アンデルセンの『シリング銀貨』はアンティーク コインの物語。

シルバー コインを、「Lucky Shilling」として身に着ける。

Shilling コインを使ったアンティークのいろいろをご紹介します。

 

 

アンデルセン童話の『シリング銀貨』で lucky shillingにまつわる台詞。(追記)

'Very likely thou art a lucky shilling. A thought has just struck me that it is so, and I believe it. Yes, I will make a hole in the shilling,' said she, 'and run a string through it, and then give it to my neighbor's little one to hang round her neck, as a lucky shilling.'

「この銀貨、ラッキーシリングに違いないわ。ふと、そう思い浮かんだの、そうよ、そう思うわ。そうだ、シリングに穴をあけて、紐を通して、お隣のお子さんの首飾りにしてあげましょう。ラッキーシリングとしてね。」

 

 

『裸の王様』、『みにくいアヒルの子』、『人魚姫』などで有名なアンデルセンの作品の中に、19世紀半ばに書かれた『シリング銀貨』というおとぎ話があります。外国旅行に出かけた英国紳士の財布にあった一枚のシリング銀貨が、異国の地で財布からこぼれてしまい、いろいろな人たちを巡りめぐって、最後には元々の持ち主であった英国紳士のもとに戻ってくるというストーリーです。 


http://www.igirisumonya.com/20065


物語の中で、シリング銀貨に穴をあけて糸を通し「Lucky Shilling」として身に着けるという話が出てきます。シリングは大き過ぎず、小さ過ぎず、ペンダントヘッドにちょうど良いサイズであることと、シルバーという素材は幸福に通じることから、遠いヴィクトリアンの時代よりラッキーシリングとして好まれてきたようです。 

イギリスではシリング銀貨のシンプルなペンダントヘッドを時に見かけます。アクセサリーにしては、あまりに作りが簡単なので、どうしてだろうかと不思議に思っていたのですが、この品の背景の一つに、アンデルセンの『シリング銀貨』の物語がありました。

 

 

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それから、もう一つ、シリング銀貨アンティークの背景を。

トーマス・ケイズという人の研究によると、船舶や鉄道の発達によって国外への旅が増えた19世紀には、銀貨に穴をあけて、ジャケットの裏に縫い付けておくなどして、旅先での非常用通貨にするということが行われていたそうです。当時は多くの国で金銀を本位通貨とする貨幣制度が採用されていたので、世界の大国であったイギリスの銀貨は、いわばトラベラーズチェックのように、英国外でもかなり通用したというわけなのです。


 

そうしますと、今日見かける写真のようなペンダントヘッドは、元々はアクセサリーとして作られたわけではなく、こうしたトラベラーズチェックの代わりで、たくさんあった可能性があります。 


http://www.igirisumonya.com/20069


これら二つの話を合わせて考えてみると、ヴィクトリア時代には穴あきシリングが、私たちが今思う以上に多くあったのではないでしょうか。 そして、巡りめぐってそれを手に入れた人たちの中には、「Lucky Shilling」の側面を重視して、ペンダントヘッドにされていくものも少なからずあったろうと思うのです。

わざわざアクセサリーにするには作りが簡単過ぎますが、さりとて銀貨に穴をあける仕事は誰もが出来るほど容易くはありません。初めはトラベラーズチェックとして使われ、後にはラッキー シリングとして大切にされてきたと考えれば、今日こうした品を見かける頻度が比較的多いことに納得がいくのです。



クイーン ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリス史の中でも特にポピュラーな国王となりました。アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代を専門とするコレクタターが大勢いるわけなのです。

ポワロ シリーズの『Murder in The Mews』を見ていたら、ジャップ警部と事件を目撃した男の子のあいだで、シリング銀貨と六ペンス銀貨に関してこんな会話がありました。

ジャップ警部:「Here you are, my boy, here's sixpence for you.」
男の子:「Very kind, sir, but you couldn't make it a shilling, could you?」
ジャップ警部:「Go on. Clear off.」

シリング銀貨は12ペンスにあたりました。つまりは、ジャップ警部が目撃証言をしてくれた男の子に、ご褒美として六ペンス銀貨をあげたら、男の子が、ありがとうとお礼を述べながらも、できれば倍額のシリング銀貨をもらえまいか?と言って、ジャップ警部に調子に乗るなと追い払われている場面です。

昔のイギリスでは貨幣体系がややこしくて、分かりにくいのですが、ちょっと知識があればフムフムとすっきり楽しめます。



ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。一方で、今ではもうないシリング銀貨という言葉の響きにはノスタルジーを感じます。 

ヴィクトリア時代に英国留学した夏目漱石がシャーロック・ホームズで有名なロンドンのベーカー街で昼食したら 2シリングほどだったと日記に書いていて、そんな資料から当時の暮らしに思いを馳せるのも、シリング銀貨を通じたノスタルジックなアンティークの楽しみ方と思います。

 

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