追記しました。

マッピン家の三人の兄たち「Mappin Brothers」と、四兄弟の末っ子の「Mappin & Co」は、ヴィクトリア時代に「元祖マッピン家」を主張しあって争いました。

目端の利いた弟が兄たちを束ねていく話は、どこかで聞いたことがあるような。


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マッピン&ウェッブ シルバープレート ポット
容量1.5 Pint(=855ml)、Mappin & Webb作


http://www.igirisumonya.com/20044


古い品ではありますが、とてもコンディションがよろしくて、綺麗なまま現在に至っているところが嬉しいマッピン&ウェブのポットです。このティーポットを作った「Mappin & Webb」は言わずと知れた有名メーカーですが、その歴史は興味深いので、少し振り返って見ておきましょう。



マッピン関連のアンティークを扱っていると、「Mappin & Webb」とよく似た名前の「Mappin Brothers」というシルバースミスに出会うことがあります。
「Mappin Brothers」は1810年にジョセフ・マッピンが創業した工房で、彼には四人の後継ぎ息子がありました。四人は上から順にフレデリック、エドワード、チャールズ、そしてジョンで、年長の者から順番に父親の見習いを勤めて成長し、1850年頃には引退した父ジョセフに代わって、四兄弟が工房を支えていました。

 

http://www.igirisumonya.com/20062 Mappin Brothers ペーパーナイフ



ところが末っ子のジョンは、工房の運営をめぐって次第に兄たちと意見が合わなくなり、ついに1859年には「Mappin Brothers」を辞めて独立し、「Mappin & Co」という銀工房を立ち上げました。 以後しばらくの間、「Mappin Brothers」と「Mappin & Co」は「元祖マッピン家」を主張しあって争うことになります。

しかし最初のうちは「Mappin Brothers」の方が勢力があったこともあり、1863年には末っ子ジョンの「Mappin & Co」は「Mappin & Webb」に改名することとなりました。 Webbというのはジョンのパートナーであったジョージ・ウェブの名から来ています。

 

まだ「Mappin Brothers」の勢いが強かった頃、ヴィクトリアン中期の新聞広告

ヴィクトリア時代の新聞を読んでみた。広告欄から垣間見えるアンティークな暮らし


「元祖マッピン家」問題では遅れをとったジョンでしたが、兄たちよりも商売センスがあったようです。 スターリングシルバー製品以外に、シルバープレートの普及品にも力を入れ、目新しい趣向を凝らした品や新鮮なデザインの品を次々と打ち出し、しかも宣伝上手だったのです。 ヴィクトリアン後期には当時の新興階級の間でもっとも受け入れられるメーカーに成長し、それ以降のさらなる飛躍に向けて磐石な基盤が整いました。

20世紀に入ってからの「Mappin & Webb」は、「Walker & Hall」や「Goldsmiths & Silversmiths Co」といったライバルの有名メーカーを次々にその傘下に収めて大きくなり、今日に至っています。 また、「Mappin Brothers」ですが、時代の波に乗り切れなかったのか、1902年には「Mappin & Webb」に吸収されてしまっています。 ただ、その頃には三人にお兄さん達はとっくの昔に引退しており、後を継いだエドワードの息子さんも引退して、マッピン家のゆかりはいなかったようです。 そうこう考えると、ジョージアンの創業で、ヴィクトリア時代に二つに分かれたマッピンが、エドワーディアンに入ってまた一つの鞘に戻れたことはよかったのかなとも思うのです。

シルバープレートウェアについては、「エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事をあわせてご参考ください。
 

 

目端の利いた弟が兄たちを束ねていく話は、どこかで聞いたことがあるような気がします。遠く古きを尋ねれば、古事記や旧約聖書にもありました。

 

古事記の四代目では、海幸彦と山幸彦の兄弟喧嘩があって、賢い弟の山幸彦が勝ちを収めて大和朝廷の先祖になります。兄は弟の配下となって、その子孫は朝廷を守る隼人となったということです。

これと似た話は旧約聖書の三代目ヤコブと四代目ヨセフに見られます。 まず、三代目ヤコブは跡継ぎ問題をめぐって、兄と争いになり、後に和解するも賢い弟のヤコブが跡継ぎとなって、兄は一族の本流から外れて砂漠の勇者へと転進していきます。旧約聖書四代目の時代になると、末っ子のヨセフが大勢の兄たちと争いになって、後に和解するも末っ子ヨセフがイスラエルの直系となります。そしてこれら兄弟たちの子孫はイスラエル十二部族となっていくのです。

 

このあたりの事情、詳しくは、「なぜかクロスにとても惹かれます。その理由をアンティーク 英吉利物屋 風に考えてみました。」をご覧ください。


さて、ポットですが、容量は1.5パイントですから、イギリスで言えば中型サイズのポットになりましょう。 「Mappin & Webb」の名前に惹かれたこともあって求めました。

実際に使ってみて、ポットのお湯残量が多い時でも少ない時でも、すっきり気持ちよくお湯切れします。 ハンドルには指かけもありますので扱いやすく出来ています。

蓋のつまみは取り外しが出来ます。 時々のクリーニングが容易に出来ましょう。 ヒンジがしっかりした作りであるところも、メーカーのよさを表しているように思います。

写真二番目に見えるように、裏面には 「1 1/2 PINT」の表示があり、これは容量を示しておりますが、英国風な Pint 表示となっています。 1と1/2パイントですから、570ml*1.5=855mlです。 他に「MAPPIN & WEBB」のメーカー名や、「LONDON & SHEFFILD」の文字などが見えています。



アンティークのポット一般に言えることですが、大きくて重たい品が多く、そこへさらにティー or コーヒーが入るとなると、重くて持つのが大変です。 このポットの容量ですと、英国アンティーク ポットとしては小振りから中程度の大きさになりますが、日本の急須の感覚から言えばそれでも十分に大きく、一人か二人で日常使いするにはちょうどよいサイズと思います。 「大は小を兼ねる」ということでお一人用、あるいは普通にはお二人用としてお使いいただけるでしょう。

ティーやコーヒーがお好きな方なら、書斎の机にこのポットを置いて、仕事や勉強をしながら毎日親しめるアンティークはいいものです。 可愛らしいアンティークで、日常使いに欠かせないポットになろうかと思います。

 

http://www.igirisumonya.com/20044 Mappin & Webb ポット

http://www.igirisumonya.com/20062 Mappin Brothers ペーパーナイフ

 

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