「天国からプレゼントを送リ続けるあの人」
あの人は死んだはずなんだ。
1973年に私が南米パラグアイへ移民する時に、
彼は会社を休んで、わざわざは奈良から東京の羽田空港まで
見送りに来てくれた。見送りはほとんどが東京に住んでいる
私の親戚ばかりだったのに、東京以外からの見送りは親戚でも
ないあの人だけだった。
あの人は私の商売上のお客さんで、私が絨毯、カーテン、家具を
カタログで訪問販売をしていた時に知り合った商売上の
大事なお客さんだった。
私はそれまで大阪で、トヨタのワゴン車1台で商売をしていた。
金がなかったから、店を持てず、お客さんからの電話を
受け継いでくれる留守番電話会社を利用した。
お客さんから留守番電話会社に電話があると、
「男前のトクサンは今出かけています、帰ってきたら、
すぐに電話させます」。私は店の屋号を“男前のトクサン“と
登録していた。こんな変な名前を店の屋号にする私は人とは
だいぶ違う人間かも知れない。
でも私の発想はいつも人を笑わせる事に行き着く。
今思い出すと懐かしい、変なおもろい屋号です。
でも、名前も、商売もお客さんに受けた。
いつも私はそこにはいないのです。
毎日何回か電話をしてお客さんから電話があったかを
聞くだけでした。留守番電話会社は店を持つ事の
出来ない私みたいな商売人には安くて便利で、重宝でした。
私が24、5歳の頃です。
続く