Queen’s Laneを行き交う人たちが、この石壁越しに見てきた風景は、この300年ほど変わっていません。

 

英国最古のコーヒーハウスQLは、オックスフォードの大通りからQueen’s Laneという小道に入る曲がり角にあります。ここを起点にQueen’s Laneを歩いてみると、周りの様子は何百年も変わらないアンティークな眺めと思われ、とても気に入っています。これから七枚の写真でQueen’s Laneをご紹介します。  
 


Queen’s Laneの左右は初めから終いまで、すべて歴史あるカレッジの敷地となっていて、昔のままの姿をとどめており、オックスフォードでも超レアなアンティーク小道と思います。ヴィクトリア時代と比べて変わったのは、路面が舗装され、ガス灯が電灯になったぐらいでしょう。写真のような景色を百年前の人も、二百年前の人も、同じように見ながら歩いたことと思います。


​【クイーンズカレッジ (1/7) 】  

小道に入ると左手にクイーンズカレッジがあります。この地に大学が創立されたのは14世紀のことで、ここでいうクイーンとは創立当時の英国王エドワード三世の王妃フィリパ・オブ・エノーに由来します。 そもそもオックスフォード大学とは、40ほどのカレッジの集合体です。その中でも何百年もの歴史を誇る五つのカレッジがQueen’s Laneの左右を固めており、小道の手前から向こうの終りまで、その眺めが昔のままに保存されて今に至っているのです。

ちなみにQueen’s Lane の脇を固めるオックスフォード大学の五つのカレッジとは、The Queen's College, St Edmund Hall, New College, All Souls College, Hertford Collegeです。
 

【セント・エドモンド ホール カレッジ エントランス (2/7) 】

クイーンズレーンに入ってすぐの右側、イギリス最古のコーヒーハウスQLのすぐそばにあるのがセント・エドモンドホール カレッジです。母体となった教会は13世紀の創建で、クイーンズカレッジとは道を隔てた対面です。 

オックスフォード大学を構成するカレッジは、それぞれ独立性が高く、校章にあたる紋章を持っています。エントランスに掲げられてあるのがセント・エドモンドホールのカレッジ紋章です。
 
【セント・エドモンドホール カレッジの中庭 (3/7) 】

カレッジ エントランスの内側で、学生さんの暮らしはどんな様子でしょうか。
本来ですとセント・エドモンドホールは観光用に開放されておりません。今回は特に頼んでみたら、写真を撮らせてもらえました。こじんまりした学寮でアットホームな雰囲気、素敵な環境と思いました。

歴史の重みでしょうか。クイーンズカレッジもセント・エドモンドホールも日本でいえば鎌倉時代の創建で、もともとはお坊さんが集まって勉強していた所。日英で見た目は違うものの古都鎌倉のイメージともつながります。

【Longではないけれど、曲がり角の多いWinding Road (4/7) 】

Queen’s Laneを、しばらく歩いて振り返った眺めです。
クイーンズカレッジの外壁に沿ってゆるやかに曲がり、道幅は狭くなったり広くなったり、いかにも中世の道であって、現代の車の通行に適した道ではありません。

 

再び歩みを進めると、このすぐ先で急に左に折れます。曲がり角が多くて見通しがきかないのは迷路のようです。

このQueen’s Laneの小道は、イギリス最古のコーヒーハウスQLから、オックスフォードでも特に古いTurf Tavern パブまでを、歩いて10分ほどで繋いでいますが、その間に現代の建築物は何一つありません。ですから、気が散ることなく、ヴィクトリアンなシャーロック・ホームズの世界にはまれます。

【New College 連絡通路橋 (5/7) 】

 

左に折れて、こんどは右に曲がるとNew Collegeの連絡橋です。
ニューカレッジと言っても、その創立は1379年。六百数十年前の創立当初は New だったけれど、うっかり New カレッジなどと名付けるのは如何なものかと、21世紀の今日にあらためて思うところです。 
橋の向こうで壁にぶつかりまた曲がります、敵の侵入を妨げるために見通しを悪くした城砦内の道のようです。
ぽつんと街灯があり、夕刻になればヴィクトリアンな雰囲気だろうかと思いました。

【Queen’s Laneから見たオックスフォードのスカイライン (6/7) 】

オールソールカレッジのタワーは1700年代前半の建築です。ヴィクトリアンよりさらに古いジョージアンの眺めが今に残っていることになります。 
 
Queen’s Laneを行き交う人たちが、この石壁越しに見てきたオックスフォードのスカイライン風景は、この300年ほど変わっていないことになります。

オックスフォードでも繁華街の方は人も多いし、お店も多いです、街の景観はどんどん変わっていきます。それに対してQueen’s Laneは、端から端まで店一軒あるわけでもなく昔のまま、タイムスリップしたような不思議な空間になっています。

カレッジのタワーは英国でも傑出したバロック建築と言われ、ウェストミンスター・アビーやブレナム宮殿を手掛けたニコラス・ホークスムアの作です。そんな凄い建築なんでありますが、さらにもっと凄いのは、このオールソールカレッジそのものでしょう。オックスフォード大学の卒業生で成績が一番か二番の人だけが進学できる大学院だそうです。

オックスフォード大卒でなくても、世界中で優秀なら入れますが、合格者数は毎年一人か二人、年によってはゼロのことも。これだけ立派な建物で大学院生がたったの数人、いったいどんな人がどんなことを研究されているのか、イギリスの謎の一つと言ってよさそうです。

それから、オールソールカレッジのタワーは300年前の作ですが、カレッジ自体はヘンリー六世によって1438年に作られたもの、もうすぐ600年を迎えることになります。


​​【アンティークなパブ Turf Tavernへの目印となる連絡橋 (7/7) 】

ニューカレッジの連絡橋を左に折れて、一本道を歩いていくと、最後に見えてくるのが またもや連絡橋で、こちらはハートフォードカレッジの建物をつないでいます。そしてオックスフォードでも特別に古い隠れ家のようなパブTurf Tavernは、この連絡橋の手前の細道を入った先にあります。


街灯の燈る夜のQueen’s Laneが見たくて、あらためて行ってきました。やはりいい感じでした。そしたらゴーストツアーやっていました。語り部が十人ほどの人たちを連れて、Queen’s Laneにまつわるお化け話を聞かせるもの。Queen’s Laneは、数百年にわたる歴史が積もっているので、お化けもたくさんいるようです。