PIXIVにのせてある文章をこっちにも。

ラーメンが来たときってこんなんだったのかな、と。

 

ヴァナの世界に、ラーメンがやってきた。そこからすこーしたった話。

1 ペットが何でかわからないけど、街中でもしまえなくなっています
2 そんなわけで街中でペットがフツーに歩いています。

そんな「皆さんの知ってるヴァナとは少しだけ違うヴァナ」のお話です。

 

 

 

 

ひんがしのくにから、ちょっと前にいろいろな調味料がやってきた。

豆・小麦・塩から作った味噌とか、しょうゆとか言われているしょっぱい調味料。当然冒険者の胃袋にもそれはいきわたるもので。

とくに、「ラーメン」という熱いスープに麺を入れた料理の作り方が調理ギルドから公開されたときの職人たちの熱狂ぶりと来たらものすごいものだった。


「タケノコはどうやって具にするんだ!?何!?発酵…???」


「ポークシーの肉、とれたので!これで作ってください!ラーメン食べたい!!」
「いよっしゃぁ!まかせろ!」

「スープの作り方の方が、ラーメンの作り方より難しいぞ!」

「味噌に…バターとコーン??ララブのしっぽまでいるのか?」

これらは、町中で記者たちがとらえた、調理職人たちのつぶやきのほんの一部である。


このラーメン、レシピは全く同じはずなのに、作る職人によって、味に変化が出るらしく、味の研究に余念のない職人たちによる「ラーメン同好会」とかいうものが出来上がっているとかいないとか。

そんな、ちょっと不思議な食べ物のお話。

サンドリアの住宅街。

冒険者の仮住まいの集まる地域に、調理職人たちが自分たちの腕前を披露すべく、自宅を飲食店としてイベント感覚で開放するようになったのはごく最近のことである。

サンドリアで話題になっているのは「味噌ラーメン」。

味噌と濃厚な動物系の骨からとったスープを混ぜあわせ、具としてバターで炒めたミリオンコーンとララぶのしっぽが乗っているのが特徴である。
もともと乳製品や豆類の生産が盛んな地方であること、冬になると厳しい冷え込みが襲う地方であることもあって、心から体を温めるこの味噌ラーメンは、冒険者、そしてサンドリアの兵士たちのひそかな楽しみになりつつある。

なかでも「タイショー」とあだ名されているガルカの調理職人の作る味噌ラーメンは冒険者たちにはすこぶる評判なのだとか。腹を素早く満たし、かつ味もいい彼のラーメンの存在は熱狂的なファンすらつきつつある。

そんな男性ファンの多い彼の自宅、もといイベント会場に、珍しい声が響いた。


「タイショー、席あるー?一人とー…」
あまりに無骨な内装の店の雰囲気に似つかわしくない、女性の声にどよめきが沸く。

だが、そのどよめきは次の声によって、安堵に変わった。このエルヴァーンの女性は、このラーメン屋、もといラーメン試食イベントの常連なのだ。

「一匹。」
と同時にひょっこりと彼女の背後から顔を出す青い子供のドラゴン。
そう。彼女は飛竜とともに戦う竜騎士であり・・・・サンドリアではそこそこ知られた、家具を作る木工職人なのである。
「カウンターがあいてるぜー。座れや。ママさん。ちびすけもこいこい。」

ママさん!?と周りの客が彼女の方を向く。この美人は既婚者なのか!?という絶望と驚きと好奇心に満ちた酔いの回った冒険者たちの目線が集まる。

席に着いた、彼女が開口一番にぼやく。

「タイショー。まだ、その名前で呼ぶの?」
「いいじゃねぇか。ミカンのママ、だから、ママさんで、よ。なぁ、ちびすけ。」
ちびすけ、といわれた飛竜も首を上下に振ってうなずく。

「うぅ・・・独身なのよぉ…・アタシィ・・・」
自分が作ったカウンター代わりのロココテーブルに突っ伏すエルヴァーンの美人の崩れ落ちる姿に安どのため息を漏らすあまたの声は彼女の耳には届いていない。



「で?いつもの量かい?」
「ウン・・・大盛りの、肉2倍で、あと、とりわけのお椀つけてー。」

もちろん、この飛竜の分も含めての注文である。そしてそのサービス料は、いつもきまっている。

「その前に、ちょっとちびすけ借りるぞー。」
「はーい。ミカン―いってこーい。」
はぁい、と言わんばかりに店主の方に飛んでいく。これだけで、周りの客には、あの飛竜がここまで!?と驚かれることもしばしば。竜騎士の飛竜の中には、気位が高いものも多いのだ。

そして、小さめのお椀に手慣れた手つきでワインを注ぎ・・・飛竜の口元に近づける。
ワインを口に含んだ後の飛竜に向かって差し出されたのは、「ちゃーしゅー」といわれるポークシーの肉を調味液につけ、煮込んだものである。

まもなく、飛竜の口から数々の魔物たちへ向けて吐かれる「ブレス」とまではいかないが、厨房が真っ赤に輝くくらいの炎が放たれた。
この試食イベントに慣れていない冒険者のめがまるで絵に描いたようにまん丸に見開かれる。

たちまちあたりが香ばしい香りに満ちていく。この店主が考えた「あぶりちゃーしゅー」と飛竜の火力に耐えうる強度を持つ「ママさんお手製家具」により、作られる味噌ラーメンの人気の…理由のひとかけらくらいになっているらしい。


肉が焦げすぎないように見計らって、タイミングよく、用意していたスノールジェラートを飛竜の口に放り込む。
この飛竜のひそかな楽しみが、この消火目的で食べさせられる、スノールジェラートである。

戻った飛竜と一緒に、竜騎士の彼女は味噌ラーメンに舌鼓を打つ。
飛竜は彼女と一緒に、ちゃーしゅーに舌鼓をうつ。



そんな感じで観客の驚きと麺をすする音と、談笑でにぎわう、ラーメンの夜は、今日も更け行く。

 

 

こんなんだったらいいよね、と。