先の「アーサー王物語」の記事で「血で血を洗う」という表現をしましたが…

「血で血を洗う戦い」といえば私が思い出すのはこの漫画です。

めちゃくちゃ面白いんですけど、誰も信じられないことの壮絶さに血の気の引く思いがします。
過去に読んだものになりますが、血で血を洗うつながりで挙げておこうと思いまして。
繰り返しますがこれも面白いです!

ドン・ペドロは、カスティリア王の嫡男でありながら父に愛されず育った。 父の死後15歳で即位するも実権は握れないまま、身内に裏切られ幽閉されてしまう。やがて権力を取り戻したドン・ペドロは、この経験を基に、兄と対立し、人を信じず謀略の中に身を投じ、裏切りを許さない苛烈な専制君主となった。

ドン・ペドロはカスティーリャ王ペドロ1世で実在した人物。

不遇な幼少期を送ったドン・ペドロは、力を持たないことの悲劇を悟ったのか、権力と恐怖で人を従える苛烈な王になります。

しかしそんな彼にも、数少ないけれど信頼できる親族がいました。心から愛する愛妾のマリアとその兄や父などです。

マリアと暮らすためにドン・ペドロが建てた城、アルカサルは、
彼の勇猛さや残酷さと対極にあるような繊細で美しい装飾が施され、
マリアはそこにドン・ペドロの繊細な美を愛する本質と、虚勢を張って生きるしかない悲しさを見た気がします。
私が一番記憶に残っているのはここですね。

権勢を誇っていた彼も、ある時疫病が流行り、マリアや幼い息子が死んだことをきっかけに、隙が生じ、
すかさずそこを狙われて権力から追い落とされ、味方だった親族も死んでしまいます。

びっくりしたのは最後の方で主役のドン・ペドロが死んでも物語が続いていくこと。(一連の流れの終わりまで描かれます。)

ペドロの最期は家臣に騙し討ちされるというもので、
人を信じられない者の末路かもしれないけど
そう生きざるを得なかったんだろうなぁとも思うので、死に方が切ない。

それと、信義も何もない、家臣たちのものすごい手のひら返しがきつい。
ちょっと弱みを見たらすかさず噛みつく姿には「ええ〜〜っ」と引きました。

世情が不安定になると、スペインのカスティーリャ地方が独立だーと騒がしくなる印象がありますが、その背景がこれを読んで何となくわかるようになった気がします。

今手元にはないんですけど思い出すことのできる印象的な漫画でした。
また読みたくなるなぁ。

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おまけ

スペインは情熱の国と言われているイメージですが、
私の好きな吹奏楽曲にはスペインをイメージして作られたそれはそれは美しい曲があって、情熱だけじゃなかったんだと印象が変わります。

☆「エル・カミーノ・レアル」(アルフレッド・リード作曲)
スペインの王の道をイメージして作られた曲で、中盤の美しさは「天上の音楽」と呼ばれるほどです。よかったら聴いてみてください。