「誤解を恐れずにいえば、私たちは、「問題」と向き合うために働いているのかもしれない。

ここでの「問題」とは必ずしも仕事上のトラブルを意味しない。

それは日常のときどきに湧き上がる人生からの問いである


ある時期まで、人生は問うだけの厳しい教師のように思われた。

しかし、今は少し違う。

分からない、と正直に思いさえすれば、人生は微かな光で道を照らし出してくれるようにも感じられる。

そして光は、無音の声でこう語りかけるのである。

あまり速く歩いてはならない。

大事なものを見過ごす とになる。

お前が失敗 と呼ぶ出来事のなかに人生からの呼びかけが含まれているのを、聞き逃すことになる。


働いていれば、つらいと感じることは幾度もある。

だが振り返ってみると、そうした苦痛の経験が新しい何かへと導いてくれることは珍しくない。

そうした試練のとき、私たちは期せずして、未知なる徳にふれているのではないだろうか」


以上、【言葉の贈り物】42ページから引用。


「人は単に考えを書くのではなく、むしろ書いてみてはじめて、自分が何を考えているのかを知るのである」


以上、同書43ページより引用。


若松さんの言葉は、どうしていつもこんなに繊細で美しく、そして深いのだろう。

きっと、じっくりじっくり自分に問いを立て、行きつ戻りつしながら書いているのだろう。

人は言葉でできている。

これを忘れて生きると、本来自分が求めていた人生の本質からズレていく。


「速く歩いてはならない、大事なものを見過ごすことになる」

ここがこの上なく痛かった。


そうならないためにも、

時々立ち止まって自分の位置を確かめるために、書くことを忘れずに続けたいと思う。


書くことの大切さを、いつも若松さんの本を読むと思い出す。

そして、なかなか読み進めることができない。

なぜなら、1ページ読むごとに、なにかを書きたくなる文章だからだ。

脳みそ、もしくは、胸の中から、なにかが、モヤっと沸き起こる。


とても刺激が多い本です。




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11月4日(土)

私設図書館

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