私がパーソナリティを務めさせていただいている
エフエムあまがさきの番組
「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。
昭和の歌をお送りする番組です。

今この歳になって聞くと面白い「昭和の歌詞」を
番組内で深堀りするコーナー。


昨日は、古時計の『ロードショー』をご紹介しました。
今回は歌詞を深掘りすることよりも、
昭和にはこんな名曲がありましたねと、
曲自体を掘り起こすことが目的でした。
懐メロ番組でも滅多に取り上げられないのですが、
とても綺麗な良い曲なんです。
私自身、発売当時はとても気に入っていたのに、
すっかり忘れてしまっていました。


『ロードショー』は1976年3月25日にリリースされました。
男性デュオ古時計のデビュー曲で、売り上げは60万枚。
大ヒットと言って良いでしょう。
元々は「影法師」という名前で活動していたそうなのですが、
名前を改め、古時計としてのデビュー曲がこれだったわけです。
お二人はまだ大学生だったそうですよ。

作詞は伊丹恵さん。
他にどんな曲を作詞されたのか、
検索してみたのですが、見つけられませんでした。
作曲はなんと山本達彦さん。
以前、『サンライズ・ハイウェイ』を深掘りさせてもらったことがあります。
この曲が山本達彦さんの作曲だったとは。
そう知って聞くと、サビの部分などは
山本さんの声で歌っても似合いそうです。

歌詞を見ていきましょう。

ロードショー  (作詞:伊丹恵 作曲:山本達彦 編曲:青木望)

映画館のロビーで
あなたの笑顔みてしまいました
わたしにではなく
誰か知らないひとにそそぐ微笑みを
パンフレット持つ手が
ふるえるわたしの眼のまえ通って
ふたりは腕くみ
赤い扉の中へ消えてゆきました

ベルが鳴っています
わたしの愛をおびやかすように
灯り消えました
泣いてもいいと教えるように
忙しくて逢えない
あなたは電話でそう言ってました
わたしにごめんと
すぐにあやまったのはこんな理由(わけ)ですか


歌詞カードから引用していて気がつくのは、
ひらがなが多いこと。
何か意味があるのでしょうか。

内容自体はとてもわかりやすいですね。
電話で話していて、彼女が
「次の休みの日に会わない?」と言った時には
「忙しくて逢えない」と言った彼。
その言葉を疑うこともなく、
彼女は一人で映画を見に行ったのですね。

映画館は今のようなシネコンプレックス形式ではありません。
一つの映画館に一つ、多くても二つか三つしか上映室がない時代。
座席も指定席ではなく自由席でしたし、
入れ替え制でもありませんでした。
映画上映が始まった後も、途中から入場できました。
そして次の上映回で最初から見て、
「ああ、ここから先はさっき見たわ」
と思ったら出てくる、なんて
今思えばめちゃくちゃな観賞をする人も珍しくありませんでした。
かと思えば、朝からずっと居座って、
同じ映画を4回5回と見る人も。
人気映画の場合は、立ち見もありましたっけ。

私は『ひめゆりの塔』、『ドラキュラ都へ行く』を立ち見で見た記憶があります。
『ドラキュラ……』は はっきり言ってB級映画でしたが、
ジョージ・ハミルトンが好みだったんだと思います。

脱線しちゃいましたが、そういう時代の映画館のロビーです。
彼が笑いながら別の女性を見つめているところに遭遇してしまうわけです。
なんというタイミング。

彼女の目にはいっぱい涙が溜まっているのだけど、
人前でおいおい泣いたりできない。
そもそも彼に気がつかれてはいけない、と彼女は思っているのでしょう。

彼とは離れた席にひとり座り、
暗くなってから涙をこぼす。
電話で逢えない理由を言った後、
すぐにごめんと謝った彼の言葉を思い出しながら。

ああ、悲しい。
これから始まる映画は、もしかしたら
彼と一緒に見に行く約束をしていたものかもしれません。
上映期間がもうすぐ終わるし、
仕方なく自分一人で見に来て、
こんな場面に遭遇したのだとしたら?

私なら……
涙よりアドレナリンが出まくりますけどね。
パンフレット持つ手は震えるでしょうけど、
それは怒りによるワナワナ💢
彼女とはニュアンスが全く違う手の震えです。
ひとしきりワナワナした後は、
彼に気付かれないよう、
そっと二人の真後ろの席に座り、
場内が暗くなるやいなや、
丸めたパンフレットで彼の頭をパコーンと音を立てて叩き、
すぐ退場してやるわ。
フン!!
「地獄に落ちるが良い!!」

あ、すみません、歌の世界から逸脱してしまいました。
続いて二番の歌詞。


冬の海をみせたい
わたしの心にとどいた 絵葉書
あなたのあとから
ついてゆこうと決めて二年過ぎました

幕が閉まります
あなたの愛も終わりでしょうか
灯ともります
わたしひとりをうつしだすように
映画館の外には
いつものざわめき見慣れた街角
あなたとわたしに
つづく物語だけ今は大事です


彼女が彼を意識し始めたのは二年前。
日本海にひとり旅している彼から
「君に冬の海を見せたい」
なんて絵葉書が届いたのです。
(彼の行き先は私の妄想です)
これが南国のバカンスに誘うハガキではなく、
寒くて暗い海へのお誘いであることに、
心動かされたのですね。
彼女はチャラチャラしたところのない、
おそらく文学少女なのではないでしょうか。
愛読書は太宰治。
『津軽』なんかを携えていたら完璧です。



この人の後からついて行こう、と決めて、
二年も付き合っていたのなら、
そろそろ結婚なんかも意識していたかもしれませんね。
それなのに、別の彼女とデートしているなんて!!

映画が終わって、彼は知らない女性と
楽しそうに映画館を後にする。
きっと食事にでも行くんでしょう。
だけど彼女はひとり、その場に立ち尽くしております。

映画館の外、
街の表情は普段と全く同じ。
さて、それにつづく最後の歌詞
あなたとわたしに
つづく物語だけ今は大事です


に、彼女の強さを感じます。
映画館にいる間は、
泣いていたのかもしれないし、
あなたの愛も終わりなのかしら、
なんて呟いていたのに、
二人の物語は続くのだと、
それだけが大事なのだと言っております。
「簡単に終わらせてなるものか!」という
静かな決意を感じませんか?
女性って怖い。
頑張れ!!私はあなたの味方よ!

この歌は「ロードショー」というタイトルで、
歌の中に映画が出てくるわけですが、
歌を聞く人の脳裏には、
映画を見に行った三角関係の恋人たちの姿が、
まるで映画のシーンのように見えてくるわけで、
面白い入れ子構造になっていると思います。

そして、最後の歌詞は
「To Be Continued」。
彼女は反撃の狼煙をあげるのか?!
それとも新しい恋敵に結局は負けてしまうのか。
そんな続きも考えつつ、
歌を聞きましょう。

YouTubeからお借りします。
アップ主様、ありがとうございます。






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