こんにちは。

 

延び延びになっていたアニメウマ娘感想編もいよいよ完結です。

 

ここまで遅くなってしまったのは、正月ボケや物種が過ぎるのもありますが、正直書く内容を迷っていたからなのです。

 

とりあえずスタート。

 

  Aパート

引退レースの有馬記念にむけ気勢を上げるキタサン。息切れによる衰えの描写がありつつも、タイム自体は落ちていません。

 

大魔神三姉妹のセットは今期ですっかり好きになってしまいました。ヴィブロス実装おめでとうございます。

 

なにかしてあげたすぎるスピカの先輩方。なにかを頼むキタサン。

 

町の人の声は非常にリアルな空気感があります。グランプリレースに勝っていないこと、大団円への期待、秋のレースのパフォーマンスの好評価。ピークアウトということを誰ひとり言っていないことこそ、やはり今回のピークアウトにかんする描写は陣営とファンとの認識のズレを表しているのでしょう。

 

テイオーとの会話を挟みつつ、やはり2期との違いが際立ちます。有馬に臨むときの感情が全く違う。

 

そして有馬記念。最後にライブをしなければならないので尺は巻き気味。ジャンポケ斎藤さんが出演しましたね。

 

スピカが仕上げた引退レース用の勝負服。主人公には赤が似合う。第1期主人公が盛大なボケをかましていましたが。すっかりそういうポジションが板についてしまいました。

 

ロイスアンドロイスがめっちゃ喋る後ろにマヤノトップガン、マンハッタンカフェ、ネオユニヴァースの姿が。

 

ドゥラもダイヤも不在。個人的にはリアルスティールとかもいないのが残念。創作だったら最終決戦はめちゃくちゃメンバーをこれまでにないくらい豪華にして盛り上げるものなんでしょうが、史実準拠じゃそうもいかない。いや、十分豪華なんですけどね。

 

  Bパート

 

カノンミルフィーユ(カレンミロティック)かわいい。思い入れある馬なんで。

 

「ですか!?」と天丼を崩すスぺ。いやもう、なんかスぺのことをそういうキャラだとしか見られなくなっている。遠い1期の記憶……

 

クラウンのセリフが良かったです。「あなたがターフからいなくなっても、私のレースは続くんだ!」全く持ってその通り。

 

4コーナーでシャケトラがまくり切ろうとしてスピードを上げているところが映って、少し彼のこれからの馬生に思いをはせてしまいました。

 

最後の直線は2期と少し被るところもありつつ。キタサンにファンが思いを乗せるところこそ、まさにキタサンブラックという馬の真骨頂。「これがスターの引き際だ!」と少し改変した実況に贈られ、1着ゴールイン。

 

「そうでしょうか。ここで去るのが儚くも美しく私には見えます」というドゥラメンテのセリフ。お前が言うか。いや、本当に、あなたが言うんですか……私は常々ドゥラメンテのことを「競馬の悲しさを教えてくれた馬」と形容するのですが、まさにそういうことに思いが至ってしまう。

 

ライブには何とイッツコーリング(クイーンズリング)が登場。なんでもなにも、2着なんだから当たり前なんですけど、メインキャラみたいにカット割りがされていてびっくりしました。彼女も社台系だから取ろうと思えば許可取れただろうに。シュヴァルが照れて帽子を触るところが非常に良かったです。

 

キタサン、ダイヤ、クラウン、シュヴァル、ドゥラでエンディング。桜で終わるのは新時代の芽吹きを、継承されていく時代を表しているのでしょう。

 

キタサンブラックの引退後、ダイヤにクラウン、シュヴァルはGⅠタイトルを上積みすることはできませんでした。次の年の古馬王道路線はスワ―ヴリチャードの覚醒とミルコの神騎乗、レインボーラインの完全燃焼、和田竜二の悲願叶えるミッキーロケットの激走、レイデオロの復権、そしてアーモンドアイを頂点に据えた牝馬第三王朝の到来と流れていきます。激動に飲み込まれたキタサンのライバルたちを思うと、現実というのは本当に厳しいものだと思わずにはいられません。

 

うまぴょい。

 

  総評に向けての注意

さて、どうしよう。

 

というのも、作品自体に満足感はあれど、それと同時に少なくない不満があるのです。ただ、こうしたブログでネチネチとそうしたことを書き連ねるのも良くないかもしれない。私は別に映像作品の批評家ではないですし、そもそも大勢の人が作り上げた熱量溢れる作品を貶すのも気が引けます。

 

どこまでが批評で、どこまでが感想なのか。そうしたことを考えていると、書きたいことも書けない。

 

そうしたことをぐるぐる考えた結果、何かを評価する際には「主語が大事」、そういう結論になりました。批評というのは一般性を獲得しようとするため、皆の評価やコメントを集めて、主語を作品それ自体にしたり、大衆にしたりすることが多いです。それに対して感想というのは主語はまぎれもない「自分」です。

 

昨今において非常に厄介なのは、批評の面を被った感想が蔓延っていることです。「私は」という主語を明示せず、まるでそれが一般性を獲得した意見であるかのように語る記事や動画はそこら中に溢れています。

 

例えば、「3期は大失敗だった」と断定する記事があったとしましょう。それは書き方が適切ではありません。「私は、3期が大失敗だったと思う」が適切です。前者は潜在的な主語を示さずに、それどころか無意識に拡大して誤った一般性を獲得しようとする意図が見え隠れしています。煽情的な言い方の方が人が集まる特性を悪用する人があまりに多すぎる。

 

有名なネットミームに「それってあなたの感想ですよね」というひろゆき氏の発言がありますが、あの発言の真意は、批評の面を被った感想を糾弾することにあるのでしょう。そこまで喧嘩腰に突っかからなくても、「私は~と思う」という言葉をつけてみると、案外強い言葉でギャーギャー書いてある記事も大したこと書いてないように変わったりします。一々そんなのに反応してたら疲れますし。

 

話がわき道にそれすぎましたが、そうしたことを踏まえて私はこれから書く内容に多大に保険をかけておきたい。

 

これから書くのはあくまで個人の感想です。私が思ったことを書いているだけで、皆がそう思っているなどと主張するつもりは毛頭ありません。感想を書く上で、制作陣の意図とは異なる発言をするかもしれませんが、貶すつもりなど毛頭ありません。むしろ、このような作品を世に出してくれたこと、少しでもいい作品にしようと最大限の努力をしてくれたことに対してはリスペクトしかありません。作品に対してネガティヴなことを書かれていると気分を害される読者もいると思います。ごめんなさい。

 

これだけ書いておけば大丈夫でしょうか。

 

もう一つ、前提として、私はドゥラメンテのファン(史実の馬もウマ娘も)であるため、キタサンブラックに対しての感情はライバルであり、好敵手であるという感覚で作品を見ていました。ドゥラメンテに対する私の重い感情があふれ出たことも一度や二度ではありません。

 

さて、臆病すぎるくらいに保険をかけまくりましたが、これからが総評です。私は結論を先に書かないため、結局何が言いたいん?となるかもしれませんが、お付き合いください。

 

  総評(ネガティブ寄り)

 

本作品の立ち位置として非常に難しいのが、シリーズの続編であるという点です。1期、2期、シングレ、RTTT、スタブロなどこれまでの作品は相互が独立していました。1期と2期にもつながりがなかったわけではないですが、基本的には別個の作品として見ても問題がないものでした。

 

3期の特異性は、2期との関連性を全面に押し出していたことがあります。しかも、史実においてはあまりかかわりがない91~93年と15~17年をウマ娘独特の関係性でもってつなげていました。それによって、2期との類似性も、2期と異なる点も感じることができましたが、どうにも2期との比較をせざるをえないというジレンマに陥ってしまいます。

 

私の2期に対する評価は、歴史に残る名作という最上級のものです。そんなものと比べるとなると、どんな作品も駄作と評価してしまうかもしれない。ストーリー性はかなり異なるためできるだけ切り離して見てはいたのですが、やはり比べずにはいられなかった。結論として、良作ではありましたが、2期には並ばなかったなあ、というのが私の感想です。

 

しかしながら、扱う題材を考えるとそれはある程度仕方がありません。トウカイテイオーの物語は、日本競馬史上屈指のドラマ性を帯びています。ただ出来事を並べるだけでも感動に持っていくことが出来るくらいのストーリーラインをあまりに巧く脚色しきった2期の製作に比べると、3期はそうはいきません。

 

決してキタサンブラックの物語にドラマが無かったとは言いません。ウマ娘どころか競馬というコンテンツは基本的に群像劇を楽しむものであり、ウマ娘の制作陣が伝えたいメッセージの一つには「ウマ娘は、一人一人に夢がある」ということでもあります。キタサンブラックの現役が唯一無二の物語性を帯びていることは疑いようもありません。

 

しかしながら、それをオグリキャップやトウカイテイオーといった超一線級にドラマチックな物語と比較した際、わかりやすいドラマ性という一点においてはどうしても劣ってしまいます。それを理解したうえで、ひたむきに努力する姿、ピークアウトという解釈において衰えに抗う現役最強の矜持、みんなの思いを背に走るスターとしての姿を物語の主軸においたのは非常に良かったです。2期と被らせるところもありつつ、それでもキタサンブラックの物語は2期とは異なるものだということは読み取れました。

 

しかしながら、そのメッセージ性はどこか茫洋としてしまい、伝わりづらいものになっていたと私は思います。具体的に言うと、キタサンブラックの心理描写に共感しにくい場面が個人的には多かったです。あまりに主人公すぎるような、どこか他人の感情を置き去りにしているかのような感覚がありました。

 

ネイチャとの絡みも、最初の方こそ納得感はありました。テイオーとドゥラを重ね合わせるのも、二冠馬不在の中菊花賞に挑む側の気持ちは非常に丁寧に描かれていました。しかし、それをGⅠ複数勝してからも継続して描いたのは少しやりすぎな感じがしました。キタサン:GⅠ3勝、ネイチャ:GⅠ0勝とネタにしている場面がありましたが、相談を受けるネイチャ側の感情を考えるとどうにもやるせない。というか、キタサン側がネイチャ側の感情に全く無頓着に甘えているような捉え方をしてしまい、少し心が痛かった。

 

そのすぐ後にテイオーによって道が示されたのは、ある意味当然の流れです。その時点でのキタサンの相談相手は実績的にネイチャよりテイオーであるべきなのは明白なのですから。適切な相談相手についての認識が脚本側にあったのに、わざわざネイチャとの場面を挟む必要性が私には見えなかった。繰り返しのネタとして使いたいだけと言われればそこまでですが。

 

自信の夢を一回捨ててがむしゃらな走りに活路を見出したのち、ダイヤモンドとの差異である目標の有無に悩むのも、正直マッチポンプ感があります。春天とジャパンカップを勝っても尚、目の前にあるレースを必死に走っているだけ、というのは正直度し難い。世代のトップランナーにいることを自覚しきれていないのは彼女の純粋さゆえかもしれませんが、自身にかけられる期待が誰よりも大きいことは宝塚や有馬のファン投票からも明白なはず。正直、「私の走りで皆を笑顔にする」という夢を2回目の有馬記念後まで見失っているのはあまりに鈍いというか、自身の残した功績の過小評価が過ぎているような気がして、私は共感できないです。

 

ネガティブなことをダラダラと言ってしまって申し訳ないのですが、どうにも、キタサンブラックの気持ちに入り込めなかったことが、私が3期を楽しみ切れなかった要因だと思います。上手く共感を見出した人はしっかり楽しめたと思います。

 

もう一つだけ、問題と感じた点をあげて批判的な見方は終わりにします。レースキャリアの長さに起因する尺の不足はかなり深刻だったと思います。1クール13話で描くには、3年分の競馬はあまりに濃密すぎます。結局、クラウンというキャラクターに関する深堀りの不足や大レースの連続、レース演出のマンネリ化などを感じてしまいました。

 

クラウンはある程度ゲームでの実装で補完をした人もいるでしょうが、アニメ単体で見るとやはりキャラの深堀が全くなかったのは残念でした。広東語話す姿とか、ドゥラとの絡みとか、見たいポイントはいくらでもありましたが、まあ、収まりきらない。

 

それだけ詰まった尺では当然ながら実装できるキャラクターも少なくなってしまいます。リアルスティール、マリアライト、カレンミロティック、ゴールドアクター、ディーマジェスティ、レイデオロ、レインボーライン、スワ―ヴリチャード、クイーンズリング(マカヒキとシャケトラは若干しょうがないか)……魅力的な個性を持つ子はたくさんいたし、それがモブキャラとして流されてしまうのは残念でした。偽名での登場でも、2期のダイサンゲン並みに自我を持たせても良かったと思うのですが……。そこまでする余裕はなかったのでしょう。ここに関しては私が強欲すぎるのも大概いけない。

 

それでも、私はどうしても思わずにはいられない。周辺のキャラをもう何人か実装し、より丁寧に各キャラへの深掘りを描いたうえでの脚本であったならば、2クール26話でも決して冗長にならないどころか、最初から最後まで濃密な物語が描けたであろうな、と。

 

  総評(ポジティブ寄り)

 

さて、この作品に対して抱いていたモヤっとした点は大体言い切ったので、すこし前向きな感想も述べておきましょう。

 

まずは、ドゥラメンテを登場させてくれたことには本当に感謝しかありません。1話放映まで登場するか否かのワクワク感を引っ張り、タイムラインを埋め尽くしたその衝撃的な登場は、もうこの世にいないドゥラメンテという馬の功績を再評価するようなムーヴメントに思えて、思い入れが深い私は感動せずにはいられませんでした。ウマ娘がもつ社会的影響力の大きさを改めて思い知りました。

 

ヴィルシーナとヴィブロスの登場も嬉しい驚きでした。ウマ娘において兄弟関係を描けたのは長らくビワハヤヒデとナリタブライアンだけでしたが、一気にハルーワスウィートの子供たちが増えてくれました。リアル競馬を見る上で兄弟関係はひとつ楽しい要素でもあるので、ウマ娘でももっと増えてほしい。アグネスフライトとか、ドリジャ・オルフェとか。

 

アニメを通して、15~17年の競馬に興味を持ち、詳しく調べた人も多いことでしょう。おそらく、ビギナーとして楽しんだ記憶しか残っていない私よりも深い知識を蓄えた人もいると思います。もう軽々なこと言えなくなってしまいました。ともあれ、興味を持つきっかけとなったのであれば、それは喜ばしいことですし、ウマ娘というコンテンツのとても素敵な点です。

 

深掘りができたキャラについての心理描写も非常に繊細でした。サトノダイヤモンドとシュヴァルグランの二人を深掘りした6話と12話は珠玉の出来だったと思います。

 

作画の進化もえげつなかった。2期も十分すごかったんですが、3期はそれに輪をかけて、全編通して映像が綺麗すぎました。アニメーション制作の方々の労力はいかほどだったんでしょう。軽々に2クール26話にしてほしいというのも酷な話かもしれない。分かってはいるんですけど、私みたいな消費者は欲が深い。

 

ピークアウトに関しての解釈は、私はかなり肯定的に受け取りました。史実における是非はともかく、それを陣営が見ている姿とファンが見ている姿の乖離としてとらえたのは一つ大事なメッセージ性が込められていたように感じます。それを拡大するなれば、こうして批評している私のような視聴者とアニメ制作陣の間での乖離も当然あるはずです。私は制作陣の事情など知りませんし、制作陣はすべての需要にこたえきるのは不可能です。

 

建設的な議論ができるような話題提起ではあったと思いますし、そもそも史実をリアルタイムで何となく見ていた私の感覚と比較できるのは、1期や2期にはなかった新体験でした。3話のゴルシに対する解釈はほぼ完全一致でした。こうした点について一つ提言すると、自分の見方とちがうからといって全否定をするような意見は控えてほしいと切実に思います。それはコンテンツを縮小させ、終いには殺しかねない行為です。

 

さて、全肯定でも全否定でもない、ごちゃまぜの総評でしたが、皆さんはこの作品をどう見たのでしょう。皆がそれぞれ違う感想を抱いてしかるべきですので、私の感想についても頷けるところ、むかつくところ、的外れに思うところがあってしかるべきだと思います。作品の評価というのは元来そういうものなのですから。

 

  OUTRO

 

4期への匂わせは全くありませんでしたが、映画の公開が発表されましたね。

 

 

2001年世代とはいいチョイスですね。私は一体何回見に行くことになるんでしょう。ダンツフレームやクロフネはいるのか。やっぱりクライマックスはジャパンカップなのか。興味は尽きません。ゲームにおけるマンハッタンカフェの育成シナリオの完成度は最高クラスに高いので、それに絡めたエピソードとかほしいですね。RTTTの時にアヤベシナリオを軽くなぞったみたいな、あの感じで。グッドエンディングの「静かなる継承者」を読み終えた後の満足感は半端なかった。

 

シングレとスタブロのアニメ化はいつでしょう。あと、ゲームのメインストーリー第2章の公開はいつでしょう。もし4期をやるならディープスカイとカンパニー加えて二頭の最強牝馬を描けば間違いないでしょう。妄想する分には楽しみは尽きません。

 

今日の夜か明日の朝に週末競馬の振り返り&展望を投稿する予定です。結局投稿頻度はスッカスカになっていますが、来週こそは頑張ります。

 

それではまた。