「墓碑の記名が済みました。確認しておいてください。」と連絡があった。

 
自宅から近いお墓なので、すぐに確認に行った。
見上げると母の名前が刻んであった。
 
 
お母さん、もう居ないんだ。
ホントに死んじゃったんだ。
来週にはここに入るんだ。
 
 
母が亡くなったことを今更ながら思い知らされた。
 
 
墓碑を見ながら、複雑な思いになった。
納骨。
母を手放すような何とも言えない寂しさがある。
だけど、形はなくても母が近くにいると信じて、母を父の隣に送り届けてあげなきゃと思えるようにもなった。
 
 
 
 
母が元気な頃は、毎月二人でお墓参りしていた。
階段を昇ることが難しくなり、動くと息切れするようになってからは、毎月一人でお墓参りしていた。
 
 
「私もお墓参りに行きたい」
母は、ここ数年お墓参りが出来ていなかったことを、ご先祖様に申し訳ないと悔やんでいた。
おぶってでも連れて行ってあげればよかった。
 
 
両親共に先祖供養をきちんとする人だった。
昨年の秋、短時間の外出で自宅に帰ってきた母が、真っ先に向かったのは仏壇の前だった。
「ご先祖様、やっと帰ってきました」と涙ぐみながらお参りした母。
その姿は鮮明に記憶している。
 
 
そんな両親を見て育った私は、朝夕仏壇にお参りし、毎月の父の月命日とお彼岸、お正月と欠かさずお墓参りをしている。
若い頃は時々しか行かなかったお墓。
両親の姿を見ていて、自然に毎月行くようになった。
 
 
いずれ自分も入るお墓。
一人身でよかったなって思うのは、両親と一緒のお墓に入れること。
 
 
 
いつか二人の隣に並ぶとき、堂々と隣に居られるように、両親に恥じない生き方をしていかなければと思う。
生きて行く目標はまだ見つかっていないけど、今は両親の供養をちゃんとして、両親に心配をかけないように生きて行こうと思う。