飯塚病院血液内科のブログ

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こんにちは。卒業生Tです。

 

みなさん、「この数字になったら輸血しなければ!」と意識するヘモグロビンの数っていくつですか?

 

私は研修医のとき、「この数字だからやばい!」てのがあんまりピンときてませんでした。

 

血液内科を専攻するようになり、「Hb 7g/dL」をキープするようにしとこー、という目安ができました。

 

ただ、このHb 7g/dLというのは、あくまで血液疾患の場合なんですよね。

 

急激な出血のときなどは、「普段目安にしている7g/dLじゃだめなんだろうな・・・」となんとなく空気を読んで輸血をオーダーしてたりします。

 

しかし、こういう「急激な出血」、特に当直で出会うことが多い消化管出血のときってHbの目安はどのくらいのもんなんでしょうか。

 

2016年6月改正の、厚生労働省「血液製剤の使用指針」を見ると、Hb6-10g/dLのときは、患者さんの様子見ながらやってください(ただし10g/dL以上で輸血はやめてね。6g/dL以下だったらやっといた方が良いんじゃない?)。ということになっています。

 

じゃあ論文はどうなの?というわけで今年出た論文を一つ。

 

Restrictive versus liberal blood transfusion for gastrointestinal bleeding: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials.

Ayodele Odutayo et al. Lancet gastroenterol hepatol. 2017; 2: 354-60.

 

上部消化管出血に対して気前よく輸血した場合と、制限かけて輸血した場合のどっちが予後良いののか?というランダマイズ試験をあつめたメタアナリシスです。

 

5つの試験を解析していて、だいたい輸血の目安としては

気前良い輸血:Hb9-10g/dLか、制限なし

制限あり輸血:Hb8g/dL(ひとつだけ7g/dL)

でした。

 

で、結論としては制限あり輸血の方がすべての原因において死亡率が低く(相対リスク0.65)、再出血も少なかったですよー(相対リスク0.58)。とのことでした。輸血を制限することで起こる腎不全などの虚血性のイベントが、制限あり群で増えることもなかったそうです(注)。

 

それでは、なぜ制限あり輸血群のほうが死亡率が少なかったのでしょうか?はっきりしたことはわかりませんが、仮説としては

・輸血が多いと免疫調整がかかり、感染症が増える。

・輸血が多いと心臓に負荷がかかる。

・輸血が多いと再出血が増える。

というのがあるんじゃないかと筆者らは言ってました。

 

免疫調整うんぬんに関しては「どうかな?」と思わんでもないですけど(どっちかっていうと、再出血や心不全が少ないというのが大事な気がする)、とりあえず上部消化管出血には8g/dLという数字を意識しようと思った論文でした。

 

 

注)虚血性心疾患を元から持つ患者さんに関しては、この論文ではあまり差はなかったのですが、「もともと虚血性心疾患のある人への制限ありの輸血では、虚血イベントの発生率が多かった」という他の論文が出てるので、もともと虚血性心疾患の人に、この論文が適応できるかわからないと筆者らは言っていました。悩むー。

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