ためになる健康情報 第13回 パーキンソン病と寝汗
北本中央クリニック 神経内科 藤本健一
真冬なのに寝汗をかく、寝汗で身体が冷える、
夜中何度も着替える必要があり大変、
パーキンソン病の患者さんの訴えです。
寝汗の原因は、感染症からホルモン異常、
精神的ストレスまで様々ですが、
パーキンソン病では
自律神経にレビー小体が蓄積することが原因です。
ミュンヘン大学の神経病理学者だったレビー博士は
パーキンソン病で亡くなった患者さんの脳を顕微鏡で観察し、
ドパミン細胞内の封入体を発見。
1912年に報告しました。
封入体はレビー小体と呼ばれるようになり、
パーキンソン病の病理学的指標とされました。
1990年の終わりに、レビー小体はα・シヌクレインという
異常な蛋白が凝集したものであることが分かりました。
パーキンソン病が進行すると、
レビー小体はドパミン細胞のみならず全身に溜まります。
自律神経に溜まると、
血管の収縮拡張の調整が出来なくなり、
寒いのに寝汗をかくことにつながります。
逆に暑いのに汗をかかなくなると、
体温が上がり熱中症になります。
残念ながら、自律神経障害による寝汗の良い治療法はありません。
身体が冷えないよう、頻回に着替えて下さい。