『ためになる健康情報』 第51回 特発性正常圧水頭症

北本中央クリニック 神経内科 藤本健一

 

パーキンソン症状を呈する病気のひとつに特発性正常圧水頭症があります。

運動症状は歩行障害が中心で、パーキンソン病のような症状の左右差は目立たず、手の巧緻運動障害や震えを伴いません。

 

前後方向の小刻みすり足歩行は両者に共通ですが、左右の歩隔も狭いパーキンソン病と異なり、特発性正常圧水頭症では歩隔が広く、開脚歩行が特徴です。

 

パーキンソン病では進行期に出現するすくみ足や突進現象を早期から認め、ターンする時にバランスを崩して転倒します。意欲低下や集中力の低下が目立ち、次第に物忘れも加わります。

 

動作は遅く、排尿を我慢できないため、尿失禁を伴います。

 

頭部CT検査では脳室の拡大を認め脳全体が上方に押し上げられ頭頂部の隙間が狭くなり、反対に脳の下の方の隙間は広くなります。

腰椎の間から脳脊髄液を抜く検査で症状が改善する時は、脳脊髄液を腹腔内などへ排出するシャント手術が行われます。

 

脳内の圧バランスが崩れて、脳組織が圧迫されることが原因なので、症状が出てから長期間経過すると、シャント手術をしても症状は改善しません。早期発見、早期治療が大事です。