イケメン戦国*家康*彼目線2 | 時をかける妄想BLOG

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幸推しOLのイケ戦議事録。好き勝手につっこみ騒ぎます(^o^)


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ネタバレ注意。

主人公の名前は「かな」です。


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(…………くそ)

床に転がされた家康は、かすむ目を凝らした。

顔を隠した浪人達は、倒れた家康を放置し酒盛りを始めている。

(…………っ、動け、よ)

身じろぎするけれど、思いつく限りの暴力を加えられた身体は、ぴくりともしない。

手足を縛られたまま、意識が朦朧とし始めている。

(っ……下手したら、あばら、何本かいってるな)

激痛を感じる一方で、どこまでも冷静に考えている自分がいる。

(あいつら……絶対、許さない)

――…声は、上げなかった。

殴られ、蹴られ、嘲笑を浴びる間、沸き立つ怒りに任せ、ただ耐えた。

(お前らが、どこのどいつだろうと……全員、殺してやる)

きつく噛んだ唇に、血がにじむ。

けれど意思に反して、視界はだんだん白んでいく。

(く、そ……)

残る力を振り絞り、首をかすかに振った時――

 

家康「……」

山小屋の壁に空いた穴の向こうに、いるはずのない人の姿が見えた。

(かな……?夢、か?誰か、俺に……)

震える唇を、声もなく動かす。

 

家康『か……た――』

穴の向こうで、かなが必死に息を詰め、耳を傾けているのが見える。


家康『か……た、な……』
(このまま、じゃ……終われ、ない)

壁の向こう側で、かなは家康の発した言葉を読み取った。

息を呑み、隣にいた光秀さんを振り仰ぐ。
光秀は黙って、かなに小刀を手渡した。
意図を理解して、かなは自分の腕が辛うじて通る小さな穴を見据えた。

刀を鞘から静かに引き抜き、手拭いを巻いて刃の方を握り、音を立てないように穴に通す。
息を殺し、かなは腕を伸ばせるだけ伸ばした。

家康に届くよう、ひたすらに祈りを込めて。

 

(あ…………)

ぼやける家康の視界に、小刀の柄が飛び込んできた。
(っ…………)

渾身の力を振り絞り、唇で震い付く。

勢いよく刀を引き寄せると、身をよじって拘束された手で掴み、間髪入れずに、足首を縛る縄をブツリと断ち切った。

敵「あ……?どうした、まだ身動き出来る元気が……」

(うる、さい)

ためらいなく刃を手のひらで握り、がむしゃらに手首の縄も断ち切る。

傷ついた手で柄を握り、床に叩きつけて半身を起こす。

 

敵1「っ…!?家康、お前、何を…」

(うるさい……っ)

ぎり、と奥歯を噛んだ、その瞬間、

(……!)

戸が蹴破られ、見知った織田軍の武士達がなだれ込んできた。
光秀「そこまでだ、お前達」
信長「その男、返してもらう」

(信長様……光秀さん……)
敵1「っ…!お前達は……」
敵2「く……っ、渡してなるか、その前に家康を殺せ!」
(っ……ふざけるな)

痛めつけられた身体が悲鳴を上げるけれど、無視する。

怒りだけを力に這いずり、家康は息もせず敵を斬りつけた。

敵2「っ……ぐ……」

 

家康「――誰を、殺すって?」
(俺は、死ねない。こんなところで、死んで、たまるか)

目を血走らせ、小刀を手に立ち上がる。

敵2「く、そ……」

足元で、たった今斬り伏せた男がうめく。

 

家康「――黙れ」
敵「……!」
容赦なく蹴り上げると、相手は意識を失った。
(……まだ、刀を振れる。そうだ、俺はもう――踏みにじられて、膝をかかえて耐えてるだけだった、子どもじゃない)

深く息をし、痛みを意識の外へ追い出す。

怒りだけを支えに真っすぐ立つと、不意に視界がくっきりと澄み渡った。

 

信長「正気に戻ったようだな、家康」
家康「……はい。申し訳ありません。不覚を、取りました」
固い声で告げ、刀を構え直す。
敵は怯えたように、後ずさりを始めている。

(さっきまでの威勢は、どうしたんだよ)

信長「俺の配下の者に手を出して、ただで済むとは思っておらんだろうな、貴様ら」
敵達「っ…信長みずから出てくるとは…!退け!退け…――!」
敵達は身を縮め、壊された戸口へとどっと殺到した。
(行かせるわけ、ないだろ)

隅に転がされていた自分の太刀を拾い上げると、敵を追って飛び出す。

痛みが麻痺していく中、逃げまどう敵を斬り倒し、走り、また斬り倒す。

 

背後から、光秀の鋭い声が響いてくる。

光秀「ひとり残らず捕えろ。ただし、殺しはするなよ。この者達には聞きたいことが山ほどある」

味方の武士「はっ」
小屋から飛び出した敵を、待機していた救出隊も迎え撃ち、乱戦になる。

(殺すな、か。確かにな。こんな奴ら……殺すだけじゃ、足りない)


家康「――逃がさないよ」
敵3「ぐわ…!?」
何人斬ったか、もはやわからなくなった頃…

(……!あいつは……)

いつかの雨の日、かなを襲った浪人が目に入る。

(顔を隠してたけど、あの背格好……間違いない)

 

茂みに逃げ込むその男の後を追うと、その先で悲鳴に似た声が上がる。
浪人「お前は……信長の側女!?」
(……?なんだと。まさか……っ)

道をさえぎり木々が頬を打つのも構わず、家康は声のする方へと走った。

 

浪人「このような場所に来るとは愚かな女だ…。もはや、命運尽きた身だが――家康と信長に味方する者を、ひとりでも殺して冥土へ行くとするか」
(っ……!)
駆け込んだ草地に、刀を振り上げる男と、かなの姿が飛び込んでくる。

家康「かな!」
家康は勢いを緩めずに走り、かなを背にかばい刀を受けた。

浪人「!?」

金属音が耳をつんざき、夜の森をざわめかせる。

浪人を見据え、考えるより先に、低く唸るように叫ぶ。

家康「この女は、関係ない」

(お前が関わっていいような女じゃ、ない)

刀を構えながら、無意識に本音が胸に噴き出した。

(単純で、バカみたいに前向きで、無邪気に笑ってる、そんなかなが…ひと時たりとも、こんな場所にいていいはずがない。怯えた顔を、もう見たくない)

 

「家康さん……!」
背中から届く声は、確かにかなのものだ。

(夢でも、幻でもなかった。さっき俺に刀を渡してくれたのは、かなだったのか)

なぜここにいるのか、どうして危険を冒して自分を助けたのか――聞きたいことは山ほどあるけれど、疑問を押さえつけ、家康は眼前の敵を見据えた。

(今はまず、こいつを倒す)


浪人「おのれ家康…!三河の裏切り者が、分もわきまえず……っ」

(三河の、裏切り者……?)

家康「まさか、お前達は――」
浪人「死して償え…!」
問いかけを無視し、浪人が後ろへ飛びすさり、再び刀を振り上げた。
(っ……お前らだったのか)

 

家康「――なめるな」
相手が刀を振り下ろすより速く、家康さんの小太刀が相手の胴を真横に斬りつけた。

浪人「ぐ、は……っ」

「あ……っ」

手から刀を取り落とし、浪人は重たげな音とともに地面へ倒れた。
浪人「こ、ろせ……っ」

(殺せ……?)

転がりうめく男を、冷ややかに見下ろす。

(さっきまでは……殺すつもりだった。いや……殺しても足りないと思った……だけど)

背中から、かなの息遣いが聞こえる。

頼りなげで儚い、けれど温かな音が。

(こいつに構うより、かなを、ここから引き離さないと……)

 

満ちていた怒りが弱まって、家康は感情を込めずに呟いた。

家康「断る。せいぜい生きて、屈辱を味わいなよ」
呟きが終わらないうちに、浪人は意識を失い、動かなくなった。
家康「……今川の生き残りがいたとはね。驚かせてくれるな」
(俺を捕えた奴らは全員……今川の残党だったのか)

自分の呼吸が乱れていることに、ふと気づく。

麻痺していた痛みがよみだえり、襲いかかった。

(っ……この痛みは……俺が、まいた種か)


光秀「――終わったぞ、ふたりとも」
(光秀さん……)
優雅な仕草で刀を収めながら、光秀さんが歩み寄る。

後ろから、武士たちを従え信長も姿を現した。
信長「無事か、家康」
家康「……はい、一応」

(――なんて様だ。信長様まで、ここに来させるなんて)

光秀「敵は全員縛り上げた。奴らの素性と目的は、城へ戻ってゆっくり聞くとしよう」
家康「……世話をかけて、すみません」
信長「貴様が謝るとは、珍しいこともあるものだな」

(……なんで、笑ってんですか。あんたは、怒れよ)
刀を下ろすと、無力感がつま先から這いのぼった。

全身が痛み、流したくもない嫌な汗が、肌を伝う。

(何、やってんだ、俺は……)

急に氷漬けになったように、身体じゅうが冷え始めた。

(なんで、こんなに、まだ……弱いんだ、俺)


「家康さん、あの――」
家康「……っ」

ふっと力が抜け、膝からがくっと崩れ落ちる。
信長・光秀「……!」
「家康さん……っ」

かなが青ざめた顔で駆け寄って膝をつき、倒れかけた身体を支える。

(かな……)

凍えそうな寒さの中で、かなが触れている箇所だけが温かい。

(やっぱり、夢じゃ、なさそうだな……)

家康「ねえ……、かな……」
「え…」
かなの腕の中で力が抜けていくのを感じながら、せめてもの思いで視線を上げる。
家康「何で……ここに、いるんだよ」

(あんたに、こんな血なまぐさい場所、まるで似合わないのに)

-選択肢-
すみません ◎

「すみません……っ」
家康「…………」

(なんで、謝るの……)

「大して力になれないのは、わかってたんですけど…少しでも何かしたくて、家康さんの、そばにいきたくて……っ」
家康「かな……」
感覚のない手が、引き寄せられるようにかなの頬へと伸びる。

家康「――ほんと、バカだね」
「あ……」

一瞬、温かな頬に触れるけれど……伸ばした手はすぐに、力なく垂れさがった。
(かなが……ケガ、しなくてよかった)

薄れていく意識の中、家康はかなの叫び声だけを、聞いていた――

 

 

――かなが織田軍とともに、意識を失った家康を連れ撤退を始めた頃。
月明かりの届かない森の奥深くに、うごめく人影があった。

顕如「――よくぞ戻った。今川の残党は信長に捕まったようだな」
顕如の部下「……はい」

家康を捕えた一派にまぎれ、途中で戦から離脱してきた顕如の部下は、低い声で答えた。

顕如「信長と家康を恨みながら身を持ち崩した浪人どもに、仕事をくれてやったはみたが…我らとの契約を投げ出し私怨に走ったか。憎しみに目がくらみ暴走し、復讐を遂げもせず捕えられるとは、使えん奴らだったな」
顕如の部下「ひとつだけ、収穫が。信長が連れていた女の名がわかりました。かなと申すもので…信長のみならず、家康や光秀にまでも寵愛を受けているようです」
顕如「ほう…。織田軍の奥深くまで入り込んでいる毒婦、か。小娘に見えたが、末恐ろしいものだな――少し、料理の仕方を変えることとするか」
顕如の部下「と仰いますと…?」
顕如「東方にも、我らの役に立ちそうな者どもが現れたという報が先日届いた」

顔の傷を歪ませ、顕如は暗い笑みを浮かべた。
顕如「あの鬼をいっそう苦しませるため、龍と虎にも、この手の上で踊ってもらおう」


(熱が全然、下がらない……)
家康の額に置いた布を、かなはそっと取り上げた。
冷えた水に布をくぐらせ、固くしぼり、取り替える。
歯がゆさに耐えかねて、かなはきつく唇を噛んだ。

家康の救出劇から丸一日が経ち、また夜が来た。
家康は、安土に戻ってすぐに手当てを受け…自室へ運ばれ寝かされているけれど、いまだ意識が戻らない。
三成が呼びだした医者は、かなり危険な状態だと診断した。
かなは頼み込んで付き添い役につかせてもらったものの、家康の呼吸は安定しないままだ。
信長と光秀、三成は、城で家康の回復の知らせを待っている。
政宗と秀吉にも、伝令が送られ、二人もじっと家康の目覚めを待っていた。
家康の家臣は一堂、眠れずに何度目かの朝を迎えた。

 

「家康さん、皆、心配してます。どうか……目を開けてください」
かなが呼びかけても、荒い呼吸が聞こえるだけで返事はない。

ふと医者の診断を思い返し、かなは布団の端をきつく握った。

ケガの状況から、家康は――あえて殺さずに生かされ、痛みを与えることを目的に、長時間なぶられ続けたのだとわかっている。

「なんで、そんなひどいこと……っ」
苦しげな呟きと同時に、涙がかなの頬を伝い、したたった。
「家康さん……っ」

 

(……あ……れ……)

頬を温かな雫が塗ら志、家康は、ふっと目を覚ました。

家康「ん……」
「家康さん!?」
家康「かな……?」

 

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