イギリスのアンティークな村巡り。

 環状列石で有名なストーンヘンジ、その世界遺産としての正式名称は、『Stonehenge, Aveburyと関連する遺跡群』です。

 そして、後者のAveburyは隠れた名所で、古代遺跡に人が住み付いたアンティークな村です。

 

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ロンドンから車で三時間ほど西へ向かうと、ウィルツシャーの大草原の中にストーンヘンジがあります。 数百マイルも離れたウェールズから巨大な石を運び、四千年も前に作られたとされる世界遺産としても有名なストーンヘンジは、いったい何のために作られたのか本当のところは分からない不可思議な遺跡です。 古代の神殿であったとか、あるいは、夏至や冬至の太陽の位置が分かることから、季節や太陽の運行を測る天文台であったとか、諸説がありますが、周りに何もない大草原の中にこれだけが立っている環状巨石群を目の当たりにすると、大空の下での開放感と交錯して、不思議な感動を覚えます。
 

【ストーンヘンジ】

 

ロンドンから日帰りバスのツアーもありますので、ストーンヘンジを観光される方も多いでしょう。 英国でもストーンヘンジは有数な観光スポットになっていますが、この地域には環状列石の遺跡がいくつもあることをご存知でしょうか。 地図で調べてみると、ストーンヘンジの周りにはいくつも環状列石遺跡のマークがあって、出かけてみると、誰も観光客がいないような小規模な環状列石もあったりして、肩透かしを食わされることもあるのですが。。。 そんななかで、ストーンヘンジへ行かれる方に、是非合わせてお薦めしたいのが、今回ご紹介するエイブバリー村です。
 

【エイブバリー村の家並み】 手前は教会の入り口

 

エイブバリーはストーンヘンジから北に20マイルほど行ったところにある、ストーンサークルの村です。 エイブバリーにストーンサークルが築かれたのは、やはり四千年以上前のことになりますが、その規模はストーンヘンジよりかなり大規模なものでした。 ストーンヘンジとエイブバリー、これら二つの遺跡がたどった歴史を比べてみると、両者が決定的に違うことは、ここエイブバリーには人々が住み着いて村となっていったことでした。 

 

その為に今日のエイブバリー村は、人の住む生活空間と古代遺跡が一緒になった、イギリスでも類稀なる特徴を持ったアンティークな村となっているのです。

 

【エイブバリー村の全景】 外側の堤の上から村の中心を望む

 

写真三番目は村の外周を囲む堤の上から見た村の全景で、真ん中やや左には中世に建てられた教会の塔が見えています。 堤の内側には空堀がめぐらされ、さらに内側にはアウターサークルとインナーサークルの環状列石群が取り巻いています。 こうしたサークルの中心に Red Lion パブが建っていて、写真で見て巨石群の向こうに見える白壁の建物になりますが、この辺りが村の中心になっており、ここから東西南北に向かって道が伸びていくのがエイブバリー村の概観です。 堤や堀に囲まれて巨石が並ぶ村の姿は、ちょっとした要塞のようで、大昔の人たちが棲家とするに好都合だったことが窺い知れます。 

村の中心にある茅葺屋根の Red Lion でパブランチにしました。 ダイニングルームには17世紀の井戸がそのまま残されており、このRed Lionはとてもアンティークな雰囲気のパブなのです。 それがまた数千年の時を経た遺跡の真ん中に建っているわけですから、この村での昔の暮らしは如何なものであったのかと、過去に思いを馳せるうちに、時間の感覚がどうかなってしまいそうな気分に浸れます。

【環状列石のインナーサークル】 中央に見える白壁の建物がレッドライオン


今日ではビレッジグリーンに散在する巨石群が茅葺屋根の村の家並みと、しっくり落ち着いた調和を生み出しているように感じます。 おそらく大昔の人たちも、何かしら超越したパワーを感じさせるストーンサークルを村の守りのように感じて、大切に守り暮らしてきたのだろうと思われます。 しかし長い歴史の中ではストーンサークルと人々の間に緊張した関係が続いた時期もあったのです。 

中世の始めにこの村にキリスト教が伝わってきました。 村にも教会が建って、村人の暮らしにキリスト教の影響が強まっていくことになります。 教会のえらい人たちから見れば、古代のなにやら宗教施設らしきものを村人が敬うことを放ってはおけません。 そこで教会はお触れを出して、ストーンサークルを宗教的に敬ってはならないし、また巨石を埋めたり、壊したりするように仕向けるようになっていきます。 最初のうちは巨石を壊したらたたりがあると、恐れていた人たちも次第に慣れていって、18世紀頃には村の学校を建てたり、教会を改築する際に石工が巨石を切り出して、建材として利用するまでになっていきました。

 

【村はずれにあるパブ】 この建物は環状列石から切り出した石が使われています。


写真五番目のパブは村のはずれにある建物ですが、同様にして、ストーンサークルの巨石を切り出して建てられたものです。 数千年前のストーンサークルで出来たパブというのも、なにかしら凄い感じで、こんなパブでビールを一杯というのは如何でしょうか。

このように中世以降、ストーンサークルの遺跡は荒れるにまかされてきたわけですが、とうとう1960年代になって、ナショナルトラストが遺跡の価値を再評価して、今度は一転して保存に努める時代がやってきました。 もちろん遺跡の破壊は禁じられましたし、人目に付かないようにと埋められた巨石の発掘が進み、あるいは村の観光資源としてストーンサークル ビジターセンターも設立されて、ようやく人々とストーンサークルが穏やかに共存する時代になりました。

かつて遺跡を壊すように人々に命じた教会ですが、今日では昔のように絶大な影響力はもうありません。 現代の英国は欧州諸国と比較して、教会に通わない人たちが多数を占める国になっているのです。 日曜日ともなれば、村の人たちは昔のように教会に行くのではなく、パブに出掛けてサンデーランチをしたり、エールを片手にビレッジグリーンの巨石群を眺めながら世間話に興じているのです。

ストーンヘンジのようにほぼ手付かずの状態で今に残っている遺跡も素晴らしいのですが、人が古代遺跡と如何に接してきたかが分かるエイブバリーも、人とアンティークの関わり合いという観点から、私はとても興味深く思います。

 

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