マナーの悪さが数字で浮き彫りに | 飯島 愛ちんのガッタス・オスピタル

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大阪の自転車「危険行為」摘発は全国1位 「さすべえ」で歩行者と接触、信号無視…


自転車危険行為の摘発件数 自転車危険行為の摘発件数

 悪質な自転車運転者に対し安全講習を義務づける改正道交法が今年6月に施行されて以降、講習の対象となる「危険行為」の摘発数は9月末現在、都道府県別で大阪が1171件と全国最多であることが、大阪府警への取材で分かった。全国の摘発総数(3894件)の3割を占めた。

産経WEST より)

 2位以下は東京1029件▽兵庫364件▽神奈川310件▽京都233件。東京とは僅差だが、人口は大阪(約860万人)が東京(約1330万人)の3分の2で、大阪の自転車マナーの悪さが浮かび上がった形だ。ただ、府警自転車対策室は「事故抑止のため積極的に街頭で取り締まりを行い、摘発件数が多くなった」と分析している。

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 改正道交法では、自転車による信号無視やブレーキ不良など14類型の危険行為を規定。危険行為を2回以上繰り返すなどした場合、公安委員会から安全講習を受講するよう命令される。大阪では9月15日に男性会社員(29)が全国で初めて受講。さらに男性2人が講習対象となっている。他の都道府県では9月末現在、講習対象者はいない。

 府警によると、府内の摘発の内訳は、信号無視が最多で745件。遮断棒が下りた踏切への立ち入り180件、ブレーキ不良62件などが続いた。大阪では“おばちゃん御用達”とされる傘スタンド「さすべえ」を使って走行中、歩行者と接触し負傷させ摘発されたケースもあったという。

「時間短縮」か「罰金・免停」か 改善の鍵は“損得勘定”?

 「自転車マナーが悪い大阪」との評判をどうすれば払拭できるのか。専門家からは、「危険行為」の摘発に罰則が伴うことを大阪人特有の「損得勘定」に訴えれば、事故抑止やマナー改善につながるのではと指摘する声も上がる。

■“事故寸前”は日常茶飯事

 10月初めの午前8時ごろ、大阪市内のある交差点で自転車のブレーキ音が鳴り響いた。直進する自転車と、脇道から出てきた自転車が出合い頭にぶつかりそうになったのだ。双方とも急ブレーキとともにハンドルを切り、事故は免れた。

 通勤・通学の自転車が歩道、車道に関係なく平然と行き交う大阪。事故寸前になったひとコマは、もはや日常の風景といえる。

 マナーの悪さが影響しているかは定かでないが、大阪府内の自転車事故は他の都道府県と比べても多い。今年は9月末現在、府内で8962件、死者は42人。9月末時点の全国データはまだ集計中だが、8月末時点では事故数、死者数ともに全国ワーストだった。

■コペンハーゲンに次ぎ世界2位の利用率

通勤や日常の買い物など、大阪では自転車は欠かせない交通手段だ =大阪市内 通勤や日常の買い物など、大阪では自転車は欠かせない交通手段だ =大阪市内

 そもそも大阪は自転車を利用する市民が多い。平成22年の国勢調査によると、大阪市で通勤・通学に自転車を使う市民の割合は27・8%。4人に1人以上が、電車やマイカーでなく自転車を使うとの結果だった。この数字は福岡市(17・8%)や名古屋市(16・6%)、東京23区(14・2%)など、全国の主要都市の中でも群を抜いている。

 府警の担当者は「住居と勤務地が近い上、大阪市内は道も平坦(へいたん)。マイカーだと渋滞も多く、自転車が好まれるのでは」と分析する。

 大阪の利用率は環境面から自転車利用を推進する海外の都市とも肩を並べる。世界の主要都市で実施した同様の調査と比較すると、大阪は1位のデンマーク・コペンハーゲン(30・1%)に次ぐ2位に該当する。同様に先進的なオランダ・ロッテルダム(20・5%)やイタリア・ローマ(20・2%)を上回った。

■大阪人には「罰則」こそ効果的

 自転車利用者が多いとはいえ、事故の多発やマナーの悪さが許されるわけではない。この状況をいかに改善するか。大阪国際大の山口直範准教授(交通心理学)は「大阪人の損得勘定に訴えるのが効果的」と、自転車摘発のさらなる強化の必要性を指摘する。

 山口氏によると、車のドライバーの場合、スピード違反や信号無視など交通違反によって得られる時間短縮などの利益と、罰則(=損失)とを無意識にてんびんにかけるという。実際、罰金や免停がある車の交通違反は大阪が特段多いわけではない。26年中の道交法違反の摘発総数は東京が約96万件だったのに対し、大阪は約58万件だった。

 山口氏は「シートベルトの着用も罰則が強化され、今では習慣化された。自転車についても、警察が取り締まりを続けるとともに、罰則を周知することで、違反や事故の減少につながるはずだ」と話している。

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