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[炭水化物投与量]

(1) 重症患者では、輸液製剤のブドウ糖濃度を制限すれば高血糖の発生頻度を低下させる     

  ことができるかもしれない。

(2) 食事再開後はシリンジポンプによるインスリン持続静注を中止しうる

  少なくとも毎食前の血糖値を三検する

(3) ICU患者一日のエネルギー摂取量は国際基準に従い約25kcal/kg/dayとする。

  しかし、炭水化物投与量の最適値は、疾患の種類、重症度および発症からの

  経過日数によって決定しなければならない。

[血糖値測定]

血糖測定はLaboあるいはABG machineで行う。

動脈>静脈>毛細血管の順で採血部位として適切

[アルゴリズムとプロトコル]

血糖値コントロールは規定のプロトコルに基づいて行うべきである。

インスリン持続静注のために単独ルートを使用する

正式なプロトコルを作成する際は、直近の血糖値によってインスリン投与量を決定

短時間作用性インスリンシリンジポンプによ持続静注て血糖調節を行うことを


推奨し、低血糖が発生した場合の対応モニタリング方法
を提示しなければならない。

その他、炭水化物の術前投与や、コンピュータ補助血糖調節プロトコルなどを盛り込んでも良い。プロトコルの導入に先立ち、スタッフの教育を行い仕事量が増えることについての理解を求める必要がある

【推奨:重症患者および術後患者の血糖コントロール

2010914日、世界中から専門家24フランスに結集し、

周術期患者および重症患者での血糖コントロールについての勧告を発表した

[ICUでの目標BS]

(1) 成人ICU患者では高度高血糖180mg/dl<を避けよ

上限値は現時点では普遍的には規定できない。

(2) 緊急時には厳格血糖コントロールを行うべきではない

(3) ICU患者は、大幅な血糖値の変動を避けよ

(4) ICU血糖値コントロールを行う際には、インスリンの経静脈投与のみとする。

[周術期血糖コントロール]

(1) 術後のインスリン抵抗性を最小限にせよ

低体温および出血を避け、禁忌でなければ手術2時間前までに

炭水化物50-100gを含む飲料を摂取させる。

(2)心臓血管手術後、複雑な手術後肥満患者、緊急手術中

180mg/dl<の高血糖を避け

(3)術中血糖コントロールは、インスリンの持続静注で行い、

30-60分ごとに血糖値を測定せよ


[低血糖]

(1) 重症低血糖は40mg/dl>

低血糖は直ちに検出し、臨床症状なくても直ちに是正が必要だ。

(2) ICU患者で低血糖が疑われる場合、毛細血管で

の血糖測定よりも動脈血静脈血での測定値がより信頼できる。

毛細血管での測定値は血糖値を過大評価してしまうことが多い。

2007RCTでは、CABGを受けた糖尿病患者73と非糖尿病患者371人を対象とし、


術中の血糖コントロールを行って術後の転機を比較した。

IITBS 90110mg/dlCITBS 180mg/dl>


術中という極めて短期間の血糖コントロールでは術後転帰を改善しなかった


結局、心臓手術において周術期に厳密に血糖コントロールをすると

術後の転機が改善するという結果は、retrospectiveでは得られたものの

prospectiveでは確認されていない。
 

2009年にSubramanianらは末梢血管バイパス術患者を対象として


prospective unblended randomized trialを行い、

周術期インスリン持続静注術後合併症および死亡率への影響を検討した。

手術当日の血糖値は、インスリン持続静注群BS 100-150mg/dlの方が

ボーラス群BS 150mg/dl>を目標にボーラスする)よりも低かった。

インスリン持続静注群の方が間欠ボーラス群よりも、


全死亡、MI、急性心不全の発生率が有意に低かった3.5% vs 12.3%(P=0.013)。

2009年にLipshutzGropperは、周術期血糖コントロールの

エビデンスについてのレビューを発表した。

周術期血糖値は150mg/dl>にコントロールすべきであり、ルーチンに厳格血糖

 コントロールを行うことには賛成できない。

Glycemic Control in the ICU and during the Postoperative Period


Anesthesiology 2011Feb; 114: 438-44

【周術期高血糖のメカニズム】

術後高血糖のもっとも大きな誘因は手術侵襲そのものである。

インスリン抵抗性は、手術侵襲の規模や手術時間依存する。

術前および術中の段階ですでにインスリン抵抗性が存在すると、

糖尿病の有無や程度に関わらず、

心臓手術および腹部大手術後の合併症発生リスクが上昇することが知られている。   

腹部大手術を受ける非糖尿病患者では、

術前ブドウ糖投与血糖値が低下しインスリン抵抗性が減弱する。

反対に、術後にブドウ糖を含む輸液製剤を投与すると、

ブドウ糖まない晶質液を投与した場合よりも血糖値が高くなる。

糖尿病患者では、周術期インスリン抵抗性の程度は、

術前血糖コントロールの良否によって決まる。

術中にインスリン抵抗性を減弱させれば、

大手術後の合併症発生率が低下する可能性がある。

従って術前にブドウ糖を補給しておき(可能であれば経口で炭水化物を、

不可能ならブドウ糖輸液製剤のdivを)大手術後1日はブドウ糖の投与を避けることを

提案したい。


 糖尿病患者では、術前にHbA1cの測定を行い、

血糖値コントロールの具合とインスリン抵抗性の評価を行うことを推奨する

低体温、多量出血、長時間の術前絶長期のベッド上安静を避ると、

周術期インスリン抵抗性はいっそう減弱する。

【高血糖を術中からコントロールした方が良いというエビデンスはあるのか】

心臓手術後の血糖値が180mg/dl<であると、

深部胸骨創感染も死亡率も有意に上昇することが分かる。

糖尿病患者300名を対象として2007年に行われた前後比較研究では、

血糖コントロールを術中から術後第3日まで行うと、

生存率が改善するという結果が得られた。

反対に、心臓手術後の血糖コントロールが良くないと

生命予後が悪化することが明らかにされている

脳動脈瘤破裂によるSAHの患者を対象として2009年に実施された前後比較試験では、

血糖値120mg/dl>となるように厳格血糖を管理しても

病院死亡率はコントロール群と同等であった。

厳格血糖コントロールを行った群では低血糖の発生リスクが増した

低血糖は死亡率上昇につながる独立予測因子である。

この研究のような患者群では、予後の改善を目指して厳格血糖コントロール

しても、低血糖という有害事象によって打ち消されてしまう可能性がある

周術期におけるIITRCTは、ICUでのstudyよりもかなり数が少ない。

Areas of Uncertainty

・一定のプロトコールに従ってインスリン療法をしても個人によって効果が大きかったり小さかったりする点。

・低血糖が重症となるほど、発生頻度が高くなるほど死亡率が増加するが、低血糖の発生と死亡率の間にはっきりとした相関は確認されておらず、長期的な神経学的予後についても不透明な点。

・インスリン療法中の栄養が確定していない点。Leuven studyではデキストロース輸液下にIITを実施していたが、最近高カロリーで栄養されている場合にIITを実施すると死亡率が低下するとの報告がなされた。NICE-SUGAR studyでは低血糖の発生率がLeuven studyと比較して多かったが、デキストロースによる輸液栄養コントロールに力が入れられていなかったためだと思われる。ICU重症患者での経腸栄養はアメリカ・カナダのガイドレインで推奨されており、広く受け入れられている。今後もTPNを実施する場合にはIITが有用となるかもしれない。

・目標BSの最適値が明確に規定されていない点。


Conclusion and recommendations

ICUでのIITについて、これまでのRCTの結果には整合性がない。ほとんどのstudyIITが生存率の向上に寄与するという結果が得られず、なかには死亡率を上げるとの報告もある。また目標BS80-110mg/dlに設定すると低血糖が増える。以上より、IITは臨床的にルーチンに行い得ない。ただし著しい高血糖は有害事象を招く確率が高くなる。そこで、理想的な血糖コントロールについてガイドラインが発表されるまで、我々は140-180mg/dlでコントロールすることを推奨したい。栄養コントロールはできれば経腸で徐々に開始し、デキストロースのiv投与も合わせて行うことを考慮したい。


******

最近van den Berghe先生が女性だということを知りました。

アグレッシブ!素敵です!

先月のNEJMにTPNとENについてのstudyを発表されており、

来週、研修医のmy先生が読んでくれる予定です。

楽しみ~。



Strategies and Evidence

[高血糖とは?]

今までは高血糖の定義は「随時血糖200mg/dl以上」だったが、2010ADA(アメリカ糖尿病学会)は「140mg/dl以上が望ましい」と発表した。糖尿病があるかどうか不明の患者についてはHbA1cを測定し、6.5%<は以前より糖尿病ありと判断するべきだとした。

[血糖はどの程度にコントロールすればよいか?IITの研究をもとに]

2001年より以前には、厳密なBSコントロールが疾患や死亡のリスクに影響するかどうかのエビデンスがほとんどなく、ICUでの血糖コントロールにはほとんど注意が払われていなかった。

2001van den Berghe先生が重症術後患者(主に心外術後)1548人を対象に、インスリン強化療法をするとICU死亡率と合併症発生率が減少するという単施設大規模RCTを発表(通称Leuven study)。IITintensive insulin treatment765BS80-110mg/dlでコントロール、とCITconventional insulin treatment783BS180-200mg/dlでコントロールの比較。ICU死亡率は4.6%と8%、病院内死亡を7.2%と10.9%(P=0.01)全身感染、急性腎不全、輸血および多発神経炎の発生率、人工呼吸期間、ICU滞在期間改善には寄与した。ただし重症低血糖(BS 40mg/dl>)がIIT群で5%発生した。加えてstudyblindではないこと、CITの死亡率が他の心臓血管手術のstudyと比較して高いことが問題点だった。

van den Berghe先生3日以上滞在すると思われる内科ICU入室患者1200人を対象に、同様の単施設大規模RCTを発表した。IIT595CIT605とで、病院内死亡に差なしHR 0.94(CI 0.84-1.06)P=0.33との結果だった。人工呼吸期間HD導入率、ICU滞在日数、在院日数の改善には寄与した。ただしIIT群では18.7%が重症低血糖となった。

実はsurgical ICUstudyCITの死亡率が予想外に高く、medical ICUstudyでは予想外に低かった。またmedical ICUstudyでは3日以上ICUに滞在する患者ではIITで死亡率が低下、BSIが低下するとの分析結果が得られたが、3日以上滞在するかどうかは当初から予測困難のため、どの患者にIITを施行すべきかという指標はなかった。

2008年から2009年にかけて発表されたGlucontrol study をはじめとする2つの多施設RCT2つの単施設RCTを総括すると(260041施設)ICU死亡率は2群で変わらず、低血糖の率8-28%IIT群でい結果となった。

2009年のNICE SUGAR studysurgical medicalを問わないICU患者6104人を対象とした42施設でのRCTIITBS81-108mg/dlCITBS144-180mg/dlでコントロールした。90日以内の病院内死亡IIT vs CIT27.5% vs 24.9% OR 1.14(1.02-1.28)p=0.02IIT群で多い結果にIITでは低血糖も多かった6.8% vs 0.5%(P<0.001)ICU滞在日数、病院滞在日数、人工呼吸期間、HDの割合に差はなし。ただし、CIT群での死亡率はAPACHE2スコアでの予測よりも低かった。

以上の結果を受けて2009年になされたmeta-analysisではIITsurgical ICUの患者の死亡率を下げるという評価(0.63=0.44-0.91)、2010年になされたmeta-analysisではIITはむしろ死亡率をあげるとの評価だった。

結局、IITCITと比べて生存率向上に寄与しないし、死亡率を増すかもしれないし、低血糖が発生しやすい。

Glycemic Control in the ICU 
(NEJM 2010 Dec; 363: 2540-6)


42歳の男性が市中肺炎を発症し喘息が急性増悪してICUに入室してきた。

セフォタキシムとアジスロマイシン内服、アルブテロール吸入、ヒドロコルチゾン静脈内投与をされている。糖尿病の既往があるかどうかは分からない。

入室直後、血糖値は105mg/dlであったが、翌日は195mg/dlに上昇していた。HbA1c5.3%さてこの血糖値、治療すべきなのか


The Clinical Problem

いわゆるストレス性の高血糖とは、糖尿病の既往がない患者で急性疾患に伴ってあるいは術後に、一過性に血糖が上昇することである。重症患者の血糖値が上昇する機序としては、コルチゾールやエピネフリンといったホルモンの放出、グルココルチコイドやカテコラミンの使用、敗血症や外科的創傷下でのメディエーターの放出がある。いずれもインスリンの分泌と作用を抑制し、糖新生を促し、糖代謝を阻み、インスリンを介した糖の組織取り込みを阻害する。経静脈栄養や抗生剤の溶剤として一般的に使用されるデキストロースの静脈投与もまた高血糖を招く。

糖尿病の既往があるICU患者が高血糖となった場合に死亡率が増加するとは一概には言えないが、一方で、ICU入室の時点で糖尿病を合併していない患者、特にAMIstroke、脳出血の患者では高血糖は死亡率および重症合併症と最も強く相関する。重症な患者ほど高血糖に陥りやすい。高血糖は疾患の治癒過程の妨げとなる。重症患者の大規模retrospective cohort血糖値144mg/dl>では経過が良好であるという結果が得られている。血糖値79-200mg/dlでは高血糖にさらされた時間と生存率が反比例するというobservational studyもある。



抄読会も毎週していたものの、更新をすっかりさぼってしまっていました。


その間に前期研修医も3人来て、

去年から1年間ぶっ通しで毎日前期研修医の面倒をみていることになりました。

かなり今フラストレーションがたまっています。


近々とある試験を控えているため、

試験勉強に気を取られて自分が向上する勉強をすることができていません。

先週は久しぶりに論文を読み漁り、知識のup dateを図ることができました。


ぼちぼちアップしたいと思います。

2011年4月医1日に発表された、

血管カテーテル関連感染予防のためのガイドライン2011

の気になる部分を読みました。

CDC: Guidelines for the Prevention of

Intravascular Catheter-Related Infections, 2011



http://www.cdc.gov/hicpac/pdf/guidelines/bsi-guidelines-2011.pdf


特にCVCについて抜粋

穿刺部位

・成人では大腿静脈穿刺は避けよ(Avoid

・内頚静脈、大腿静脈よりも鎖骨下静脈を選べ(Use

ただし皮下トンネルを作る場合には穿刺部位にはこだわらない

 *3部位を比較した満足なstudyはないが、内頸静脈よりも鎖骨下静脈で  

  colonizationCRBSIが少ない。

  大腿静脈よりも鎖骨下静脈のほうが静脈血栓と感染が少ない。

・エコーを用いてCVC留置を実施せよ(穿刺回数が減らせるので)

・できるだけ少ないlumenを選べ

・不要となったら抜去すべし(定期的な交換は不要)


MSBP

帽子、マスク、ガウン、手袋、全身覆布


●消毒

・クロルヘキシジン濃度が0.5%を超えるアルコール製剤を使用すること(Prepare

ただしクロルヘキシジンが禁忌の場合にはヨードチンキまたはポビドンヨード、

70%アルコールに変更することができる

 2002年ガイドラインでは消毒に2%クロルヘキシジン製剤の使用を推奨した上で、

 ヨードチンキ、ポビドンヨード、70%アルコールを用いることができると勧告。

 2011年のガイドラインではCVCでは0.5%を超える濃度の

 クロルヘキシジンアルコールのみを推奨。

    *クロルヘキシジン含有製剤、ポビドンヨード、アルコールを比較した

     2つのよくデザインされた研

     クロルヘキシジン製剤ではカテーテルへのcolonization

      CRBSIの割合が低かった。

   *0.5%クロルヘキシジンアルコールが10%ポビドンヨードと比較して     

    colonizationCRBSIに差が見られなかった。

   *2%クロルヘキシジン水溶液が10%ポビドンヨードまたは70%アルコール

    よりもカテーテル血流感染が減少する。

   *4143例のメタアナリシスにおいて、クロルヘキシジン製剤は

    ポビドンヨードに対して49%までカテーテル関連感染のリスクを減少する。


******

ヘキザックアルコール、マスキンW/Rといった

クロルヘキシジンアルコール製剤で是非とも消毒したいところなのですが

部長が「生食と間違えたら大変なことになる」と

ルーチンの使用を許可してくれません。

CVC留置にイソジンを使用していない皆さん、

消毒薬と生食とを間違えないようにするために、

どのような対策をとられているのでしょうか?

tm先生の12週間に及ぶ前期研修が終了した。

正直、もうこれ以上前期研修医の教育はしたくない。


麻酔科を専攻しないため、麻酔に真剣にならない前期研修医。

挿管はじめ手技だけちょこちょことさせて欲しい前期研修医。

教えてもらうのを待っているだけの前期研修医。


これが当病院の前期研修医の共通要素だ。

その態度が見え見えの研修医と、うまく隠している研修医の差はあれど

皆一様に医業を、プロとして賃金をもらうということを、軽んじている。

上級医からの評価は馬耳東風、上級医のことはなめきっている。


たとえ評価が悪くともどうせ3年目からほかの病院で新規まき直し、

どうせ出来が悪いんだからどんな風に言われても構わない、

とこちらの言うことは響かない。


当院はあまり救急症例の多くない、内科中心の地方の市中病院だ。

「そこそこ、ほどほど、うまいこと、おいしいとこどりで」という考えのぬるい

前期研修医が応募してくるのも無理からぬこと。


しかし私はそんな医者は嫌いだ。

プロ意識のない労働者とは関わりあいたくない。


従って、明日からまた新しい前期研修医が来るが相手にしたくない。

本当に、精神的にも肉体的にも(一生懸命しゃべりましたので)披露する12週間だった。

得たものは…「怠け者につける薬なし」と分かったことかな。