トヨタはエンジン開発継続もホンダは完了宣言

1.各国で自動車の排ガス規制が厳しさを増しており、自動車メーカーは対応に追われている。エンジンは今後も存続できるのか。自動車メーカーによってエンジン戦略に違いが見えてきた。自動車メーカーがエンジン開発の転換点として、特に重要視している排ガス規制は、2つある。欧州委員会(EC)の新環境規制「Euro 7(ユーロ7)」と、米国環境保護庁(EPA)の新規制案だ。いずれも2020年代後半から発効する見通しだ。

 

2.ユーロ7は、現行規制の「Euro 6d(ユーロ6d)」と比べ排ガス規制成分や数値に大きな違いはないが、試験条件の難易度が上がる。従来は、室内において路上走行を再現するシャシー・ダイナモ・メーター上で測定するのが一般的だったが、ユーロ7からは路上走行にて排ガスを測定するRDE(Real Driving Emissions)試験を全面的に導入する。実際の走行条件に近いRDE試験は、室内で測定する従来の試験よりも、温度や路面状況の幅が拡大し、「既存のエンジン車にとって認証を得るのが非常に難しくなる」(日系自動車メーカーのエンジン技術者)と言う。

 

3.一方EPAは、2024年3月に新排ガス規制(Tier 4)の最終案を公表した。2027年から2032年にかけて段階的に規制を厳しくしていく方針だ。乗用車と小型商用車においては、2032年に現行規制から約56%の二酸化炭素(CO2)の排出量削減を求める。トヨタ自動車副社長兼最高技術責任者(CTO)の中嶋裕樹氏はこれらの新排ガス規制について、「非常に厳しい。一口で言えば、エンジンの息の根を止めようとする規制だ。(エンジンをやめて)早く電気自動車(EV)に移行させようとする意図があると我々は受け止めている」と話す。

エンジン車にとって特に厳しいのが、冷間時(外気温と同じ程度に冷えた状態にあるとき)にエンジンをかけた際の排ガス低減である。冷間始動時は排ガス後処理装置(触媒)の温度は十分に上がっていないため、排ガスの浄化能力が低くなる。そのため、排ガスを低減するには「触媒を高級な材料を使ったものにしないといけない」と中嶋氏は語る。触媒には白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの貴金属を使用しており、中嶋氏は「10万円単位で(触媒のコストが)上がってしまう」と言う。

 

4.そこで各社は、電動車専用エンジンを開発中だ。電動車であれば始動時はエンジンをかけずに、モーターを使う。速度が十分に上がってからエンジンをかければ、効率の良いときだけエンジンを使える。冷間始動時の排ガスを低減でき、将来の排ガス規制への対応が容易になる。エンジン開発で重視するのは効率か象徴か。

エンジン開発の方針は現在、2極化している。(1)性能やコストを重視して、効率を磨く(2)効率はある程度犠牲にしてでも、メーカーの象徴的なエンジンを残して差異化する──の2つである。

このうち、(1)の効率を重視しているのが、トヨタやホンダ、日産自動車だ。一方、マツダやSUBARU(スバル)は(2)の象徴的なエンジンに力を入れている。トヨタから順に見ていこう。

トヨタは、「マルチパスウェイ」(全方位)のパワートレーン戦略を掲げる。国や地域ごとにエネルギー事情が異なり、個々に適したパワートレーンが必要になるという考えの下、現時点でパワートレーンの種類を絞らずに幅広く用意する方針だ。

5.以下、

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09334/...

写真の説明はありません。

いいね!

コメントする

送信