国語の学習、とくに論説文の学習にはふたつの側面へのアプローチの仕方があります。「解釈」か「論理」か、というふたつの側面です。近年の学習参考書を見ると「論理」を重視した著作が主流になっています。これは、文章を読解する上で誤った日本語へのアプローチではないのですが、日本語の片方の側面にだけ焦点を当てているやり方で、やはり意味内容の解釈をまったく無視することも、極端に思われます。結論として、日本語の文章を読解する上で重要なのは、文法論理と意味内容のふたつの側面からの訓練をすることです。単純に考えて、いくら論理的に文脈を追う訓練をしても、言葉の意味内容がまったく分からなければ、日本語の充分な理解には及ばない。やはり、精読と多読との双方が必要だと思われます。たとえば、語彙数を増やすには、多読を。また勝手な解釈を防ぐためには、精読=クロスリーディングが必要です。したがって、教室では綿密な論理的読解の訓練をし、それ以外の時間には多量の読書をするというのが正当な学習方法だと思われます。日頃の読書と、勝手な読みを矯正するためのロジカル・リーディングの双方を地道に続けていく。母語・母国語である日本語とはいえ、いきなり読解力が上がるというのはありえません。地道な努力が必要です。