こんばんは！ひのははです。

をご覧になったことがありますか？

私もいつも見ているわけではありません。

今月、たまたま見て、「１００年近く前にこんなことを唱えた人がいたのか！」と感心した次第です。

取り上げているのは、スペインの哲学者・オルテガの『大衆の反逆』です。

第３回の放送を見て、オルテガが「今の社会が先人たちの長い年月をかけた営為の上に成り立っていることに気づくべきだ」と主張していることを知りました。

先人たち、つまり今は死者となっている人たちが今生きる私たちを支えています。

でも、それを私たちはすっかり忘れています。

考えてみると、展覧会は死者が残したものを見ているのです。

人気の「奇想の系譜展　江戸絵画ミラクルワールド」は、古いものは戦国武将・荒木村重の子として産まれた岩佐又兵衛の《官女観菊図》

から１８６１年に没した歌川国芳の《宮本武蔵の鯨退治》

まで、３００年ぐらいの間の新旧絵師の作品を見るわけですが、当然みなさんは死者なのです。

ある意味私たちは、死者と共に今を生きています。

過去や伝統からぷっつりと切り離されて今があるわけではないことを考えると、今見られる過去の作品とそれを描いた人、更に守り続けて来た人にもっと敬意を払う必要があるのではないかと考えさせられました。

あー、このオルテガの『大衆の反逆』は大衆社会論として著した書物なんですけどね。

「武蔵の遅刻理由」を見ても

死者となっている歌川国芳の作品を踏まえて、私たちは今を楽しんでいるわけです。

死者というとドキッとするのは、何か死が悪いことのように思われているからです。

がんを告白した人に「がんばれ～！」コールが凄まじいのも、死は敗北だと思うからでしょうね。

私たちの今は死者と共に存在していると考えは、いわれてみればその通りなのですがちょっとした発見でした。

指南役の中島岳志教授はなかなか興味深い文章を発表している人なので、機会があったら読んでみてくださいね。

死者と共に生きる