NY市場サマリーのサマリー 3/21():ドル上昇、利回り上昇、株は最高値更新

 

<為替>

終盤の取引でドルが上昇した。スイス国立銀行(中央銀行)が想定外の利下げを行ったことで、ドルの相対的な投資妙味が強まった。英ポンドは下落した。BOEは21日、政策金利の据え置きを決めた。

 

「スイス中銀の金融緩和はインフレが抑制されていることを示唆しており、他の中央銀行も近いうちに緩和的な政策に転じるだろう。米経済の先行きに対する楽観的な見方からすると、米への資金の流れは現時点では基本的に止められない」と。

 

ドル指数は0.75%上昇した。ユーロ/ドルは0.51%安の1.0862ドルとなった。

米金利と他の主要国の金利差もドル支援材料となった。米10年債利回りは0.4bp上昇し4.273%だった。

英ポンドは0.99%安の1.266ドル。

 

スイスフランは対ドルで急落したほか、対ユーロでは2023年7月以来の安値を付けた。

ユーロ/スイスフランは0.70%高の0.9753スイスフラン。一時は0.979スイスフランまで上昇し、1日の上昇幅としては2023年3月以来の最大を記録した。

 

ドル/スイスフランは1.26%上昇し0.8981スイスフランとなった。

スイス中銀は21日、主要金利を25bp引き下げ、1.50%とした。予想外の決定で主要中銀として初めて利下げに踏み切った。

 

ドル/円は堅調に推移。終盤は0.28%高の151.655円だった。

 

<債券>

米債利回りが上昇した。新規失業保険申請件数など経済指標が力強い内容になったことを受けた。米10年債利回りは小幅上昇の4.272%。前日終盤は4.271%だった。

2年債利回りは前日終盤の4.604%から4.636%に上昇した。

2・10年債の利回り格差は1.5bp縮小のマイナス36bp。

 

この日発表された一連の経済指標が利回り上昇につながった。

米S&Pグローバルが21日発表した3月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.2と、2月の52.5から低下した。サービス業PMIが低下したのが押し下げ要因となった。

 

米労働省が21日発表した週次の新規失業保険申請件数は前週比2k件減の210k件となった。市場予想(215k件)に反し減少し、3月の雇用の伸びが引き続き堅調を維持する可能性を示唆した。

 

全米リアルター協会(NAR)が21日発表した2月の米中古住宅販売戸数は年率換算で前月比9.5%増の438万戸と、昨年2月以来1年ぶりの高水準となった。

 

CMEグループのフェドウオッチによると、FRBが6月までに利下げする確率は73%となった。

 

「タイミングとペースがややもどかしいが、正しい方向に進んでいる限り、FRBは年内利下げ軌道から外れないはずだ」と。

 

財務省が実施した10年物価連動国債(TIPS)(160億ドル)入札は、最高落札利回りが1.932%、応札倍率は2.35倍になった。1月の入札時は最高落札利回りは1.810%、応札倍率は2.62倍となった。

 

<株式>

米国株式市場は、主要3指数が終値ベースで過去最高値を更新した。前日にFRBが利下げ見通しを確認したことに加え、半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーにつられ半導体関連株に買い入ったことが追い風になった。

マイクロンは14%超上昇した。前日発表の四半期決算と見通しが市場予想を大きく上回り、買いが優勢だった。

ブロードコムは投資判断引き上げが好感されて5.6%高。エヌビディアも1%超上昇。フィラデルフィア半導体指数は2.3%上昇した。

前日のFOMCを受けて、年内0.25%の利下げが3回があるとの見方が強まり、ダウは連日で過去最高値を更新した。

 

「決算で半導体は市場を牽引しているが、20日のFRBのハト派的な発言で全般的にリスクオン姿勢が強まっている」と。

ゴールドマン・サックスは4.4%上昇し、ダウや銀行株の上げを主導した。S&P500の銀行セクターは1.7%高だった。

一方、アップルは4.1%安。米司法省などがこの日、スマートフォン市場で反トラスト法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして提訴したことが嫌気された。

 

この日ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したオンライン掲示板レディットは、終値が50.44ドルだった。初値は47ドルと、新規株式公開(IPO)価格を38%上回っていた。

 

<金先物>

FRBが前日に年内3回の利下げ想定を維持したことで、金利の付かない金の追い風になるとの見方から買いが入り、続伸した。前日比23.70ドル(1.10%)高の2184.70ドル。

 

<米原油先物>

ガソリン需要の減退懸念や地政学リスクを意識したエネルギー供給懸念が和らぎ、下落した。この日から新たに中心限月となったWTIの中心限月5月物の清算値(終値に相当)は前日比0.20ドル(0.25%)安の81.07ドルだった。6月物は0.14ドル安の80.64ドル。

 

米エネルギー情報局(EIA)が前日発表した週間石油在庫統計によると、原油在庫は前週比200万バレル減と市場予想に反する積み増しになったほか、ガソリン在庫は330万バレル減と取り崩し幅は市場予想を大幅に上回った。ただ、需要の指標とされるガソリン製品供給は日量23万5000バレル減の同880万バレルと、3週ぶりに同900万バレルを下回った。市場参加者の間では、ガソリン需要が減退していると受け止める向きもあり、原油は売りが優勢となった。

 

中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクの高まりを背景とした買いが一服したことも相場の重しとなった。中東歴訪中のブリンケン米国務長官は20日、人質解放を条件に即時停戦を呼びかける決議案を国連安保理に提示したと明らかにした。

 

 

 

 

 

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