は男性や子どもの出番はほとんどないという、ファッション中心
・子どもモデルでも男の子が背が高かったりと、男子を大きく女子を小さく見せる傾向
・赤ちゃんの性別の判別は、着ているものなどの色から。赤系は女子青系は男子。
最後は井上先生によるまとめ
以上、普段いかに私たちが刷り込みの情報に惑わされているか、実感できたワークだったと思います。

登壇者は
<パネラー>
小国 綾子さん(毎日新聞 記者)
谷川 太一さん(電通 CMプランナー)
佐藤 詳悟さん((株)よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
福井 正樹さん(NPO法人KiraLi 代表)
森林 育代(NPO法人ダイバーシティコミュ代表)
<コーディネーター>
安藤 哲也さん(NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表、内閣府男女共同参画推進連携会議委員)
<アドバイザー>
井上輝子先生
まず初っ端は、育休後コンサルタント山口さんや安藤さんのFacebookで議論が盛り上がっていた某食品メーカーのCMをご覧いただき、これについてのディスカッション。CMはこちら
私はその盛り上がってるFacebookのウォールで件のCMを見たのですが、「日本の働くお母さん」としてもいろいろ思う所あり、またウォールでの数多の方々の切実なご意見を読んで、これはDC代表としては看過できないし、クローズドな話だけでなく、やはり作り手側にフィードバックしないと世の中かわっていかないだろうと、その日のうちにメーカーに「意見書」を送りました。ということを安藤さんがご紹介。
一週間後にメーカーよりご回答をいただいたので、そのあたりの話をして、作り手サイドのパネラーの方のお話もお伺いしました。
もちろんこのCMに対して感じよく思われる方もいらっしゃるかもしれないし、違和感を感じない方もいらっしゃることでしょう。でも問題提起することにより、「そっか、言われてみればそうだよね」「そんなことを感じる人もいるんだね」って気づきがあれば、多様な視点が持てるし、刷り込みの呪縛から開放された世の中に近づけるんではないか、と思うのです。
冒頭からここまでの流れで、パネラーのみなさん少なからずアウェイ感を感じていらっしゃったかと思います。
でもメディア糾弾集会ではないので、建設的で率直な意見を交換出来れば、、と思いましたが、ちょっとハードロックだったかな

メディアサイドの方からは「こんなのが来たら担当者は3日くらい眠れない(苦笑)」と

ご担当者さま、眠れなかったらごめんなさい

でもお互い悪気はないってことはご理解いただいてるかと思います

一応社名はマスキングしてますが、ご参考までに公開します。
意見書
広告部長名でいただいた回答書
その後は各パネラーのプレゼン。メディアサイドのお話は普段見えてこないだけに本当に貴重でした。
私と同世代で、同じく同世代一人息子の母である毎日新聞記者小国さんは新聞社における女性記者の立場から、ジェンダー的表現、内部事情を交えながらのお話。とても興味深かったです。
新聞記事における表現で今は使われていないのは、ことさらに女性につける冠詞など、
『うぐいす嬢 OL(女性会社員) 女子供 処女作 チアガール 老女 初の女性○○ ママさん○○』などなど。
そして取材の際に、対象が女性だと、結婚してるか、子どもがいるのか訊くのが通例だけど、男性には訊かない。それはおかしいと思いつつも、小国さんは同じ女性として、そこは単純に気になるのでやはり訊きたいと思うし、読者の女性のエンパワーメントにもなるのではないか、逆に男性にも同じくプライベートの質問をするのがいいかも、男性も家庭のことを聴いて欲しいひとが増えてるかもしれない、というお話。
たしかに!どちらかだけ、にするからダメなんだな。
電通のCMプランナーの谷川さんは1歳半のお子さんのパパ。
電通社のダイバーシティに対しての取り組みについて真摯にお話してくださいました。
電通では去年、全社タスクフォースチーム「電通ダイバーシティ・ラボ~みんなに届くコミュニケーション~」を発足して、全社的に人権についての研修なども行われているとのこと。
最近はマーケットとしても広がってきていると言われるLGBTに配慮した取り組みも行なっていて、ソフトバンク社に提案した「家族割は住所が一緒なら、戸籍問わず、同性同士のパートナーとも適用」や、来年は「ディズニーランドでの同性カップルの結婚式」もプロデュースとのこと。
ただ、やはり広告は最大値のマーケットを考えなければならないので、ダイバーシティ的には遅れ気味。なぜなら世相を反映し、より多くの人の心を揺さぶり届かせなければならないから。
一方TVドラマなどは、マイノリティや女性のスペシャリストが主役になっていたりなど、進んでいる方。
やはり、消費者である私たち市民の意識が変わって行かなければ、なかなかCMにおけるダイバーシティ的表現は難しいのかも。
それにしても電通さんは、さすがにやっぱり素晴らしい企業なんだなと感動しました。
よしもとクリエイティブ・エージェンシーの佐藤さんは、番組やコンテンツを創る際に、やはり多様な視点が必要だし、外部の意見なども取り入れ一緒に作れるといい、というお話。賛成です。
昨今は誰もが発信者になりえるので、twitterなど匿名で不毛な議論や炎上したりすることもある、だからちゃんと議論の場についたり、意見がある人とコンテンツを一緒につくるほうが建設的では、とのお話でした。
谷川さん佐藤さんおふたりに共通していたのが、家庭科男子必修世代。なので固定的な性別役割意識はあまりない、それよりやっぱり上の世代にそういった価値観を持っている人達が多いので、若い彼らが管理職世代になるころには随分世の中が変わるんではないか、と希望の持てる話でした。
また、安藤さんより「逆にチャレンジングなものを作って上にぶつけてみて」というロックなサジェスチョンも。。。
NPO法人KiRALi代表の福井さんは、次世代である中高生へのメディア・リテラシーの授業を行なっているとのことで、教材にされているCM素材などをお持ち頂きました。
特に70年代の洗剤などの家庭雑貨のCMはおしなべて「白→清潔感→母」。
現在のCMも、男性が家事をする姿が描かれていても「女性が家事をするものという前提で、男性に家事を強要する、あるいは男性家事をレアケース的なものとして礼賛する」スタイルのものが多いと。
中学生などの授業では、やはり説明しないと何が問題だかはわからない、けれど説明をすれば問題点が理解できる。特に女子。
男子へのキラーワードは「こうすると女子にモテるぞ」らしいです。
次の世代にジェンダーバイアスの刷り込みをしないために、家庭でもちゃんと話をすることが大事だよね、と。
(そのためには早く家に帰って家族でテレビを視なきゃねってこと^^)
今日は内閣府や文京区のご後援もいただいた男女共同参画なフォーラムでしたが、やっぱり私たち一人ひとりが世の中には多様な価値観があるということに目を向け、ダイバーシティを「女性問題や障害者、外国人問題でしょ」ではなく「自分事」として受け入れることが大事だし、誰かの作った枠やイメージの中で生きるのではなく「自分軸」を大切にすることができれば自分もまわりの人たちも尊重できる社会になるんだと思います。
そのためにも、私たちにとって影響力の高い、生活に身近なメディアから恣意的、あるいは無意識に刷り込まれる情報などをクリティカルに分析し取り入れるand発信する力、メディア・リテラシーを身につけることは大事だと思います。
また、問題に気づいたらあきらめないで声をあげるということも大切だけど、逆にいい部分を見つけたら同じくフィードバックすることも大事ですよね。
そうやってお互いが前向きに建設的に多様な価値観をダイバシティアンテナのごとくキャッチしていけばもっと生きやすくhappy な世の中になるんだと思います。
ということを私からお話しました。
最後に会場からも多くのご意見をいただきました。
二人のムスメちゃん連れパパも発表してくださいました
主夫の堀込さんは出版されたばかりのダイバーシティなご著書もご紹介くださいました。
「イクメン」「主夫」やってます、と殊更に気負わない内容と、ご家族への愛情がひしひしと感じられる素敵で読みやすい一冊ですので、ご興味のある方は是非手に取られてみてくださいね(^o^)/ 男女ともにオススメです!「子育て主夫青春物語「東大卒」より家族が大事」

メディア側の方も、受け手側の方も、気づきが多かったし、心しなければと思った、メディア叩きのフォーラムではなく、前向きにみんなで考えることができてよかった、この先の世の中に希望が持て勇気がでた、などなど、おかげさまで好評で意義あるフォーラムになったと思います。
これで終わるのではなく、また第二弾、第三弾、今度は広告主サイドやマスコミ、オルタナティブメディア、など様々な立場の方を交えてより多角的な視点で開催したいなと思います。
また、ジェンダー(社会的・文化的な性のありよう)問題の捉え方が、やはり「生物学的な性差の否定」というように感じられる方からの声もありました。
性別に限らず、生まれながら、あるいは自分では変えられないことに対しての差別や不利益を是正することが目的で、ジェンダーフリーは性的魅力を否定することが目的ではないと私は考えます。
私は少女時代「自分が女である」ということを認めたくなく、また決められたくなく、髪もショート、スカートはかず、野球やったりギター弾いたり、人からイメージを刷り込まれることや人と同じ事はいや、という「変った子」として過ごしてきました。
子どもを産んで「あら、私も女だったんだなあ」と思ってやっと肩の力が抜けるまで。。
きっとそれまで自分が女性であることを否定したかったのではなく、「女はこうあるべき」とカテゴライズされることに反発していたんだと思います。
また逆に自分でその枠をつくり、枠に振り回されていたんだと思います。
自分軸があればいいんだ、と思ってからはスカート着たり、かわいい格好をしたり、ピシッっとした服を着たり、もう女らしかろうが、男前だろうが、自由に自分自身を楽しむことができるようになりました。
だからこそ、刷り込まれた「らしさ」の強要で生きづらい世の中を変えたいって思うのです。
好きな人のために自分をより素敵に魅力的に見せたい、というような本能的な部分は自然だし自由だと思います。性的な魅力を感じるのが同性間でも異性間でも同じ事。
ジェンダー問題については、女性学、フェミニズム運動をされてきた諸先輩方も、現在も、主に女性が声をあげて男女共同参画社会を推進してこられました。
先の世界経済フォーラムでの日本の男女平等度も世界101位に後退し、男女間の経済格差を10%縮めようというタスクフォースまで発足されてしまった日本。記事
さる日本の保守第一党は、クオータ制度にも賛成ではなく、LGBT差別をなくすことにも反対、国連女性差別撤廃条約の締結国として選択議定書を批准することにも反対、などなど、Love&Peaceな社会の実現にはまだまだ先は長いかもしれません。
でもこれからは「男女共同参画社会」から「ダイバーシティ社会」にパラダイム・シフトさせて、誰もが自分問題と考えられ、誰もが生きやすい社会にすることが私たち世代、そしてNPOダイバーシティコミュのミッションだと、思いを新たにしました。and I try♪
来年は「ダイバーシティ」を流行語大賞に! Yeah

Satisfaction-Rolling Stones