ニヤニヤした目で俺を見るヒロシ。
一発張り倒そうと思ったが、さてどうしたものかという思いのほうが勝っていた。
これからマサシの家に行ったら確実に修羅場だが、みっともないのは俺になってしまう。
絵美の事は好きだった。
でも目の前で起こっている現実は厳しいもので、めずらしく人間らしい「迷い」が俺の中で生まれていた。
すると森木が言った。
「俺が行って来るわ。マサシは俺の相手だし。達也にはわりいけどさ」
ここぞという時の森木は普段よりさらに頭がキレる。
迷いを感じ取り、かといって引き下がる事も良しとしない俺の気持ちを読んでいた。
自分が代わりに行くといえば、俺の顔が立たなくなるが、森木はマサシは自分の相手だから自分で行くと言った。
やはり俺にはいなくてはいけない大事な右腕だった。
森木は言葉少なめにすぐに歩き出した。
俺はそんな森木を呼び止めた。
「森木、わりーな。やっぱ、俺が行くわ」
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
シンゴ(坂東高校一年金髪坊主)
サダミツ(坂東高校一年筋肉マン)
ワタル(唇ピアス。坂東高校一年)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
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チキン番外編①