『ためになる健康情報』第34回 脳深部刺激の進歩

北本中央クリニック 神経内科 藤本健一

 

パーキンソン病では特定の神経核の活動が亢進しています。

該当する神経核の熱凝固や、刺入した電極の高頻度刺激による

神経核の活動抑制により症状を改善することができます。

 

後者は脳深部刺激と呼ばれ、わが国では2000年に保険が適用されました。標的となる神経核は非常に小さく、1ミリ単位のずれが治療効果に影響を与えるため、局所麻酔で脳に電極を刺入し、治療効果を確認しながら位置を決める必要がありました。

 

従来は上下に4つの接点を持つ電極の最も治療効果に優れる接点を刺激していました。

その後、同じ高さで3方向に接点を持つ電極が開発されて方向性をもつ刺激が可能になり、各接点に流れる電流の割合を自由に変える技術により、刺激する高さや方向を手術後に微調整できるようになりました。

 

画像技術の進歩で、標的とする神経核へ電極をより正確に導けるようになったこともあり、全身麻酔での手術が可能になりました。標的となる神経核の活動をモニターして、必要なときだけ刺激する刺激装置や、充電式の刺激装置も開発され、脳深部刺激は2000年当時と比べて大きく進歩しています。